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ルウブ「お前が全てやるんだろ?」
カクラン「何で……」
ルウブ「いーか? 元はと言えばてめぇが女にオレの事勝手に紹介して、職場兼自宅の方にチョコが送られてきてんだからな? ブラザードラゴンっただけでその場所は割り出されんだぞ」
カクラン(ルウブが口数多い……)
ルウブ「……」
ーードガッ!!
カクラン「痛っ!? 待って待って! やめて、それはシャレにならないから、ちゃんとやるから!!」
ルウブ「二度と送るなってメッセージも付け足せよ」
カクラン「あ、間違えて母さんにも……! 槍下ろして、冗談だから。ってか、母さんにぐらい自分でやれよ!? クック○ーで簡単だろ」
ルウブ「……忙しい、めんどくさい、誰も作れだなんて頼んでねぇ、買えよ」
カクラン「分かったよ……人並みに出来るくせに、何で僕にやらせるんだよ」
ルウブ「本編に行け、殺る」
ルウブは熱にうなされる中、幼い頃の夢を見ていた。
「兄ちゃん、本当に大丈夫なの?」
少年の兄は目を瞑り弟の問いには答えなかった。
「僕、ここにいるからね」
「やめろよ。うつったらどーすんだよ」
「大丈夫だよ」
放心状態のカクランの目の前にレゲインは手を振る。
「何ぼーっとしてんの?」
「へ? いや、昔の事思い出してただけだよ。美来はちゃんと帰って来るだろうし、寮に戻るね」
「えっ、そう……」
レゲインは一人になると実質暇になるのだ。
寮に戻るカクランを詰まらなさそうに見送り、自分も寮に戻ろうとしたところで堪えきれず大きなあくびをする。
「寝みぃ……」
昨日から一睡もしていない事もあり瞼が重たい。
「そういやあ、バムのやつ」
ルウブはゆっくりと目を開けた。
ぼんやりとする視界の中で美来が何処から取り出したのか地下水で冷んやりと濡れたタオルを頭に乗せるのが見えた。
気持ちの良い冷たさが額に感じられた。
美来はルウブが目を開けたことに気がつき顔を覗き込む。
「だ、大丈夫なの?」
ルウブはまだ耳が聞こえていなかった。何を言ったのか聞き返そうとするがまだ声も出ず口元が小さく動いただけだ。
「へ? ごめんもう一回言って?」
人差し指を立てたのを見てもう一回という事を理解し、さっきとは別の事を聞く。何があったか、と。
「ん? えっと多分ルウブが倒れてた? 倒れた?」
「オレが? あっ」
「あ、声出ないのかと思った」
ルウブは耳が聞こえ声が出たのをいい事に起き上がり更に立ち上がろうとしよろけて座り込んでしまった。
「寝ていきなり起きたら立ちくらみするよ? 特に熱ある時とか。平均体温は?」
「は? ……十度だったんじゃねぇかな」
母親と離れる前までの平均体温だ。離れてから今まで一度も体温など測ったことはない。
「じゅっ!? マジで?」
「オレからしたらお前からその言葉が出る方がマジで? 何だけど……」
美来は更にルウブに呆れた顔をされた事に驚く。
「ブリザードラゴンは体温が低いんだ。オレは高い方」
少し考え込むと一瞬目を丸くするルウブをよそにルウブの片手を取り両手で握る。
美来が手を離すとルウブは自分の体温が高い事にようやく気がついた。
「元が十度で今三十六度以上って高熱だよね? 飛べるの?」
「無理だな。体調的にも」
ルウブは何とか立ち上がるが壁にもたれた。
「見ての通り、立ってんのがやっとだ。さすがに此処までになって気張ろう何て思わねぇよ」
普通に苦笑いを見せるので美来は内心引いていた。
「気持ち悪いかも」
「殺すぞてめぇ」
「熱にやられたの? 喜怒哀楽ができてるけど」
「殺すぞ」
ルウブは休むよう促す美来を連れて洞窟の出口へ向かっていた。
「実は笑顔が得意? 女の人向け?」
「作るのは無理だ。オレはカクじゃねぇ」
「何で倒れたの? 熱?」
「知らん、あの黒い奴の魂に食らいついたせいだろ」
関わりやすくなったのを見計らい美来は質問を繰り返す。どうせ忘れるものだと思いルウブは答える。
「魔女との契約って法律的に禁止されてたりするの?」
ルウブは足を止め美来を凝視した。
「されてたらカクは処刑だろ。こっち側にいる魔女も居るし、魔女を利用する奴も居るから禁止にはされねぇよ」
「契約なんてしないよ。レゲインができて言われたら別かもだけど」
「あいつ、魔女の子供だったな。魔女の血を引くか……なんの魔女だ?」
ルウブは手のひらを見つめる。
「磁気の魔女だよ?」
「ゲレインのじゃねーよ」
「レゲイン」
訂正された事が嫌だったのかルウブは黙って歩き出した。




