カトゥルス王国
ルウブ「……カク、殴られたいからうなだれてんのか?」
カクラン「何でそんな解釈に?」
ルウブ「見ててウザいから」
カクラン「落ち込んでるのに鞭打ちしないでよ。女の子誘ったら僕の見た目で断られたんだよ……どうしろっていうんだよ!」
ルウブ「整形してやろうか?」
カクラン「やめて? ただのホラーだからな? もっと男らしい人がいいって言われたんだよ!? 悲しいじゃん」
ルウブ「知らねぇし……オレらそれ言われたら返す言葉ねぇだろ。それにおめぇはやってる事はクズオじゃねーか」
カクラン「!? 痛い。何で殴ったの!? 僕、キスしかしてないよ?」
ルウブ「本編よろ」
美来は言われたように船に乗り辺りが暗くなる頃に学校から一番近いカトゥルス王国の港にたどり着いた。
船から降りたのは美来と物資を受け取りに来た船員だけで辺りには人気が無く夜の静けさが漂っていた。
ルウブを探しながら遠くを見ると大きなお城が建物の間から垣間見える。それに気を取られたせいで人にぶつかった。
「あっす、すみませんっ!」
顔を確認しなかった美来は通り過ぎかけたが、直ぐに腕を掴まれ止められた。
「オレなんだけど。お前、人も忘れんのか?」
「えっ……? ルウブ。えっと、ごめんなさい」
ルウブは黙り腕を離した。
「起きてられるか?」
美来が頷くと付いて来いとは言わなかったが目を見て歩き出した。
「ね、ねぇ、なんで呼んだの?」
「お前に用ある奴がうるせぇから」
早歩きをするルウブの隣に並ぶと片手で胸辺りの服を握りしめてる事に気がついた。顔を見ると歯を食いしばっているのが一瞬だけ見えたが、見ているのに気がついたのか無表情に戻り顔を逸らした。
「あ、あの……お兄さん」
「さっき名前で呼んだのに今更だろ。その呼び方やめろ」
名前とかでは無く単にお兄さんと云う呼ばれ方が嫌な事は美来にも分かった。
「嫌だからカクランは名前なの?」
「違う。本人に聞け」
「……大丈夫?」
「別に」
美来は少し眉をひそめたのを見逃さなかった。
「寂しいとかじゃ無くて、体調……」
「は? 大丈夫ってんだろ」
体調について答えたと偽った。しばらく沈黙が続いたがルウブから沈黙を破る。
「カクがなんか言ったのか?」
「何かって?」
カクランが余計な事を言っていないと分かるとまた黙り込んだ。
しばらく歩くと森の中にいた。ルウブは周りを確認すると少し開けた場所へ行く。美来に少し距離を置くように言うと青い鱗のドラゴンに姿を変え、姿勢を低くする。
ドラゴンになっても無表情で顔立ちが綺麗だ。
美来がぼーっと眺めているとルウブが言った。
「早く乗れ」
何とかよじ登ると歩き回れる程の広さはあった。
「意外と広い」
「人の背中を……」
美来に何も言わず突然飛び立ったので、美来は振り落とされそうになり慌てて伏せて掴まれそうな場所にしがみついた。
しばらくすると風が弱くなり揺れも治った。
顔を上げると星空の中を飛んでいた。
「寝るなよ。気分悪いから」
「う、うん。何処行くの? 何分くらいかかるの?」
「スカイアイランド。五、六時間」
「何時くらい?」
「朝四時ぐらいか……最近は時間が元に戻りつつあるからな……」
「時間?」
「二十四時間周期にな」
「はぁ!? 来てない!?」
「ぎょっごめんなさいっ!! 本当に知らないんです! 実力行使しないでください」
美来が来ていないと聞いてレゲインは驚いて声を上げたが、そのせいで八班の少女は怯えて部屋の端の方で身を縮めた。
少女の部屋の入り口に立っていたレゲインはその怯えように戸惑う。
「レゲイン、彼女を説得したいのは分かるけどこの状況で入ったら犯罪者みたいだよ」
「お前の偏見じゃねぇか」
「女子寮だし……」
ディネが背後を伺うのでレゲインもそっと見る。廊下に出ているクラスの女子が不審な眼差しで見ていた。
「ぅ……視線が痛い。ね?」
「厨二くせえ。昔から向けられてんならお前も慣れろよ」
「君、慣れてるの?」
「あいつは何も知らねぇみてーだし、キツネの所当たるぞ」
ディネの呟きは聞こえてなかった。




