襲撃者
美来「レゲインって身長……」
レゲイン「163だけど?」
美来「カクランとルウブは?」
カクラン「175とルウブは181ね」
美来「レゲイン、あと二歳でカクランの身長越せるのかな……」
レゲイン「ひでぇなおい! 確かに、俺低いのか……何歳ぐらいで身長って止まるんだ?」
カクラン「丁度僕ぐらいの歳じゃないか?」
レゲイン「……伸びる気がしねぇ」
美来「でも、レゲインがカクランの身長越したら変な感じがするしだ、大丈夫だよ、バムよりは2センチ高いんだから」
レゲイン「1センチな。慰めようとすんなよ」
カクラン「ルウブはレゲインぐらいの時もっと低かったはずだけど」
レゲイン「ドラゴンだからだろ!? 俺、ティーアンですけど!? 身長の伸び方人間だからな!?」
カクラン「僕も低い方だと思うんだけどね。本編よろしく」
空を見上げたり、下を覗き込んだりと何気に美来は楽しんでいた。
「あんまりうろうろすると落ちるぞ」
「うん……ん?」
「あ? どうした?」
美来はあたりに影が落ちたのを不思議に思い空を見上げる。
「る、ルウブ……上」
「は? オレ、真上しかみれね……!」
美来を覆っていた影が消え、ルウブの背中に何が着地する衝撃が加わった。
「おい!」
美来は降りて来た人に襲いかかられ首にナイフが刺さりかけていた。
「何があった!?」
ルウブが呼びかけるも美来は答えている場合ではない。そこでルウブは唐突に人の姿に戻った。
「えっ……ひゃーっ!?」
襲いかかって来た人物共々落下を始める。
「チッ……何てことを」
襲撃者は美来に向かって黒い影を伸ばしたが、ドラゴンに姿を変えたルウブが美来をすくい上げると同時に襲撃者を尾で引っ叩き飛ばした。
遠くの方で大きな激突音が聞こえ、砂煙が見える程の勢いだ。
「あ、ありがと……隕石みたいだね」
「違え、見ろ。アレはドラゴンだ」
砂煙の合間から黒い巨大なドラゴンらしきものが見えた。
「ルウブより大きいね……」
「…………」
美来が座ったままウトウトしていると冷んやりとした雫がかかった。
「ぶっ……あ」
前を見ると島が空に浮いていて滝が流れていた。
「凄い……」
二回目だ。美来は覚えていない。
ルウブは建物が無く広い島に着陸し美来を降ろす前に人の姿になった。その為突然消えた足元に驚き美来は地面に落下しかけた。
「わりぃ。忘れてた」
ルウブが受け止め地面に下ろした。
携帯を取り出し時間を確認する。
「七時に会う予定だから、少し寝させろ」
「え……私、寝ないように寝たんだよね? だから今、起きてられるんだよね?」
「だろうな」
よく見るとルウブの目元に少し隈ができていた。余程忙しいのだろう。
「野宿?」
「だろうな。開いてねぇだろ。寝るから時計でも見てろ」
「はい……」
ルウブは島の端の方に生えている木の幹にもたれ座り込んだかと思うとそのまま横になり目を瞑った。
美来にはそれがカクランに見えて仕方がない。近寄って少し遠慮がちに覗き込むと目が開いた。
「……何してんだ。そっちにでも座ってろ」
「はい……」
カクランは寝ているところをチャイムの連打で起こされた。
「レゲイン……アマチュアゲーマーの連打力もなめたらダメだね……。何の用?」
「美来が戻ってねぇんだ。夕食の時も。携帯も繋がらないし、何か知らねえか?」
「心配なの? レゲインが? 美来の身を案じてるの?」
「うるっ!?」
レゲインが声を荒げかけたのでディネが口を手で塞いだ。
「ちょっと待ってて」
カクランは玄関先に二人を招き入れ、部屋の奥へ入って行った。しばらくすると戻って来た。髪が整えられ上着を羽織ってコールは付けていなかった。
「外出したらしいから、船着場に行くけどレゲイン達も来る?」
「……ぼくは戻るから。何かあったら呼んでほしい」
ディネは一人で家へ戻って行った。
レゲインはムッとしていたが、カクランと船着場に向かう事にした。
カクランはチラチラと途中から歩みが遅くなったレゲインを確認していた。
「どうした?」
「べ、別に……」
「何? 言いなよ。質問ならさ」
「……俺の父さんってどうなった?」
カクランはレゲインが追いつくまで足を止め、隣に来て歩き出してから答えた。
「どうもなってない。まだあの家にいると思うけど? 死んで欲しかったのか?」
レゲインは顔をそらし考え込んだ。
母親の元から戻って来た子を放って、自身が選んで産まれた筈の子を魔女の子だと忌み嫌った姿勢を見せ、それでも跡取りとして子の道を無理やり引いた父親。
レゲインはあまり覚えてはいなかったが、昔は優しく微笑みかけていた気がした。
「多分。死んでても生きてても構わない、と思う」
「そう。あの人って僕の父さんに似てると思うんだけど、政治に関わる微妙な位置の人ってみんなあんな感じなのかな……」
「政治に疎いガキに聞くなよ」




