折った理由
フラサはノイをおぶって校内を走り回る。
「ノイちゃん、魔女の魔力は?」
「結界で隠してるみたい、集中しても全く感じないよファルの方も……大丈夫かな?」
「……少なくともドラゴンにはならないですよ、ノイちゃんと同じ様に戦闘向きのブレスではないのですから」
「僕の方が役に立つよ、ファルのブレスは……精神的苦痛しか生まないからね」
眠たいせいかノイの声はフニャッと聞きにくかった。
ルウブ、美来、バムは温室のような場所を歩いていた。
周りからカサカサ何か動く音がする。
「肉食植物でも居るんだろ」
バムの目の前で動くツルが凍りついた。
「ひっ……」
「気をつけろ」
通り抜けると突然明かりが消えた。
「びっくりした……」
「み、美来ちゃん?」
バムが歩き始めようとするので、ルウブはバムの肩を押さえた。
「リヒト」
ルウブが唱え、片手の上で石が光って浮いた。
美来は不思議そうにルウブの横に浮かぶ光を見ている。
するとその空間のどこからか声が響いた。
「あははっ想像源が高いあの子だ、また幻覚でも見に来た?」
「この声……ファンシー」
「幻影の魔女か……ほっとけあんなガキ」
ルウブはファンシーを無視して進むが途中で明かりが消えた。
バムが気にせず進もうとするのでルウブは殴り倒した。
「ば、バム!? 大丈夫?」
「だ、大丈夫……美来ちゃん何処?」
「ここに居る」
ルウブは周りを警戒して立っていた。
「お前ら、目を瞑って何があっても動くな」
「えっ!? で、でも……」
「魔女が来たら?」
「つべこべ言わず目ぇ瞑れ!」
言われた通りに美来とバムは目を瞑ってじっとする。
ここは水がねぇし、広さもわからない……全体を氷結させるのはキツイな……
ルウブ自身も目を瞑り気配を探る。
「えへへへ、無駄だよあたしが一人とは限らないでしょう? 遊ぼうよ」
「分かった……じゃあオレの武器奪ってみろよ」
ルウブは槍を出し肩にもたれ掛ける。まさかとは思ったが魔女が子供だったためルウブの武器に手をつけたその瞬間、槍で床に叩きつけ腹部らへんを足で踏みつけ押さえた。
「あぐっ……嘘付き!」
「は? 敵に嘘も何もねーよ」
そのまま腹部を踏み潰した。
「ぐはっ……痛い……離して」
「幻影を解け」
ファンシーは幻影を解き、ルウブは目を開けた。ファンシーは何処かで今の自分を見ればさすがにやめてくれると思っていた。
「元から暗いのか……」
「離して……内臓が出る……」
口から血が出ていて腹部が足の下で潰れているのを見てルウブは上からただ睨みつけた。
「馬鹿か? もう潰れてんだよ」
腹部から足を離し胸部を踏み潰した。
「…………」
死んだ奴の表情は面白くねーな……まぁ、魔力が弱くて能力も戦闘向きじゃねーくせにかかってきたガキが駄目なんだな
「お前ら目ぇ開けていいぞ」
バムは魔女の死体を見て美来に見せないよう反対側を向かせた。
「バム? どうしたの?」
「いいから、美来ちゃんこういうの慣れてないし」
ルウブは何かをかんがえこみいきなりバムを突き飛ばして檻に入れ、美来に槍の先を突きつけた。
「美来ちゃん! ルーブル何するの!!」
「聞いてんだろ魔女! このからくり屋敷解かねぇとこいつを殺すぞ……本気じゃねーと思ってんのか?」
そう言うとルウブは美来の足をすくい転ばせ腕を踏み折った。
「!!っ……ううっ、る、ルウブ……やめて痛いよ」
すると暗闇が消え白い壁が石でできた正方形の空間が現れ、その屋敷に居た全員が現れた。
カクランがすぐそばに出てきて驚いている。
その先にはレヴェリーと隣に気を失い倒れているレゲインが居た。
「ルウブ! 美来に何してんだよ!!」
ルウブは美来から槍を離しカクランを見る。
「別に、この空間面倒かっただけだ」
そう言うと美来の腕を普通の方法で治療する。
美来は少しおびえた様子でルウブの処置を受けていた。
離れた瞬間もう一度場所が変わった。
ルウブ、バムはそれぞれ一人になり、美来に触れたカクランは美来と二人になった。
「美来……ごめんね、あいつ昔から方法をいとわないから」
「うん……? 何でカクランここに居るの?」
「それは……レゲイン捜しに来たんだけどある人に教えてもらってね」
カクランは片腕を折られて身動きの取りづらい美来を立たせる。
ファルと魔女の戦いは、ファルの能力により周りが真っ白な空間に変わり、ファルの姿も確認できなくなっていた。
「っ……何よこれ!」
目の前にファルが現れると炎で攻撃するがその姿は消える。確かに足音は聞こえるが走り回られ分からない。
もう一度ファルが現れる、それを炎で攻撃すると別の方向から殴り飛ばされた。
「ゲホッ……っ」
魔女は自分の周りを炎で囲むが白かった空間が水色に変わり水蒸気が立ち込めた。
「そんな……水色系の色には水の効果があるのね」
「トリックアートって知ってるか? お前がまんまと攻撃した相手だ、オレは影の色だって自由自在なんだよ自分の姿も色が一色のこの空間なら隠せる、終わりだ」
魔女は首を叩き潰され息絶えた。
水色の空間も消えファルは自分の色も戻し座り込んだ。
リーダーとしては魔力が弱いファルは効果のついた技ほど消費が激しかったのだ。
「キツイな……ルウブの奴居れば魔力なんとかなんのに」
まぁ、お前なんかにやるかって言われるのがオチか……




