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暑い理由

脱獄発覚前、カクランはゆっくり目を開けた。

「ここ何処……」

拘束されているように見えるベルトは軽く巻いてあるだけで簡単に起き上がることができた。麻酔薬を送る点滴の針もただたり付けているだけでささってはいない。

「いっ……耳とピアスが同化しそう……お腹すいたし」

このピアス無くしたら殺されるだろうし外せないな……僕のペンダント取られたし……

「てか暑! 帰るか……」

少しサイズの大きい服を二、三枚着せられ青いマフラーを首に巻かれていた。懐を探ると出てきたのは自分の槍の持ち手ではなく純度の高い氷のように透き通った魔力で槍になる持ち手だった。

「あ、オレのじゃない!! 使えねーじゃん! 僕は霊力なんだよ!」



四日間模擬戦で授業はなく他の戦闘を観戦しようがしまいが自由だった。

レゲインはずっと図書館の個室にこもってしまい、バムも部屋にこもりきってしまい美来一人暇だった。

「カクラン居たら暇じゃないんだろうなぁ〜つまんない……」

あ、これ禁句だね……カクランが調子に乗っちゃうよ。

未来の肩にカラフルなインコが止まった。

「あれ? この世界にも普通の動物いるんだ」

美来が指で触れるとインコは気持ちよさそうに指に顔をすりつける。

そっか、いなかったらカツとか食べて共食いになるもんね……

ふと顔をあげると少し遠くの森の手前をカクランらしき人物が通り過ぎるのが見えた。

「カクラン!?……でも服装が違ったような……」

美来は立ち上がりその人物を追いかける。

ーードカッ!

人にぶつかりしりもちをつく。

「シャン!」

「美来ちゃん!? 何で一人で走ってるの?」

ぶつかった相手はシャンシャスだった。

「シャンだって何してるの?」

美来の肩にインコが止まる。

シャンは立ち上がり美来を起き上がらせる。

「俺はさっき食べ物につられて負けちゃって個人戦の方にナーゲルが指名されたから俺一人で……で、美来ちゃんは?」

「えっ?……あ! カクランっぽい人追いかけてたの」

「カクラン……っぽい人? 先生の匂いはあんまりしなかったけどそれっぽい人ならさっき森の奥に入ってったよ」

「ありがとう!」

美来は森の奥へインコと走って行ってしまった。シャンシャスも美来を追いかけ森の奥へ向かった。

「こっちだよ美来ちゃん」

「え? うん……」

シャンは美来に追いつき、カクランらしき人物を追う。

「そのインコ……何処かで見たような……ん〜」

「え? 知ってるの?」

「ぁあ、思い出した、ほらいつも教室の席一つだけ空いてるじゃん? その生徒の鳥だよ」

「余ってるだけだと思ってた」

美来はシャンにそう言われクラスの人数が二十五人ではなく二十六人だと知った。

今さっき通り過ぎた茂みの向こうに探している人物がいたのが見え美来はシャンを置いてそちらに行く。

「美来ちゃん!?」


茂みの先に進むと、周りが何かに包まれた感覚に足を止める。

「!!……な、何? これ何処かで」

前から女が歩いてくる見たことのある。

「あら〜人間じゃない、確か美来だったかしら?」

「アイレ!?」

「うふふっ覚えているのね……あなたのせいで私は左手をなくしたのよ? ゆっくりそこで息絶えるといいわ」

前の通り行けば出ようとすれば身体が切り刻まれてしまうだろう。

その事を美来は覚えていないため足を踏み出そうとする。

「動くな! 死にてぇのか?」

そう怒ったような声が聞こえ足を止めた。

カクランじゃない……誰?

美来のいる空間の酸素が低くなり視界が揺らぐ。

「誰よ、出てきなさい!」

アイレが呼びかけると、美来とアイレの間にごげ茶色の髪に狐耳のカチューシャをした人物がアイレの方を向き上から降りてきた。

後ろ姿はどう見てもカクランだったが服装が全く違う。

アイレはその人物を見て後ずさりをする。

「カ……カクラン??」

その人物は何かを握り降るが何も起きなかった。それが恥ずかしかったのか動きが止まり、アイレは馬鹿にしたように一歩前へ出てきた。

「に、人間……そのナイフ貸してくれ」

「えっ、でもこれは……」

早くよこせというように手を振るので美来はナイフを膜の外へ投げた。

アイレの攻撃を避けるため後ろに飛びながらナイフをつかみ美来を飛び越え反対側に着地した。

想像源を使うナイフを一瞬で2メートルの槍へと形を変えさせもう一度美来を飛び越えアイレに向かっていく。

「ひっ! こ、来ないで!!」

攻撃を全てかわしアイレに槍を振り下ろすがアイレは真空で作り出した風で盾を作る。

少しして槍を盾から離し後ろへ飛び抜く。

「ふふふっ敵わないと思った……!?」

アイレは盾を消し後ろへ足を動かそうとするが足が地面とくっついたように動かない。

「な、なによ! この足元の氷……さっきからこれを貼ってたの!?」

地面を蹴りアイレを槍で切り裂いた。

血が舞いアイレは膝から後ろへ崩れ倒れる。

「えっ……し、死んだ……の」

カクランじゃないのは確かだ……今のカクランは人を殺せないから……

「ヒックシュンッ!……」

寒いのかくしゃみをして身震いをした後、動かないアイレの服で元に戻したナイフの血を拭き取り美来の前に起く。

美来の目にはアイレの死体しか入っていない。

「なに驚いてる? この世界こんなことばかりだぞ怖えなら警備官になれるなんて思うな」

多分カクランに似た人物に睨まれているそんな感じがするほど恐怖を感じた。

その人物は美来の横を通り過ぎて行った。

「な、なに今の人……そばにいるだけで冷んやりしてて……」

後ろで足音がして振り向く。

「カクラン!?」

「へ?」

美来はカクランに飛びついた。

「良かった! 戻ってきた……」

「ちょ……み、美来? な、何してるの?」

いつも女性をナンパしているはずのカクランがうろたえていた。

ゆっくり美来の体を離し顔をそらしていた。

「どうしたの?」

よく見ると服装がさっきの人と同じでペンダントとカチューシャをしていなくて代わりに青のマフラーとクロスのピアスを付けていた。

「べ、別に……ちょっと予想外の事が起きただけで……美来? 震えてるけどどうした?」

美来は膝をつき泣き出した。

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