脱獄の理由
「いづ!……ヤギ!」
「あはははレゲインちゃんが無理してこうなるからだよ〜」
美来はレゲインが治療されているのを申し訳なさそうに見ながらしゅんとして立っていた。
「ゲ、ゲレインが美来ちゃんかばってそうなるなんて思わなかった……」
バムもかなりボロボロだった。
「レゲイン、バム……ごめんね……」
謝る美来を見てバムは笑いかける。
「まさかバムが目の前に来るなんて思ってなかったんだよ」
「美来ちゃんに頼まれたからだよ! 本当はゲレンデなんて助けたくないし!!」
「ゲレンデってなんだよ! ゲレインだ! あ……」
第1期模擬戦クラス対戦、美来達の班は二回目の試合で負けた。
イヌワシの双子に敵わなかったのだ。
個人戦ではレゲイン、バムともクラス第5位と4位を取った。
個人戦は班の対戦とセットだが班が負けるとその中から一人個人戦に出るものを決め、その一人の順位により班のメンバーの個人順位も変わる。強い者のいる班に入れたという運の順位でもあるだろう。
美来はバムとレゲインが怪我を負った時のことをほぼ覚えてはいなかったが、無傷の自分を見て美来をかばって怪我を負ったのは明白だった。
「知ってる、逆井さんこの後の学年対戦でクラス1位の班の順位で君達のクラスの呼び名が決まるんだよ〜」
「そうですか……」
明らかに落ち込んでしまっている美来をバムが励まそうとする。
「美来ちゃん気にしなくていいよ」
「アホらし、陰気な空気作ってんじゃねーよ気持ち悪いな」
レゲインはこういう重苦しい空気が嫌いだった。だがレゲイン自身その空気を破る術は持ち合わせておらず根源のバムを軽く殴った。
「いたっ! 私を殴らなくてもいいじゃん! はぁ……カクランが居ればなぁ〜」
「あと三日の我慢だよ! バム」
テレビを見ていたヤギは突然話題を切り替え始めた。
「あ、そうそうカクちゃんの出掛けた場所ね、今ニュースでやってた重犯罪者のいる牢獄だよ」
「なんでそんな話いますんだよ?」
テレビの方を見ると、確かにコンクリートや色々な石材で作られた刑務所の外観を映している。
『三ヶ月ほど前に収監されたドラゴンが脱獄した模様です。囚人は面会にきた者を身代わりに押し込め堂々と出ていったとの事です。この刑務所ではドラゴンを収監する場合人の姿で拘束し麻酔などで眠らせて行っていました。』
眠らされているのにどう面会するの?
「外見とか違うだろうに何でばれねぇんだ?」
「カクちゃんが身代わりだったりしてねぇ〜」
ヤギは笑いながらそう言うがもし本当なら笑い事ではない。
だが、レゲインが言うように見た目も違うのに堂々と監視カメラに映りながら脱獄など可能なのだろうか?
校長室では教頭が抗議に来ていた。
「魔女はドラゴンではなくケイヴ帝国に引き渡すべきです!!」
「あ、それそこね。ちょっと待て待てこの資料は間違えたら初めから書き直しと言ったろ」
教頭の話は無視をし自分の職務をこなす校長を見て教頭はふつふつと怒りがこみ上げてくる。
「校長!!」
「鬱陶しい!! 魔女の処理はドラゴンの仕事だ、ケイヴ帝国などに引き渡せるか、あそこは……駄目だ」
「それで人間のドラゴンを脱獄させたんですか? 正気じゃない!!」
「脱獄したんだ……まぁ、いいんじゃないか?」
適当にあしらわれ教頭は校長室を後にした。
校長は何を考えているんだ……人間や人間もどきを入学させて、またあの悲劇を繰り返すつもりか
「は! これじゃあ過ちを繰り返す人間と何ら変わりなどないではないか!!」




