二人への頼み
レゲイン「こう、隔離されてると昔の事思い出すな……」
カクラン「あぁ、あー」
レゲイン「何で遠慮してんの? 気持ち悪りぃ」
カクラン「触れちゃダメなのかと」
レゲイン「そこまで気にしてねぇし」
カクラン「そう。僕も思い出すけど、昔、何処かの店の冷凍庫にルウブが僕を閉じ込めたのを」
レゲイン「よく生きてんな……」
カクラン「助けたのもルウブだけどな」
レゲイン「……本編よろしくな」
「では、私が美来の親だと言ったら?」
レゲインは眉を顰め椅子に座った。が、もう通話を切ろうとはせず次の言葉を待つ。
リュコスはそれを見て話に興味を持ったのだと思い次の話に移った。
「答えてはくれないのか」
「カルテ見ろ。何の用だよ? 何で俺に話すんだよ?」
「もう一人は否定しにかかったからね。まるで神の信仰に狂った者の様だった、苦手なタイプだ。君は子供の反抗的な感じかな」
レゲインは無言で通話終了のボタンを何度もクリックした。
リュコスは子供らしいと言われて向きになるから子供らしいのだと微笑んだのでレゲインがそっぽを向いた。
「少し親睦を深める為に君の事でも当ててみようか。魔女の子供」
レゲインは無反応だった。
「おや? 聞き飽きたかな?」
「それなりに。つーか、本題入れよ」
「本題……あぁ、実験のせいで忘れやすい子だけどよろしく頼むよ、君達」
「実験?」
「まぁ、それだけじゃ無いらしいけど。あ、私が親だということは他言無用だからね」
レゲインが、質問をしようとした所で一方的に通話を切られた。
「意味深なこと言って切るなよ!」
突っ込んだ途端に扉が開きヤギが入って来た。解剖の後なのか何故か服に血が付いており、余韻に浸っている様に見える。
「レゲインちゃん、この検査が終われば出られるからね〜え」
「待て待て待て!! それは、解剖用の道具だろ!? 俺は生きてんぞ!」
レゲインの断末魔らしき声がバムの所まで聞こえたらしい。
翌日、カクランは必要物を取りに職員室に来ていた。他の教師の大半がカクランの事を疎ましく思っているのが分かったのでこういう時にしか職員室に来ることはなかった。
机の上には朝配られたであろうプリントが積まれていた。いつもは重要な事や物はアウラーを通していたが流石に持てそうな量ではない。
「何でこんなにも……?」
ぐしゃぐしゃにならないよう持って来た箱に紙の束をを入れ抱える。
何もなくなった筈の机が目の端に映った。気になり目を向けると机の上には付箋が貼られ"人殺し"という言葉が多く書かれていた。顔を上げると他の教師がカクランを見て顔をしかめたり睨んだりしていた。
子供と大人の違いだよなこれ。
箱を置き仕方ないので付箋を剥がす。
その中に一枚だけ全く別の事が書かれていた。
"君が見捨てなければ"
こんな事を書く人は元クラスメイトの中でリガーティオかメランぐらいだったが、リガーティオは前に祓われていた。メランは見捨てたわけでもないのでここまではしない筈だ。
他のクラスメイトの可能性を考えたがあり得ないと言う結論に達し、気にしないことにした。
カクランが職員室から出るとき、足元が見えないのをいい事に若い教師が足を引っ掛けた。
「おっ……」
カクランは持ちこたえ同時に何かがへし折れる音が聞こえた。
目の前の転ばせようとした教師の足首の骨が折れる音だったらしい。痛みに顔を歪めている。
「大丈夫……? 何だ、男か。自業自得だよ」
心配する様子を見せたカクランは教師が男だと気がつくと踵を返し教師を放って職員室から出て行った。
美来はバムの代わりに何故か起こしに来たディネと教室に来た。
中に入った時の他の生徒の反応を見たディネは足を止めた。
「どうしたの?」
「……ん」
「へ?」
はっきり聞こえないのでディネの方に近づくと腕を掴まれた。
「えっ?」
そのまま教室の外に引き連れられカクランとすれ違う。
「美来、ディネ?」
キョトンとするカクランを他所にディネは美来を連れて外に出た。
「ちょっと」
美来が話しかけるとようやく止まり腕を離す。
「ごめん……」
「何が?」
「ぼく、人に対しては気が弱いし。でも、傍観者にはなりたくなかったから、こうするしか……今日は休んだ方がいいよ。ぼくも」
美来は全くディネの言っている事が理解できなかった。教室を見たのもほんの数秒だったので既に忘れている。
ディネの薄いが悔しそうな顔を見た美来は黙って頷いた。




