なきむし
レゲイン「見てる人は寒さに凍えてんのに俺らは暑さに参ってるって」
美来「レゲインはどっちがいいの?」
レゲイン「春か秋」
バム「遥か秋?」
レゲイン「春と秋のどちらか!」
バム「春人秋野どちらが……春人秋野って?」
レゲイン「もういい」
美来「私は温度の安定した部屋に居られるなら何処でも」
レゲイン「お前って意外と室内系なのな」
バム「インドア派ね」
レゲイン「黙れ。」
美来「本編よろしく!」
霧がゆっくりと消えてゆくのを確認したカクランは結界を解いた。
「おいおい、ルウブの奴、俺らまで殺す気かよ」
「前からこうじゃん?」
「カク、よく生きてるよな……」
カクランは頭をクシャッとし照れくさそうに笑っている。
すると霧の中から落ちた左側の前髪を直しながらルウブが出てきた。
「流石ルウブ。僕の演技には騙されたけどね」
カクランがからかうとマフラーを巻き直したルウブは目をそらす。
「お前、凍ればよかったのに。マジで死ねよ」
「嫌だよ。凍死なんて」
そう話している中、部屋の一角に出来ていた木の幹の球体が解ける。
「あ〜ら、シュウイ久しぶりねぇ。私の子と逃げた時はあなたを疑ったわ。ラザーは元気?」
「ラザーは……別の国に……そ、それに、ラザーは魔女を追放されてここに」
それを聞いたヘルバは少し考えるような仕草をした。
成る程。確かにあの子は過激すぎたのかもね。せっかく三級魔女だというのに。
「それとこれとは話が別ね」
怯えたシュウイに木の枝を猛スピードで伸ばす。当たる寸前でカクランに斬り裂かれ燃やされた。
「確か、君には一回警告したよね? 死にたいの?」
歯を食いしばり怒りを露わにしたヘルバは怒鳴った。
「シュウイ! あなた、その愚かなドラゴンに言ってあげるといいわ! 狐と契約して助けたけれど先は長くないってね!!」
その言葉に驚きカクランとルウブは顔を合わせる。
「その上でそのドラゴンと契約をして戻ってくるなら取り計らってあげる! それが出来ないのなら覚えておきなさい!!」
床から生えてきた木がヘルバを包んでいく。
「絶対、殺すわよ……」
木が床を突き抜け沈んで行きヘルバの姿は消えた。
長い沈黙が続いた。
「あの……」
その沈黙を破ったのはシュウイだった。
テンスラ、カクラン、ルウブが同時にシュウイの方を見る。
「わ、私は、契約をしてもいいです。その代わり魔女の元には戻りません」
「は? どーゆう意味だよ?」
「魔女の元に戻っても私は殺されますから……契約をすればルウブさんは助かります」
「オレに魔女と契約してまで生き延びろってんのか? やるわけねぇだろ」
シュウイはルウブの目を見て頷いた。カクランは気まずそうにしながらもシュウイの肩に手をおく。
「死ぬっても別に今すぐって訳でもないだろ? 二人とも結論出すの早くないか? 因みに僕は死んでほしくないからね」
ルウブは視線をそらす。
「って訳でこの話はここを無事出てからね。僕は美来達捜しに行くけど、勿論シュウイも一緒にね」
「んじゃあ俺はルウブと行動するわ。こいつ泣き虫だし」
皮肉を込めて言ったテンスラの横にルウブが来る。
「髪切るぞ。歳上はもう少し敬えよ」
「わ、悪かったって、ルウブ」
久しぶりに会った二人が話す中、カクランはシュウイと共に美来達を捜しに向かった。
美来から離れた後もレゲインは涙が止まらない。
「レゲイン、意外と泣き虫なんだね」
「お、お前だって泣いて……」
レゲインが泣き出した時に泣き止んでいた美来は泣いた痕跡が殆どない。美来は仕方なさそうに微笑んで頭をポンポンと撫でるとレゲインは手を払いそっぽを向く。
「やめろよ。もう泣いてねぇって」
そう言うと残りの涙を拭い立ち上がった。
「バム捜しに行くぞ」
「あぁ、それなら連絡入ってたよ」
「は!?」
「入口の方から中に歩いてってるって今」
レゲインはムッとしながら頭を軽く掻きドアを開けそっと外の様子を確認した。
「大丈夫そうだぞ。早くバムと合流するぞ」
美来は頷いて立ち上がった。




