八つ当たり
テンスラ「撹乱、カクランらしいけど」
レゲイン「美来の言い間違いであってんだな」
美来「言い間違いって?」
レゲイン「何でもねぇよ」
テンスラ「実際望んだ役目を果たさなかったんだ、カクランは。まぁ、この話はここで語られることはねぇけど」
バム「物語ハンターから連れて来たキャ……」
レゲイン「やめろってんだろ!! 本編行ってくれ!」
アウラーは緊張した様に机の前で正座をしている。カクランは初めて自分の部屋に上がったので緊張しているのだと割り切る。
「あ、あの……カクラン。色々とごめんね」
「何のこと? 僕何かアウラーに迷惑かけられたっけ?」
アウラーは笑って誤魔化す。カクランはアウラーの反応に首を傾げる。たわいもない会話をしアウラーを玄関で見送る。
「アウラー」
去ろうとするアウラーを呼び止め言いずらそうにしながらも言った。
「何かあっても魔女に唆されないようにね」
アウラーはその言葉で心を見透かされたような感覚がし驚いた。
「私がそんな事するわけないでしょ? またね」
「あぁ、またな」
カクランはアウラーが角を曲がるまで見ていた。
ごめんね。僕は君が望むように動かないから。
翌日、五班のグループルームでは銀髪の女の子が資料を見て眉をひそめていた。
「私では難しいですね。人体への影響も考えなければ毒物になりますし。二十日程あれば何とか」
「二十日!? その間俺は何もできない状態でいろってんのかよ? 俺まで無能になったらお荷物が増えるだけだろうが」
昨日、キャロットの協力も虚しくレゲインを捜していた二人に見つかり散々追いかけ回された事もありレゲインは気が立っていた。その為、それを聞いた美来が俯いた事に気が付かない。
「ゲレイン! 今、美来ちゃんいる事知ってて言ったの?」
「美来は初めから何もできねぇだろうが」
「無神経だとは思わなかった。わざと言ってるよね?」
「は? 暴力すら躊躇ってて何かできてたか? この班だって俺かバムが欠けてたらもっと下の班だったろうが」
バムは美来の方を気遣い見ると美来が顔を上げた。
「美来ちゃん……」
「何? バムどうかしたの?」
何もなさそうにする美来を見てポカンとする。レゲインはそれを見て鼻で笑った。
「何言ったってすぐ忘れるだろ」
バムはムッとした様子で美来の手を無理やり引きグループルームから出て行った。その様子を見ていたキャロットはレゲインの横に一歩近寄る。
「忘れっぽいとは言え、三歳の差でよくやるねぇ〜男と女の差かな? 君さ、まぁ、あたしは同年代なんだけどもう少し大人になりなよ」
「はぁ?」
「ルネン、あたし達が使う薬の調合止めればもっと短い期間で作れるよね?」
ルネンは目を見開いて驚いたが、頷き直ぐに調合の材料確認に入った。
「バム、そんなに怒らなくていいじゃんか」
美来がそう言うとバムは足を止め美来の方を振り向いた。
「美来ちゃん、忘れてるからってアレは」
「だって、何もできてないのは事実だし……二人だけのなら七班より上の班になったとも思うし。言い返し用ないじゃん」
バム自身もそう思っており美来に言う言葉が思いつかなかった。
「美来、よかった、まだちゃんと居たんだ」
突然名前を呼ばれ振り返るとカクランが小走りで近づいて来た。昨日よりはかなり回復したようだが少し顔色が悪い。
「ちゃんと居た? 何なのと?」
「他校の奴が入って来たって聞いてね。全く、魔女ならともかく正面から他校の奴に侵入されるなんて校長は何してるんだか」
バムは日焼けした部分に何故か包帯が巻かれているのをジッと見る。
「先生、顔色も悪いけど大丈夫なの?」
「平気だよ。今は少し貧血気味なだけだから」
カクランはバムに笑いかける。バムは何故貧血気味なのかと首を傾げた。
「あ、それより。レゲインは戻れたのか?」
バムは頭を振る。美来はカクランから顔を背けてしまった。
「どした? 何かあったの?」
「ゲレインが美来ちゃんに……」
バムが何も考えず答えようとするので美来は慌てて止めた。




