頼み事
カクラン「僕らって兄弟だよね?」
ルウブ「何?」
カクラン「僕らの名前って共通点ないよね」
ルウブ「これ以上共通点増やしてどうする気だよ。左右対称の髪と見た目して、歩いてたらお前がナンパした女間違えてよってきやがって、迷惑だ」
カクラン「えっ!? その子どうしたの?」
ルウブ「お前のフリして丁重に別れてやったよ」
カクラン「丁重にって!? ルウブ何言ったの!?」
ルウブ「てめぇみてぇな女と二度と会いたくねぇってな」
カクラン「それ、半分ルウブの本音だろ! 丸刈りにしてやる」
ルウブ「はぁ、本編移ってくれ。オレはこいつに制裁を与える」
広い校内から二人を見つけるのは難しく、レゲインは仕方なく携帯を取り出し連絡をする。
バムには繋がらない。
「くそっ、あいつ音消してやがる。美来か……」
美来の携帯には繋がったが、声がしない。
「美来? 聞いてんのか?」
『聞いてるよ〜美来じゃないけどねぇ』
レゲインはその声を聞き息を止めて驚く。男の声だったからだ。
「お前、誰だ? 美来は?」
『ここで寝てるよ〜?』
「は!? 何処だ……」
『怒らないでょ怖いなぁもう。五班のグループルームだよ場所は』
レゲインは背後から人が来るのを感じ振り向く。建物近くに寮で聞いた声の人物が二人、話しながら辺りを見回していた。電話の相手の話を聞かず通話を一方的に切り、五班のグループルームへ向かった。
さっき行ったところなら、聞かなくたって。
レゲインは扉を開け暗幕を潜りグループルームに入った。乱れた息を整えながら視界に机に伏せて眠る美来を捉える。
「あれぇ? 携帯にはレゲインって書いてあったのに、小さい男の子〜? 十代ぐらいの見た目の子じゃなかったかな……」
声の主を見て眼を見張る。キャロットはレゲインの反応を見て眉を寄せる。
「何? 何か言いたいならちゃんと言ってほしいんだけど」
「お、女……?」
「酷いなぁ〜どう見ても女の子でしょ?」
美来に近寄ると肩に薄い布をかけられて気持ちよさそうに寝息を立てている。
「少し目を離した隙に寝ちゃったんだよ?」
美来を起こそうとするとその手を掴まれる。キャロットはレゲインを見て左右に頭を振った。レゲインを持ち上げ美来の隣に座らせると向かいに座る。
「え〜と。何かあるならあたしが聞いてあげるよ」
「……何で部外者なんかに」
「部外者? 君はルネンに調合を頼もうとしてるみたいだし、ルネンの班の班長はあたしだよ? 部外者じゃない」
レゲインは考え込みながら美来が飲み残したお茶をすする。カップを置くと顔を上げた。
「誰かに追われてる。多分俺の親が寄越した奴で部外者だ」
「それなら、匿ってあげるよ。まぁ、五班如きで敵うならだけど」
レゲインは目を逸らす。すると勢い良く美来が起き上がった。そしてレゲインを見る。
「あれ? 何でレゲインここにいるの?」
レゲインは何も答えず前を向いた。
『はぁ!? お前、馬鹿だろ。馬鹿だよな? 馬鹿以外の何者でもないよな?』
「ヒックシュン!! 馬鹿馬鹿言うなよ……」
机の前でカクランは毛布にくるまり鼻をかみながらテンスラと連絡をとっていた。魔女との話をした途端テンスラが馬鹿にする。カクランにとっては否定されなかったのが意外だった。
『まぁ、お前が信用できるから契約したんだろうし? 俺は良いけど。ルウブは怒るだろうな』
「やっぱし? 半殺しどころじゃなくて口聞いてくれなくなるかな?」
『半殺しの方がマシなのかよ……バレなかったのか。それで? 何の用?』
「あ、勘付いてたのか。クシュンッ! クシュンッ! ダメだコレ」
カクランは携帯を置き、クシャミが止まるまでテンスラを放っておいた。
「ま、ま、クシュン! 魔女とケイヴ帝国についてとシュウィって水の魔女について。ブラックドラゴンについて調べて欲しい」
『良いけど。何かあったの? それってさドラゴン達が一番気にする話だろ? 風邪引いてまたルウブ泣かせたお詫び的なやつか?』
それに言い返そうとした瞬間咳が止まらなくなる。
「ケホッ、覚えてたのかよ。泣かしたのテンじゃんか。煽ったくせに」
『俺、コレ完成させないと外出できねーから。じゃあまたな』
話から逃げる様にテンスラは通話を切った。
ため息をつき携帯を置くとチャイムが鳴った。マスクを付け直し毛布を肩にしっかりかけてドアを開けた。
「カクちゃん、大丈夫?」
満面の笑みでカクランを見上げてアウラーが立っていた。カクランも思わず笑みを浮かべる。
「何? 風邪って聞いてお見舞いに来てくれたのかな?」
「だって他に来てくれる人居ないでしょ?」
「まぁね。上がってく?」




