見た理由
「明け方向かいの牢で大きな音がしたんだよ、気になって見に行ったら何とドラゴンらしき人物が牢獄の鉄柵を壊してるじゃないか……」
不気味な笑みを浮かべながら淡々と語る一区切りつくとキセルをひと口すい続ける。
「バレないよう盗み聞きをさせたのだがねその子が死に“際に移動塔に細工を、まずは一番魔力の高い生徒”って言ってたんだ」
その言葉にカクランは腕を組み黙り込む。
ルウブはレゲインが魔女に襲撃された後の場所に立っていた。
足元には乱雑に消され消えきっていない魔法陣の跡と黒い砂が積み上がっていた。
砂鉄……? 何でこんなところに……
さらに森の奥へ入っていく。
「まさか……」
「その様子だと魔力の高い生徒に心当たりがあるんだね、どうする? 君はあの一件以来魔女すら殺せなくなってるんだ」
カクランは腕を下ろし男を見やる。
「まぁ、君を助けられなかった私にも落ち度はあるその代償がこれだよ」
「不思議な光景だな、先生……わざわざ教えてくれてありがとう」
「どういたしまして」
男はお礼を聞いて目を細めて笑みを浮かべた。
カクランは一礼し牢獄を後にし、移動塔へ向かった。
翌朝教室ではいつも静かな羊の女の子絵に描いたようなおさげでメガネをかけたネルンが班のメンバーの女の子に騒ぐように話していた。
「き、昨日の夜、人魂見たのですよ!」
「クスッ……どうしたのネルン、霊力無いのに見間違いでしょ」
「本当なんですって水色の人魂が移動塔に向かうのが見えたのです!」
その様子を見ていたバムはその人魂の正体に心当たりがあった。
「未来ちゃん、多分カクランの狐火だよ……」
「あの狐火って夜の明かりになるんだね、あれ? ねぇ、ネルン」
「な、何ですか?」
「それって何時の話?」
「夕食後……未来さん、もしかして信じていただけるのですか!?」
ネルンは走って来て未来の手を握りブンブンと上下に振る。
未来は笑っておくが内心では、さっきのカクランの能力って話聞こえてなかったのかな?と思っていた。
教室へアウラーが入ってきた。
「皆んな席についてね〜」
皆んなが黙って席に着くがレゲインといつもこの教室に来ていたルウブが居ない、アウラーがカクランの代わりに来たのでカクランも居ないのだろう。
シャンは手を上げて身を乗り出す。
「はい! はい! 先生、カクラン先生とルウブはどうしたんですか?」
「ふぇ? ルウブって?」
アウラーの反応からするとカクランに兄弟がいてその兄弟が来ていることも知らなさそうだった。
「えっと、カクランは今朝からどこにも居なくて……移動塔付近で目撃されて以来行方不明かな?」
そ、そんな軽いことじゃ無いと思うんだけど……ルウブが持ってきた紙本当だったんだ……じゃあレゲインは?
「美来ちゃん、移動塔に行ってみよ? カクランもレゲインも居なくなるなんておかしいよ」
「うん……」
美来とバムは教室を出て行ってしまったのを見てアウラーは困ったように顔をしかめていた。




