死の恐怖
バム「もう少し寄って……なんで斜めに立つの。まっすぐこっち向いて」
ルウブ「おい」
カクラン「肩ぶつかっただけじゃん、僕は写真撮るとき一回も前向いた事無いから距離感が掴めないんだよ」
ルウブ「斜め45度に何のこだわりがあんだよ。自撮りする女か」
カクラン「特に無いけど。自撮りする女の子が気に入らないのか?」
ルウブ「そいつの勝手だから知らね」
バム「黙って二人とも前向いて。にしても、髪型も見た感じも左右対称なのに……目つきと目の色は良いとして、身長差で全て無駄に」
カクラン、ルウブ「…………」
バム「どーしたの?」
カクラン「ぼ、僕の身長は段差でルウブに合わせれば良いとしてさ、無駄に傷つきやすいこの人に目つきを言ったらダメだよ〜」
ルウブ「此間、よく切れるナタを報酬がわりに貰ったんだ。丁度切れ味を試して報酬がわりになるか確認したかったところなんだけどよ」
バム「撮ったよ。肩組むとは思わなかったけど……」
カクラン「これ以上背低くなりたくは無い!!ありがとうバム」
ルウブ「背縮む前に寿命が縮むんだよ。逃げんな」
レゲインはグループルームでいつもの様に美来達と居た。少しフワフワとした感覚の中で椅子から立ち上がった。
するとサッと首元を何かが掠る感覚がし、服の襟とコールの紐の端が切れ落ちる。
「え……」
同時に喉の奥から血が溢れて来た。驚きを隠せないまま違和感のあった首に手を当てる。ヌルッと嫌な感覚が手に感じた。その瞬間に堰を切ったように首から血が噴き出した。
「っ……づあっ!?」
身をよじったレゲインは隔離病棟の病室をしっかりと確認する。夢を見て居たのだと安堵し首に触れると濡れていた。
「!? ぅわぁぁああああ!!」
思わず声を上げ壁によってしまったがそれが汗だと気がつき手を下ろした。
直ぐに扉が開いた為、レゲインはギョッとした目で入り口を見た。ヤギが驚いた様子で立っていた。
「どうしたんだい? 柄にもなく大声あげて、断末魔かと思って危ない所だったじゃないか〜」
「昨日殺されかけたんだけど」
「あはは、危なかったねぇ。すごい汗だけど大丈夫かぁい?」
ヤギがタオルを差し出すのでレゲインは受け取り上着を脱ぎ汗を拭う。
寒気を感じるぐらい汗をかく程、感覚がリアルな夢だった事が分かる。レゲイン自身夢の感覚から光景まで全て覚えていた。
予知夢? んなわけねぇな……。
「レゲインちゃん?」
「あ?」
「もう出てっていいよ。君の検査は終わったんだからね、風邪ひかないように」
「ん? あぁ……」
部屋から出るとバムが居る方から声が聞こえた。
「ギャァぁぁあああ」
レゲインはあいつもかと思いながらも医療館から外へ出た。
噴水近くに美来を見つけ声をかけようと近づいたが、手を上げようとした所でディネと普通に楽しそうに話しているのに気がつきやめた。
寂しさにモヤモヤとした気分を押し殺しフードを被りその場から離れた。
俺とバムの事はいいのかよ。ディネの奴……。
美来はふと思いつきである人に電話をした。
すると、背後から着信音がしディネと美来と離れようとしていたレゲインが驚き小さく声を上げた。
「レゲイン?」
レゲインはポケットから携帯を取り出し美来からの着信だと分かると着信を切った。
「な、何だよ、俺になんか用か?」
「うんん。バムとレゲイン同時に押して偶然レゲインだっただけ」
「お前、何してんの。入院中殆ど俺にしかかかってなかったじゃねぇか」
覚えていないのでキョトンとする美来とディネが座っているベンチに近づく。
「何でここにいるんだ?」
美来は何故か分かっていない。
レゲインは呆れ気味に溜息をつきベンチの背もたれに腕を置く。
「座んないの?」
美来にそう言われても空いている場所は美来の横しか無い。反対側にはディネが座っている。
「え? ……」
答えに困っているとディネが顔を向けた。
「どうしたの? 君、女の子の隣に座るのがーー」
「んなわけあるか! 並び順が気に入らないだけだっつーの」
美来を端にやりディネを真ん中にしてレゲインはその横に座った。
「……これ、ぼくが狭いんだけど」
「替わろうか?」
「うん」
自然な流れで元の順番に戻ろうとしている。
レゲインが入れ替わる事を申し出るとディネはその場所で我慢すると言った。
「レゲイン、バムは?」
「叫んでたのは聞こえたけど。明日ぐらいには出るんじゃねぇか?」
「叫んでた?」
「死ぬ夢でも見たんだろ」
レゲインが悪夢ではなく死ぬ夢と言ったことに首を傾げた。
「そっかぁ……あ」
ルウブからのメールがしつこいので早くバムに予定を確認したかったのだ。だが、確認する方法は他にもあったことに今気がついた。
「どーしたんだよ?」
バムに電話をかけ、予定を確認すると立ち上がった。
「予定の確認なら俺でも答えたのに」
「えっ……」
遠回りし過ぎた事に今気がついた。恐ろしいので絶対に忘れてルウブに言わないと誓う。
直ぐにルウブに連絡をすると直ぐにでた。
「う、うん。……へ? 一人で行き方なんて分からないよ? ……分かった」
カトゥルス王国で待ち合わせで行き方はメールするとの事だったので直ぐに学校の船着場へ向かおうとする。
「どこ行くんだよ?」
レゲインが聞き、隣でディネが頷いていた。
答えに困ると丁度メールが届き見ていたかのように対策法が書かれていた。
「八班の子に呼ばれたから。じゃあまた後でね」
ディネとレゲインは顔を見合わせた。




