逃亡②
レゲイン「…………」
美来「どーしたの? 画面見つめてぼーっとして」
レゲイン「別に。……? あのよ。その、皆んな知ってそうな事って聞きにくいよな」
美来「で、何を聞きたいの? 皆んな知ってそうな事って?」
レゲイン「……その。子供の父親ってどう決まるんだ?」
美来「は?」
レゲイン「ってか、産まれる前って親の中でどうなってんの?」
美来「……レゲイン」
バム「こういう時は、コウノトリが運んでくるんだよって言うんだよ?」
レゲイン「口実って言っちまってんだろ。つーか、母親から産まれるって事ぐらい知ってんだよ」
美来「ぁ……ん〜。ぁあ! キスした相手で決まるんだよ、子供ができない時もあるけど……」
レゲイン「は!? それマジで? だったらキツネの野郎やべぇだろ? 嘘だよな??」
美来「……本編よろしくね!!」
レゲイン「嘘だろ?」
美来「もういいから。カクランに聞くかネット……はダメか。保険の教科書でも見て」
バム「丸投げ美来ちゃん……」
メランから逃げると目の前にワイバーンが吹き飛ばされて来た。
後ろを向くとドラゴンの姿のメランが苦しそうに顔を引っ掻いていた。
「パープルにして正解だな」
ルウブは起き上がったワイバーンに乗り美来に手を差し出す。
「早くしろ、あいつが毒にもがいてる間に」
美来がルウブの手を掴みワイバーンに乗り込むと気が付いたメランがこちらに向かって来た。
ルウブは慌ててワイバーンを出発させ飛び立つ。後ろからはメランがどんな出来ていた。
「き、来てるよ」
「分かってる。嫌でも聞こえるだろ……何とかしろお前が。このままだと追い付かれる」
「え、私が?」
「もう一人ここに人がいんのか?」
居ない。
美来は銃を取り出しメランを確認した。
「あれ、何が効くの?」
「…………」
ルウブが黙り込んだことに目を丸くする。同じドラゴンならそれぐらい知っていると思っていたのだ。
するとメランが追いつきワイバーンの尻尾に噛み付いた。
「クォオオッ!」
尻尾は噛みちぎられ海へと投げ出された。
「落ち着け、尻尾が切れただけだろーが」
ルウブは首元を優しく撫でなだめる。ワイバーンは少し悲しそうに声を出していた。
「早くしねぇと、次は下半身持ってかれんぞ!」
それを聞いて驚いたのは美来ではなくワイバーンの方だった。明らかにスピードが少し上がっている。
美来はルウブにしがみつき飛ばされないようにしてから銃を持った片手をメランへ向けた。
引き金を引き放たれたのは白く光る光の矢だった。
矢はメランの大きく開かれた口の中へ吸い込まれる。その痛みで口が閉じられ、二発目が顔に当たり強く発光した。
「っ……」
美来自身の目をも潰すほどに。
メランはそのまま落下していった。
「……しばらくは立ち直れねぇだろ」
「ワイバーンもね。ルウブ、大丈夫?」
「あぁ」
あまり大丈夫そうではない。様子を伺うとルウブは待っていろとマフラーを美来に渡した。それ程暑かったのだ。
「……これ、洗ってる?」
「は?」
美来はこれ以上聞くのはやめ端の方を上と下になるように畳んだ。
「あいつにぶち壊されたから直接学校行くぞ」
「行きたくなかったの?」
ルウブは前を向いて黙り込んだので美来はルウブの耳を引っ張った。
「痛っ何だよ。当たり前だろ、喧嘩したんだからよ。魔女もいるし」
シュウイの事だという事は美来でも分かった。だが、それは魔女が嫌いだからというよりはカクランと同じくうるさいからという言い方だ。
「カクランと? 兄弟喧嘩するんだね、原因は?」
「カクに聞け」
美来はその場でカクランに電話をする。ルウブは驚いて美来の方を振り向くが、すぐ忘れるのだからそれが当たり前だと思った。
美来とカクランの会話がルウブの体調の話に入った途端、美来の携帯を下から弾き飛ばしキャッチし、通話を切った。
「ルウブ……死ぬの? 喧嘩の理由だよね? ぐちぐち言われるの嫌いなんだ?」
レゲインと似ているという事は言わないでおいた。
「リーダーが魔女と契約なんてゼッテーあっちゃいけねぇだろ……そんな事があれば、今度は全滅するかもしれねぇ」
「全滅? 何で? ドラゴンって強いでしょ?」
「ドラゴン狩りより強かったら百人まで減らねえよ。死ぬまで時間は充分あるって思ってたんだけどよ……次期リーダーどうすんだよ。オレ死んだらホント全滅だな」
やけに口数が多い。
「死にかけると口数が増えるのね」
「オレが無口だって誰が言った? お前、何打ってんだ?」
「今あった事。私も死んでほしくないし」
「そりゃあどうも」
「カクランが沈んでると気分悪いからだよ」
「あぁ、そっちか……」
若干落ち込んでいるルウブを見て美来はクスリと笑った。
学校の広場にワイバーンが着陸する。周りに人気はない。
ワイバーンは二人を下ろすと座り込み痛そうに鳴きながら尻尾の方を見る。
「おい、気にすんなよ。トカゲみたいにすぐ生えるだろ」
「ルウブも千切れたことある?」
「ねぇけど。めっちゃ痛そうだな」
ワイバーンが鳴きながらルウブの方に顔を寄せた。ルウブは尻尾が千切れた時の痛みを考え少し顔をひきつらせる。
「治せないの?」
「ドラゴンは自分の属性以外の魔法が使えねぇからな。想像石があれば別だけど」
美来はポケットから石を取り出しルウブに渡した。
「お前……まぁいい」
ワイバーンは傷を治そうとするルウブをじっと見ていた。ルウブが石を持ち傷を塞ぐと立ち上がり体を振るい嬉しそうにルウブに鼻先から擦り寄る。
「傷塞いだだけじゃねーかよ」
「あ、私、もう行くね」
「あぁ。覚えててもオレが話した事他に言うなよ」




