道化師
バム「アニメ声とは?」
レゲイン「アニメっぽい声」
バム「聞いたことある?」
レゲイン「聞くも何も……アニメ側に近い場所にいるんだ! 常に聞いてるようなものじゃねぇか」
バム「じゃあ、こっちにとってのアニメ声とは……」
レゲイン「想像者の居る世界の人の声がむしろアニメ声と捉えられるんじゃね?」
バム「……そもそも、アニメが無かったらアニメ声って単語無いよね」
レゲイン「何で根本に戻りやがった……」
バム「ぁあ! 本編どうぞ!」
「最近流行りの道化師狂気キャラか?」
「まだシンプルでマシな方だと思っているのですがねー」
レゲインの目の前から消えたかと思うと腹部に衝撃が走っていた。レゲインは噎せながらも抵抗をしようと足掻いていた。
痛みが引いた美来はそっと廊下を覗き込む。開けた扉の隙間から廊下に広がっていた血が流れ込んでくる。
さっきの声、シャンだよね。
床に転がった鉄の塊を見る。美来はレゲインがやった物だと確信した。
「……レゲイン?」
呼んでみたが近くには居ない。すると廊下の先から打撃音が聞こえてきた。音のする方を見ると血の足跡が数歩続いていた。
「レゲイン!」
レゲインがいるであろう方向に向かって大声で呼ぶ。
何度も殴られ苦しさで意識が飛びそうになっていたレゲインは微かに聞こえた美来の声に反応し次の攻撃を避けることができた。
「ケホッ……美来?」
「こちらの無視をしようだなんてーナメてますねー!」
レゲインは次の攻撃に耐えるため身を丸めたが大きな爆発音が聞こえただけだった。
顔を上げると目の前に道化師は居なく、少し離れた場所で美来が銃を構えて立っていた。
「みら……! っ」
美来の横に道化師か来るのを見たレゲインは咄嗟に立ち上がり、側の壁などに使われていた鉄を剥がし飛ばす。道化師が避けながら逃げようとする美来に攻撃を加える前にレゲインは美来に飛びかかった。
攻撃を避けられたものの勢いよく床を転がり壁に激突した。
「づっ……大丈夫か?」
「レゲイン……良かった。あれ?」
美来はバムがいない事を聞こうとしたがレゲインに止められる。
「話は後だ。逃げるぞ」
レゲインは次の攻撃を美来を抱えて避けると、美来を降ろした。
「う、うん」
走り出したレゲインの後を付いて行く。
「負け犬ですねー、逃げるのなら足を狙うまでですよー」
美来はそっと後ろの様子を伺うと道化師は壁や床をピョンピョンと跳ねるようにして追いかけて来るのが見えた。
「な、何あれ」
レゲインも少し後ろを向いたがその光景を直視したくないため直ぐに前を向いた。廊下の先に曲がり角が見える。
「知るかよ。美来、壁作れるか?」
「えっ? ……多分」
「あいつが追いつく前に、間に廊下を塞いで作れ」
美来は頷き道化師のいる方へ銃を向けた。
道化師は何か攻撃が来るのだと思い避ける用意をしたが目の前に突然現れた壁に激突してしまった。
「壁ですかー? これぐらいで逃げ切ったつもりですかねー!?」
何度かの打撃で壁は砕かれた。その先の分かれ道を見てもう一つ壁がある方へと行き壊し先へ進んで行った。
美来とレゲインは曲がり角の側の部屋の中で安堵の溜息をついていた。
美来は丁度いい高さの台に腰掛け、未だに流れて来る涙を拭う。
「美来、その」
レゲインは気まずそうに目を逸らした。涙目で不思議そうに覗く美来と目を合わせることができなかったのだ。
「前に言ったこと、覚えてたりするのか?」
美来は首をかしげる。
「一人で逃るくせにあんな事言って、悪かった。美来は何回も俺らのこと助けてたのに」
恥ずかしさと後悔、罪悪感で溢れ出そうになる涙を堪え膝をついた。
「けど、俺は何も……!」
少しづつ目元に溜まっていた涙が床に落ちる。それを見ていた美来はレゲインの頭を抱き寄せた。
レゲインは突然の事に驚いていたが更に目を潤ませ美来の体に腕を回した。
「俺だって何もできないのに……」
「レゲイン、気にしてないよ。あの時は怒ってたから咄嗟に出た言葉でしょ?」
美来はしっかりその時のことを覚えていた。それはつまり少なからず気にしていたことを表していた。レゲインは美来の体に顔を埋めすすり泣いた。美来は仕方なさそうに頭を撫でた。
よく考えると見た目十六だけど私より年下だしね……。




