恐くない理由
「っ……」
レゲインは眩しい明かりに目を細めながら手をつき起き上がりフードをかぶりなおす。
だが次に目に入った光景に言葉が出ない。
すぐ側で倒れていた美来も目をさます。
「ふぁ〜凄い本当に寝てたんだ……?レゲインどうかしたの?」
「これ……魔法陣だ早くここからでねぇと悪魔に……」
走って出ようとするレゲインを美来は急いで止めた。
「何すんだ!」
「前! 前!」
レゲインは美来がしきりに目の前を見るように促すので前を向く。
目の前ではファンシーより少し年上の女の子が気を失っているシャンの首にナイフを突きつけていた。
「そこから出たら子犬の命はないよ!」
「……夢の魔女レヴェリー」
レゲインは美来の手を離させる。
「レゲイン……でちゃダメだよ?」
「美来、残念だったな俺が出るなってことはお前らしか助からないってことだ」
「えっ? どういうこと……」
レヴェリーはシャンの頭に足をかけ前のめりになって二人を見る。
「うん……そうだねレゲインちゃんが残ってくれるなら他の人は別にいいかな?」
すると突然ですレヴェリーのナイフを持つ腕が誰かに掴まれ体が浮き上がっる。
「キャッちょっと!!」
レヴェリーの後ろを見ると片手に赤い紐のついた槍を持ったカクランが立っていた。
そのままその辺にレヴェリーを放り投げた。
投げられたレヴェリーはその場から立ち上がりカクランに魔法を使おうとするが弾かれる。
「えっ! 結界」
レヴェリーは周りを見て八方向に護符が貼られているのに気がつく。
夢の中でのゲームは続いていた、だがファンシーがその場から姿を消しあたりが光に包まれる。
「何これ?」
「助けでも入ったんじゃないか?」
ファンシーも結界の中に放り込まれ、カクランは魔法陣の端を槍で削って消した。
「お前達、ここ立ち入り禁止なのに何してるよね?」
バム、ナーゲルも目を覚まし身体を起こす。
「先生……何でここに」
「何でって……1日行方不明になったら誰だって探すだろう? ディールスも目を覚ましたよ? 全くみんな災難だよ」
「け、けどいくら教師だからって魔女に対する恐怖に勝てるはずないだろ」
ナーゲルはカクランの行動に一番驚いていた。自分でさえ怖くて仕方のない相手に普通に触れて閉じ込めてしまったのだから。
「そう? 僕はドラゴンの方が怖いんだけどな……」
「でもカクランってドラゴンに知り合いいるよね?」
カクランはとても驚いていた。
何で美来がそんなこと知ってるんだ? 会った? そんなわけない、あいつがここに来るはずないし……
「まぁ、知り合い……なのか? そんな事より早く戻らないとお前達教頭に牢獄に放り込まれるよ」
カクランは槍をしまい腕を組んで呆れて立っていたが、足元でシャンが目をさましてカクランの怪我をしている方の足首を強く握った。
「あの……シャンシャス痛いんだけど」
ナーゲルは慌ててシャンシャスを止めに入る。
「シャン! いい加減やめろって」
「ナーゲル!!」
シャンはナーゲルを見るなり飛びついて押し倒してしまう。
レゲインはその様子をゴミを見るような目で見ていた。
「ゲレイン……今までの中で一番引いてる目怖い」
レゲインを見てバムが美来の後ろに隠れるようなそぶりをする。
カクランは仕事ができないのが嫌なのかイラついたように話す。
「とりあえず、戻れ、連絡して魔女のこと伝えないといけないし明日も別の先生が授業だろうね」
その後魔女二人はリスター島内にある牢獄へ厳重に入れられた。
美来達は教頭の説教を2時間聞かされるはめになったが美来が何度も怒られている理由を聞くのでほぼ美来への説教となった。
「全く、人間っていうのは記憶力無いのか?」
「とか言ってるけど、シャンデリアも落ち着きなくて何回も注意されたじゃん」
こう美来への悪口に言い返してくれるのはバムぐらいだ。
美来自身悪口を言われたことは忘れているが何度も起きているのでバムが味方についてくれていることは覚えていた。
「いいよバム、言いたいように言わせておけば私忘れるんだから」
「アホらし、俺先に寮に帰ってんからな」
レゲインは軽く手を振って一人廊下を歩いていく。
「ナーゲル、早くディールスのお見舞い行ってあげようよ」
「そうだな」
何かを忘れてお見舞いへ行こうとするナーゲルを美来が止めた。
「えっと、報酬は?」
「はぁ!? 覚えてるのかよ!? ……また明日絶対払うから」
その言葉を聞き美来は手を離した。
「美来ちゃん怖〜い、時々そういう所覚えてるんだからぁ〜」
「えへへ……生活費足りなくて」
美来は生活費を何に使っているのだろう。
バムは使い道に心当たりがあった、確かお菓子を買いまくっていたはずだ。




