派閥争い
レゲイン「分かった、買ってくる。かき氷にかけるシロップは?」
美来「ブルーハワイ。レゲインは?」
レゲイン「ブルーハワイ」
バム「えっ? 私レモン」
カクラン「僕はメロンね」
ルウブ「イチゴ」
テンスラ「イチゴ練乳」
レゲイン「おいおい……良い大人が子供をパシリに使うなよ。つーか、なんでいるんだよ」
カクラン「男子がレゲインだけにならないように」
レゲイン「お前の分無しな」
カクラン「えっ!?」
メランは女王の部屋から面倒そうに頭を掻きながら出てきた。
「全く、貴方の世話役兼作戦の様子見を伺う私の立場にもなってほしいものだわ」
入り口前で静かに待っていたヘルバがメランの前に出てきた。メランはヘルバを見て手を下ろす。
「しかも、魂を喰う事が出来ず他の魔女に追い出されて戻って来るだなんて」
「うるさい。あいつにも同じこと言われたばかりだって言うのに。そんなにも魔力の強いドラゴンとの子が欲しいのか?」
「えぇ、これもドラゴンを全滅させる為の道具ですもの。ブリザーさえ見つかればルウブは悪魔つきにしてもいいのだけれどね」
ゴシック調の廊下を歩き出すヘルバの後をメランはついて行く。
ヘルバは携帯を取り出し直接二級魔女に連絡を取った。
「お前、四級か五級のくせに直接上司と話せるって凄えよな」
「信用されているだけよ。ほら、命令よ、ケイヴ帝国に向かうわよ」
「俺も?」
「あなたも」
ルウブは森の中をかけていた。背後からはブラザードラゴンの二人が追いかけて来ている。
「しつけぇな……!?」
突然足を止める。足元を見ると地面に押さえつけるようにして氷に固められていた。
追って来た二人がそれぞれ氷で武器を作り出す。ルウブは目線を下げ呟くように言った。
「お前ら、オレが見逃したってんのにそんなにも死にてぇのか?」
「私達は本気ですよ……リーダー、貴方はリーダーには向かない。群れの三分の一はそう思っているから殺しに来たんです」
顔を上げいつもの表情で敵意をむき出しにする二人を見る。
「あぁ、オレはお前らより年下だ。ドラゴンは長生きだから世界変動前から生きてるのは知ってる。だからこそオレに不満があるのは分かる」
お前らの視線が冷たいのは知ってた。
ルウブは自分に不満がある理由を考えていた。
幼いから? 何処か不備があった? いや、群れより身内を優先したからだろう。
その結果今、ルウブは万全の体調ではない。
二人から見ればルウブは微動だにしていないように見えただろう。だが、顔には出さず歯を食いしばっていた。
「戦闘前に聞きたい。何でお前らはオレをケイヴ帝国近くまで誘導した?」
二人が答える前に周りを取り囲む気配に視線を向け意味を理解した。
「くっふはハハッ……」
下を向き目が髪に隠れた状態で珍しく笑うルウブを見て驚く。
「成る程な、てめぇら、安心したぞ。オレは無益にお前らを殺すわけじゃねーんだな?」
口は笑い、目は獲物を見下ろすように見られた二人は恐怖を感じた。
ルウブは槍を取り出し構えの体制をとった。
「お前らは群れより個の考えを優先した結果頼る相手を間違えたんだって思わねーんだな」
一人が恐怖を抑え足を踏み出しもう一人が構える。周りに潜んでいたケイヴ帝国の兵が姿を現した時、ルウブは氷を砕き地面を蹴り上げた。
構えていた一人と兵がそれを認識した時にはルウブは足を踏み出した一人を足で抑え頭に槍を突き刺していた。
構えていたドラゴンは恐縮し額に汗を滲ませ目だけを動かしルウブを視界に捉えた。
ルウブは槍を抜き立ち上がる。その目と口は笑ってもいない。
「ここにいる奴ら全員生きて帰れると思うなよ?」
それを聞いた瞬間恐縮していたドラゴンは自分の首が跳ねられている事に気がつき自分の血飛沫の中で切り落とした後構えるルウブの姿を見た。
「リーダー……」
その声はルウブに届いていたが、ルウブは転がる頭と身体に見向きもせず次の敵を見ていた。
兵達はドラゴンが敵わなかった相手に敵うはずが無いと悟り一目散に散った。




