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困惑している理由

私を気にした様子で狐耳の人は説明を始める。

「見事合格した皆さんは、今日からこの無人島に建てられた寮で生活するわけだが」

あの焦げ茶色の髪の狐耳の人、私とあまり齢が変わらないような……。夢だからか、私の欲がでたんだな。

え……私は狐耳なんて着けさせたいのか!?こんな趣味があったなんて……。

美来が頭を抱えている中、話が進む。

「これから最低三年間教える担任だ、よろしく」

—―なまえは?

皆がそういう目で見ていた。

「な、なに……あ、担任のカクランだ」

美来は心の中で言う。

変な名前……。

声には間違っても出さない。いたぶる趣味なんてないから。

気を付けないと……。

「えっと、一応この学校について説明しておくな」

カクランは丁寧な口調で話そうとしているのか普段の話し方と混ざっている。

「まず、この学校はここの世界から不法に別の次元に行った者や問題や事件を取り締まる異空次元警備官、この学校でそれを教える教師に就職するための学校だ。知ってるよな」

いやいや、私、何も知らないんだよ。

「異空次元警備官は他の次元に行ってそこの人に紛れて生活をして監視するわけだが、成績のいい方が好きな次元を選べて、悪いとランダムになるからな」

もう、口調に丁寧もなにもない。あきらめて、普段の口調になった。

「生活については、寮の周りに売店とかあるから、そこで必要なものを買い込んでくれ。あと、学校は、三日後だから……えと、この海域の外は一日が六十時間だが、ここは、時空が少しずれているから一日は、二十四時間だ、登校は、朝九時までだから間違えるなよ」

長! 一日普通二十四でしょ!

これ、本当に夢だよね?

「あとは、学校から生活費が貰えるから。寮のことは寮監のビルに聞いてくれ。今日は、これで終わりだ、じゃあな」

本当に教師なのかと思う感じに、我先にとカクランは出ていった。

美来は周りを確認し寮に向かう皆についていく

道の途中肩を叩かれた。

振り向くとそこにはパンダのフードをかぶった変わった髪色の女の子がいた。どのように変わっているか説明すると銀髪で先に行くほどピンクっぽくなっている。

美来より背は高く年上に見える

「バムだよ、よろしくね」

にこにこしていて、愛想のよさそうな感じで手を差し出す。

美来は手を取り握手をした。

「君の名前は?」

何で言わないのというように聞いてきた。

「み、美来…よろしく」

美来が戸惑いながら答えたのを見て不思議そうにしていた。

「人見知りさんなの?」

人見知りどころではない、いや、人見知りじゃないけど。混乱してるからしかたないよ。


寮に行くとビーバーのお面を頭の横に着けた茶髪の三十ぐらいの女性がいた。

「新入生の皆さん合格おめでとうございます」

声は笑っているのに顔は笑っていない。

「私は、ここの寮監のビルです」

ビル!? 女性だった!! 完全に男性かと思ってたよ。

名前に騙されたごめんねビルさん……。

「皆さんの部屋は、三階です」

寮はU字型の建物になっていた。カクカクしていてテトリスのような……。

「正面から見て左側が、男子寮、右が女子寮です。夕食と朝食は、朝七時と夜六時に一階で食べられますそれ以外は自分で。あと、就寝時間は特にないので」

丁寧に説明をしてくれた。相変わらず無表情ではあったが。


三階へ行き部屋割りは自分たちで決めろということだったのでそれぞれ適当な部屋に入っていった。

部屋にはシャワールームがついている。それに、共同のリビングがあった。

夜だったのでとりあえずシャワーを浴び寝ることにした。

夢から覚めることを願って……。



いや、今日は違うものにしようかな……。なくなるまで使わないといけないしな。

カクランは寮の近くの店街の店先で切れてしまったシャンプーを買い替えに商品を見ていた。

「どうしょうか……」

誰かに服を引っ張られ振り向くと涙目になった美来がいた。

「ど、どうしたの?」

そう聞くと、絞り出した涙声で聞かれる。

「もう、家に帰れないのかな? ねぇ……」

昨日から様子が変だったのはそういうことだと理解した。

「泣かないで、大丈夫だから」

大丈夫ではないだろう、言葉がこれしか出てこなかったのだ。

美来はしゃがみ込んでしまった。

通り過ぎていく人がカクランを軽蔑した目で見てくる。

“とうとうあいつがやらかしたか”という感じだ。

「ちょっ、まてまて、泣くなって」

どう見てもカクランが悪く見える。


美来をつれ人目に付かない高台に行く。

「ハぁ……やばいって」

あれでは生徒に手を出したうえに浮気をして泣かせた最低な奴になってしまう。

下手したら警官を呼ばれる。

美来を見るとまたその場でしゃがんで泣いていた。

「皆心配してるかも……」

そう呟いている。

「君が、君の居た世界に戻るまでに心配する時間なんて無いよ」

聞こえていたらしくカクランを見上げていた。

カクランは続ける。

「君の世界のものは、君がこの世界に迷い込んでしまったときに時間が止まったんだよ。戻ることを諦めなければ動くことはないよ」

カクランを見て美来は聞く。

「私、帰れるの? 諦めたらどうなるの?」

「帰れるよ、諦めたら君はこの世界の住民になって元々居た世界では、行方不明、神隠しとか言われたり、死んだことになったり、最悪……初めから存在しなかったことになる」

「どうすれば帰れるの? かえして……」

カクランにすがるように言った。

カクランは困ったが事実をいう。この世界に連れてこられたのだ本当の事を知っていなければならないだろう。

「ごめんね……僕には、美来を元の世界に返すことはできないんだ」

美来は立ち上がりカクランの服をつかむ。

「なんで?」

「と、言われても……君をここに連れ込んだのはこの学校なんだから、校長が言ってたのが君だなんて僕は今知ったんだよ」


数日前

「と、言うわけで、君のクラスに創造者の居る世界から一人入れるから、試験で落とすことが無いようにねっ」

校長が何を言っているのか初めは、分からなかった。

「!? ……それって、ら……ちするってこと――」

「君じゃないんだからそんなことはしないよ!」

机に手を突き身を乗り出して怒鳴ってきた。

すぐに腰を下ろし腕を組む。

「ほら、最近あの世界に次元の歪みがよく発生してこちらに迷い込んでしまう者が増えただろ……それを見てもらうための人が居ないと困るだろ」

「俺も誘拐なんてしないけどな……」

「とにかく、頼んだよ」

嫌な気しかしなくて断ろうとすると、電話がかかってきて、

「あとは、頼んだよ」

遮られて言えず、拒否できずその日を迎えたのだった。


「知らなかったのに……何で私は、合格したの」

俯きカクランに言う。

「まさか、この世界の創造者でもない君にこの世界の能力があるなんて思わないよ。でも、落ちてたら君……どこに行くの」

確かにというように美来は口ごもってしまった。

「一応、君のこと聞いてみるけど……無理だろうね」

「じゃあ、どうすればかえしてくれるの!?」

「他の人と同じように三年間いて、正式に卒業すればいいと思うけど」

美来はまた落ち込んで頭を抱え込んでしまった。

「あぁ、駄目だよ、勉強できないんだよ……」

「そ、そこまで厳しくないから大丈夫だよこれでもオレ、地理とかできないよ」

誰もあなたの苦手なものは聞いてない……。

これからどうしょう強制的にこんな所に入れられて。

「頑張れば、卒業できるよ」

疑いの目で見てくる。

「あの……先生だよね? 何歳?」

カクランはこの世界の法則を説明した。

「で、俺は、身体的には十八歳だけどこの世界で百年以上生きてるね十八歳になったのは最近だけど。でも、君の世界で換算するとそんなもんの年齢であっている。世界によって時間の進み方が違うからね」

ややこしくてよく分からなかった。

買い物の途中だったらしいのでついていくことになった。何度見ても教師には見えない。

「それ、女性向けのシャンプーじゃ……」

「そうだよ? 男物は匂いがなれなくてね」

もうすぐ学校が始まる日だ。

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