載ってない理由
カクランが出かけて3日ほど経った。
レゲインはイロカの拷問のような授業に耐えきれずさぼり、図書館の個室に留まって調べ物をしていた。
そこへ美来も付いて行ったのだがバムは美来と離れてしばらくしてから気がつき仕方なく授業を受けている。
「レゲイン、何調べてるの?」
「世間の魔女の対応について」
「何で?」
レゲインは本から目を離し美来の方を向く。
「俺は魔女に対しては結構知ってるけどティーアン達についてはよくしらねぇんだ」
「え? でも今レゲインに言われて持ってきた本、教師の個人情報載ってるやつだよ? カクランのこと調べてるんでしょう?」
レゲインは図星を突かれたのが恥ずかしく思え、頬を赤らめて目をそらす。
「別に……そうだけど、あいつのこと一切伏せられてんだよ親なんて父親のことしか載ってねぇ」
調べ疲れたのか開いている本に手をつき立ち上がり出て行こうとする。
「どこ行くの? 本は?」
「そのままにしとけ、休憩したら戻ってくるからよ」
レゲインはそのまま手を振って個室から出て行った。
美来はその椅子に座り本を見る。
「あれ?」
本の下にもう一つ生徒の個人情報の載った本がレゲインのページを開いて置いてあった。
何でレゲイン自分の個人情報見てるの?
そこにはカクランと同じように母親の欄には一切何も書かれていない。
レゲインもじゃん……カクランのお父さんはラクカ・アニール……狐か、レゲインのお父さんはテラス・リフレイン、コウモリ
ーー後ろから手が伸びてきてその本を閉じた。
「美来、何を調べているのだい? プライバシーの侵害だこれは」
後ろを振り向くと校長が立っていた。
「え、これ普通に本棚にありましたよ?」
校長は疑いの目で美来を見る。
「な、何ですか? 人間だから信用でき……」
「そうではない、君は記憶が保たないだろ。この資料は私が元の場所に戻しておくよ」
二冊とも抱え込み個室から出て行こうとすると美来に呼び止められる。
「あの!」
「何かね?」
「何でカクランとレゲインの母親だけ載ってないんですか?」
校長は天上を見上げ顎をトントンと指で叩きしばらく考え込むと美来を見てニッコリとする。
「まぁ、人間の君になら教えても良いだろう、カクランの母親は人間なんだよ」
「人間……でもカクランは狐ですよね」
「父親の種族になっただけだよ体質はかなり人間寄りだ」
「じゃあ、レゲインは……」
「レゲイン? レゲインは入学書に本人が書き込まなかったのだよ、この事は他言無用だレゲインがここにいられなくなるからな」
口の前で人差し指を立てて誰にも言うなと美来に念を押して出ていった。
レゲインがいられなくなるってどういうことなの?
突然バムがレゲインを引きずって駆け込んできた。
「み、みみ、美来ちゃん!! 模擬戦、明日!ゲレインの奴美来ちゃんに一言もこの事教えなかったんだよ!」
「忘れてたんだ、離せよ首絞まってんだ」
「このままじゃあクラスの人に負けちゃう!」
バムがまるで何かのゼミの宣伝のような発言を始めた。
そのままレゲインを掴んでいた手を離しレゲインは床に落ちる。
「づっ……習う相手いねぇから負けるしかねーだろうが」
「ぁあ! バム、テンスラが居るじゃん! きっとまだカクランの部屋にいるよ!」
テンスラが教えられたとして一日でどうにかなるものではない。
バムは美来からテンスラの電話番号の書かれた紙を出させ電話をする、すると後ろの扉が開く。
「俺の事呼んだか?」
携帯を耳にあてながらテンスラが個室を覗いた。片手には力石、と書かれた本を持っている。
バムが事情を説明した。
「カクのかわりに? いいけど俺が教えられるのは剣術ぐらいなんだけど……」
願ったり叶ったりだ、能力をぬいた時の戦闘力が低い美来、レゲインは剣を武器として使っている。
美来とバムが顔を寄せて目を輝かせるのでテンスラは後ずさりする。
「カクにちゃんと習った方がいいと思うんだけどなぁ……教えるから本片付けて外行こうか」




