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守ってきたモノ

エリスン「似合わないタイトルだね」


ナーゲル「そうかもな」


シャン「守ってきたモノって?」


エリスン「個々の自由」


ナーゲル「嫌々でもシャン……か」


シャン「嫌々なの!? 俺のこと嫌いなの?」


ナーゲル「面倒いとしか。嫌いだったらやらない」


エリスン「仲が良いなぁ。面白い!」


ナーゲル「何が……。本編行ってくれ」

厳重に閉じられた扉が見えレゲインとシャンが駆け出した時、十字の廊下で足を止め遠くを見た。

「バム? どうしたんだよ?」

「ルル……ゲレイン! 私、あとで合流するから先行ってて!」

「おい!」

レゲインがバムを止めようとするが走って誰かを追いかけて行ってしまった。

「バム!!」

「レゲイン、また後でって言ってたから行こうよ?」

シャンに促され仕方なく扉の方へ向かう。鉄扉に手をかざすと右の壁側に歪んで潰れた。レゲインの魔力はそれなりに回復していたのだ。

できた隙間を抜けて先に進んだ。



「魔女を信じろとは言わないからさ、この子だけは見逃してくれないかな?」

カクランが困り笑いで頼むがルウブは睨み付けた状態から一切微動だにしない。

それを見たカクランは息を大きく吸い、槍を取り出した。ルウブも槍を取り出し一歩足を引いた。

「ルウブは好戦的だけどさ、僕と考えは同じだと思ってたんだけどね」

「考え?」

「言わないし、今死ぬ気は無いから」

カクランはルウブを見据えて片足を大きく引き槍の穂先を後ろにし構えた。地面を蹴り一瞬の隙にルウブの目の前まで来ると槍を横から振った。ルウブはそれを上に跳び避ける。

ルウブは逆さに体を捻りながら跳ぶ中カクランと目が合う。

「女に甘いとは思ってたけど敵にもとはな」

カクランの後ろに着地をすると回りながら槍で横から殴りかかる。カクランはそれを槍の

柄で防ぐ。二撃目三撃目も同じように防ぎ四撃目の突きが来た時、槍を弾くようにぶつけた。

「そういう風にしか見えないんだね、ルウブ」

ルウブは体勢が崩れた隙を付いて横から飛んでくる水色の火の玉を見て目を見開いた。ぶつかるギリギリのところで足を踏ん張り背後の飛び退いた。上着の一部が灰になって散った。

攻防を続ける中、徐々にお互いダメージを負ってゆく。

ゆっくり、焦るな。ルウブに気が付かれないように……。

結界の中ではシュウイが必死に外に出ようと足掻いていた。

「駄目です! 出してください!! もう辞めて……」

一度俯き顔を上げた時、ルウブの攻撃を避けたカクランにルウブが手を伸ばした。カクランは息を呑む。

次の瞬間、カクランがいた場所に氷の塊が出来ていた。カクランは一瞬の間にそれを回避して塊の向こう側に居た。だが、それは読まれており、足元を固められていた。

「っ……!!」

目の前に来たルウブの槍に今まで以上に大きく斬り付けられる。

「ゲホッ……」

槍を落とし、そのまま手前に倒れかかるカクランを見たルウブは息を詰まらせた。近くに居たからか、ルウブ自身がそうしようとしたのかは分からないが、倒れかけたカクランを受け止める形になった。

「カ……ラン……何で、オレは」

オレは殺そうとなんて……。今のだって避けられたはず、こんな致命傷には。

「兄ちゃん……」

「!! …………」

カクランの声を聞いたルウブはその場に膝をつく。

「カク、お前」

「長い一日だ……た……」

口元に一瞬笑みを浮かべた後、眠るように目を閉じピクリとも動かなくなった。

ルウブはカクランの身体を床に降ろし、座り込む。声にならない叫び声を上げながら地面を両手の拳で殴り付けた。静かな廊下に地面が砕かれた音だけが響いた。

呆然とその光景をまだ消えない結界の中でシュウイが見ていた。ルウブがうずくまり自分の腕に額を当て息を切らしながら泣き始めた時、結界が消え身体を預けて居たシュウイが前に飛び出た。

「キャッ!?」

ルウブの直ぐ側で転け、生きた心地がしなかった。だがルウブは涙を止め息を整え暗い表情で立ち上がりその場を去ろうとするだけだった。

「あ、あのっ! 私は……!?」

呼び止めた声に反応し振り返ったルウブの顔を見てシュウイは言葉を詰まらせ話すのを諦め目線を落とした。涙を拭わず頬を赤くしたその表現が余りにも子供の様で柔らかく見えたからだ。

何も言わず奥へ向かうルウブから目を逸らしカクランの側に座り込んだ。

「……私はどうすればいいんでしょう。死体を前に」

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