生きていた
美来「年賀状……この世界にいると送る人が」
バム「わざわざ出さなくてもいつも会ってるからね」
美来「へ? 送る人が居ないって話だったのに」
レゲイン「いや、友達間で送るものだろ? 最近は携帯で済ませたりだよな。俺、やった事ないし」
バム「友達がいなかったんでしょ」
美来「あ、バムとレゲインとカクランとか居たんだ。この世界にも年賀状あるんだね……世界的に」
バム「本当だ、世界的にやってる」
レゲイン「凄えな、他世界から流れたからってんのもあるのかも」
バム「他世界のものだったの?」
レゲイン「日本が存在する世界からだろ」
美来「本編よろしくね! 話が長いから」
目の前に這い出しゆっくりと立ち上がる人らしきモノをルウブは黙って見ながら槍を取り出した。
「こいつらは創造者のなりそこないだ。まぁ、戦力にはなる力を持ってるからな、これだけいればお前だって……」
プレディは笑いながら奥へと歩いて行った。ルウブはプレディを追おうとするが何体もいるモルモットに遮られる。
敵に囲まれているのはヘルバも同様だった。
「あらら……見物を決め込みたかったのだけれど、メランも居ないしやるしか無いわね」
カクランとテンスラ、シュウイはルウブの元に向かっていたが濡れた床に足をついたシュウイが滑った。
「おっ!? 危なっ」
カクランに手を引かれ転ばずに助かった。
テンスラは足を止めた二人が追いつくのを待つ為止まり床に張った水を踏む。
「洗浄でもしてんのか? 水の魔女が水で滑るとか……」
追いついたシュウイが恥ずかしそうに言った。
「ぬ、濡れていることに気がつかなかったんです!」
テンスラはシュウイを見て自分の頭を引っ掻く。カクランは二人を横目に先に走って行った。二人が顔を見合わせるとシュウイが口を開いた。
「も、もしかすると実験体を出したのかもしれません」
「実験体?」
「創造者の実験体なのですが……殆どが失敗作でゾンビみたいなものですが数体はそれなりに能力を使えるんです」
テンスラはカクランを追いかける。その後をシュウイも追う。
「なんでそんなもの出したんだ?」
「このエリアの上層部が崩れたのかもしれません。それで出したのかも……」
ルウブは次々に襲い掛かってくる実験体を薙ぎ倒していた。
木の枝を伸ばし高みの見物に徹することのできたヘルバはつまらなさそうにルウブを観ていた。
全く、自暴自棄かしら?
「あら?」
カクラン達の気配を感じたヘルバは入口の方を見て口元に笑みを浮かべた。
ルウブは難なく実験体を倒していたが突然槍が弾かれた。
「!?……」
「ぁぁ……視えるやめて、私はジブンノサキナンテミタクナイ……」
入院着のような服にまだ綺麗な肌色を保った顔や腕が特徴的な女性だった。
苦しむ女性の手に青色の光が灯り剣が握られた。突然の女性の猛攻にルウブは反応するが予想以上の力で打撃を与えられる。
突然の事もありルウブは押されて行き槍を落とした。女性はそこで手を止める。
「あなた……カゾクヲ?」
ルウブは息を呑む。だんだんと迫ってくる女性に後ずさりをし尻餅をついてしまった。
振り上げられる剣をただ声を詰まらせ見ていた。脳裏では幼い頃、母親と交わした会話やその時のカクランの様子が浮かんだ。
オレは、母さんと約束したのに……あいつを……。
振り下ろされる短い間にジワジワと目元に涙が溜まる。だが、次の瞬間ーー
「……!!」
ルウブの背後から槍が伸びルウブに届く直前の剣を弾き女性が伐り倒された。
ルウブは驚きながらも目の前に立つカクランの姿を捉えていた。
「やぁ、ルウブ。あれ? まだ泣いてんの?」
カクランは涙を浮かべ驚き口を開けたままのルウブに近寄り顔を覗く。
「名演技だっただろ? 僕がルウブ泣かせるのって二回めかな?」
そのままカクランを見て微動だにしないルウブを見て首をかしげる。
「どうしたの?」
「お、お前……何で生きて……?」
「僕がルウブに殺されるわけないじゃん。だろ?」
ルウブの目元に溜まっていた涙が頰を伝った。カクランの後ろに敵が来るのを呆然と見ていると後ろからテンスラが駆け込み床に落ちていたルウブの槍で敵をなぎ倒す。
「おい、よそ見してる場合じゃないだろ? 危険確認出来ずに入り込んじまったじゃねぇか」
そう言いながらルウブの横に槍を突き立てた。
「テンスラ……」
「早く立てよ。これぐらいルウブなら容易く凍らされるだろ? 特に水が多ければ」
テンスラはルウブの後ろにいるシュウイに合図をする。シュウイは頷くと周りの水を集め大きな津波にして迫ってくる敵に流し込む。
カクランとテンスラはルウブを置いて安全な方へ向った。
「……!」
正気に戻ったルウブは立ち上がり槍を床から引き抜いた。その瞬間、部屋の中は霧に包まれた。
「うわっマジかよ!? カク!」
霧に巻き込まれる前にカクランはシュウイの方へ戻り無理やり抱え、テンスラのそばへ行き結界を張った。その瞬間、結果も霧の中へと消えた。




