スカイドラゴン
カクラン「何探してんの? 僕の部屋でタンスまでひっくり返してさ……かなり迷惑なんだけど」
ルウブ「……」
カクラン「聞いてんのか? ルウブ? ちょっと!? まてまて」
ルウブ「邪魔すんなよ」
カクラン「するわ! 僕の部屋、空き巣に入られたみたいになってるからな!? 母さんに貰ったチョコでも、他のバレンタインチョコと一緒に送ったとか?」
ルウブ「……オレ、去年も送ったよな?」
カクラン「送ったな。去年のは気が付かず僕食べちゃったけどさ、今年のは何処にあるだろうな?」
ルウブ「……は? あ”?」
カクラン「ご、ごめんなさい、殴らないで!? 返す返す! 僕持ってるから!」
ルウブ「美味い……シャワー借りるな」
カクラン「なんで!? 部屋片付けてけよ。テンスラみたいな事すんなよ。僕の夕飯も食ってく気だろアレ。寝る場所も取られそうだな……あ、本編よろしくね」
美来はルウブが寝ている間木の下に座って空を眺めていたが眠ってしまった。
ドタドタという物音と眩しい朝日に目が覚め起き上がる。ルウブの方を見ると寝ていた。
他の場所に目をやるといかにも兵の様な人達がこちらに向かっているのが見えた。
「る、ルウブ!」
余程疲れていたのか呼びかけただけでは起きない。
明らかにこちらに敵意を向けた兵が近づいていたので慌ててルウブの体を揺すった。
「お、起きて!」
兵が周りを囲み何かを相談した後、銃を美来に向けた。銃声が響いた。
痛みも何も感じないのに気がついた美来は顔を上げた。
銃弾が氷の中で固まっている。
兵も美来も驚いて固まっている中、ルウブが美来の腕を引き兵の足元を氷で固め島の上を走り抜けた。
「跳ぶぞ」
「へ?」
島の端まで行くと速度を落とさずそのままジャンプした。美来は止まろうとしたがルウブが腕を引き寄せた為一緒に飛び出してしまった。
向かいの島の横に空いた洞窟にルウブは美来を抱えて着地した。
直ぐに島の上に居た兵達が銃口を向けた。
ルウブは高い場所を飛び越えて驚いている美来の腕を引き洞窟の奥へと走る。
「悪い。寝過ごした」
「さすが兄弟」
「……違う」
ルウブもカクランも寝起きは悪いが普段の体調で寝過ごす事は無い。
「違うって?」
ルウブは美来の疑問を無視する。
「ルウブ?」
「黙って走れ」
美来はその声が怒っている様に聞こえたので言われた通りにした。
しばらく洞窟を走っていると突然ルウブが足を止めゆっくり歩き出した。平然を装っているが息切れをしている。
「あの、大丈夫?」
「何が?」
「体調悪いんじゃ?」
「な訳あるか。もう直ぐ着くから黙ってろ、うるさい」
前を見ると洞窟を抜けた先に吊り橋が見え更に先に扉が見えた。
扉の前に行くと縦線の入った水色の瞳をした見張りが道を塞いだ。
「どちら様で?」
ルウブは見張りの男を睨み付けた。
「よく世間知らずな奴を見張りにつけたもんだな。呼んだのはお前らだろ」
「いえ、人間を連れた茶髪のブラザードラゴンなど見たことがなかったもので。それに規則なので華紋章を」
ルウブが華紋章を取り出して見せると男は扉を開けどうぞと合図した。
中へ入ると洞窟に木製の骨組みが組まれていた。少し広い通路には水色と白色の髪をし、見張りの男と同じ瞳をした人達が行き交っていた。
「ねぇ、ここって?」
「スカイドラゴンの拠点だ。あんまり離れるな、こいつらは……」
美来に忠告をしようとしたルウブは周りの視線を確認すると話すのをやめた。
一際目立つ立派な扉を通ると人気が無くなった。その先へ行くと祭壇の様な場所に老婆が座り、左右に付き人らしき人が居た。
「アレがリーダーなの?」
「いや。何百年も前のリーダーでこの世界で一番長く生きてる奴……らしい」
老婆は目を見開きルウブと美来を確認し付き人に耳打ちをした。
ルウブはそれを見て美来にコソッと言った。
「あいつ、あんまり声出せねぇんだよ」
耳打ちをされた付き人が前に出てきた。
「よくも抜け抜けと本人の前で言えたものですね。教養がなっていない様ですが?」
「別に、お前らにオレが敬意を払って接したらどうなるかぐらい分かってんだろ?」
「どうなりましたか?」
「喧嘩売ってんのか?」
付き人は目を細め不気味な笑みを浮かべた。
「まさか」
ルウブに喧嘩を売っていると勘違いされ攻められたとしてもブラザードラゴンには勝ち目が無いのを分かっていての反応だ。
「本題ですが、そちらが主人公候補の元モルモットですか?」
ルウブは睨みつけるだけで答えようとはせず目を逸らした。付き人は美来の顔を覗き込む。
「お名前をお伺いしても?」
「……逆井美来ーー」
「だ。」
ルウブが美来の言葉が敬語にならない様被せて来た。
付き人は美来に了承を得て武器を見たり色々と質問をして居た。美来はそれに快く答える。
もう一人の付き人がルウブをジッと見張っていた。
「なんだ? オレにも用があるんじゃねぇの?」
「無いと言えば嘘になりますが……思考や精神的な傾向を確認していただけですよ」
「気に食わねぇんだけど」
「最近起きている事件をご存知ですか?」
色々と思い浮かぶので質問には答えずジッと目を見返す。外れればバカにされるのが目に見えていたからだ。




