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生還

テンスラ「俺ら二人で何話すんだ?」


ルウブ「……昔話とかか?」


テンスラ「思えばルウブと会うのは久々だよな。……無愛想になったなお前」


ルウブ「元からじゃねーの?」


テンスラ「いや、無愛想になった。何言っても泣かなさそうな……」


ルウブ「は? 何のことだよ?」


テンスラ「ほら、昔よく泣いてだじゃねぇか。カクが冷たい態度とったのはお前が殴ったりするからグレたって言ったら……」


ルウブ「その髪ぶった斬るぞ」


テンスラ「悪い悪い。けど二人して俺に相談するのはもうやめろよ?」


ルウブ「斬る。本編よろしくな」

男は床から鉈を引き抜くと助けに入ろうとしたバムを鉈の持ち手で殴り飛ばし美来に鉈を振り下ろした。

「っ……!!」

美来がギリギリで避けるとレゲインが青ざめた顔で横を見る。すぐ目の前の棚に鉈の刃が突き刺さり、二撃目を放つ為に木から逃れようと身をもじっているのだ。

「っやべ!」

レゲインが資料の束を適当に根こそぎ掴み立ち上がると資料の入っていた場所に二撃の攻撃が入った。レゲインは背筋に走る冷たい感覚に身震いしその場から後ろに退いた。

「バム、バム! さっさと起きろ!!」

「いてて、ゲーム、青リンゴになってるけど錠前?」

「元に戻ったらぶん殴るぞ。早くしねぇとーー」

レゲインが言いかけた瞬間バムとレゲインの目の前に鉈の刃が振り下ろされた。その衝撃で正気に戻ったバムは慌てて立ち上がりレゲインと出口の方へ向かう。二人が美来の横を通り過ぎたすぐ後に鉈が美来の髪をかすめた。

「きゃっ!?」

美来はその場に尻餅をつく。男は美来の髪を掴み鉈を振り上げた。美来は手探りで銃を取り出すが手が震えて撃つことができない。鉈が振り下ろされる瞬間美来は目を瞑る。打撃音と共に体が弾き飛んだ。

「いっ……」

尻餅をつき驚いて目を開けると男が目を回し座り込んでいた。その側にはバムが立っている、蹴り飛ばしたのだろう。

「美来ちゃん! 早く!」

バムが美来を立ち上がらせ外に走る。レゲインの所まで走ると二人の後をレゲインが付いていく。レゲインはようやく走り出せたことに安堵していた。

「美来、殺るんならナイフの方が良かったと思うんだけどな」

「わ、分かってるよ……」

安全そうな丘の下の村の教会の階段に三人は座り込む。

「こ、殺されるかと思った。美来、次は俺がいる事確認してから避けろよ」

「ゲーム」

「いい加減にしろ! 俺はゲーム好きでもゲームじゃねぇんだ!!」

レゲインに怒鳴られバムは誤魔化す様に笑った。レゲインは一息つくと抱え込んで来た資料を確認する。美来が横から覗き見る。

「レゲイン飲んだ薬ある?」

「……駄目だ、俺には何が書いてあるかさっぱり。このままでも邪魔だしバム、写真に入れといてくれねぇか?」

バムはカメラを取り出しボタンを確認する。

「紙は束ねておかないと一枚一枚しか取れないよ?」

「じゃあ紐……!?」

美来が当たり前のようにレゲインの上着のフードに通っている紐を引き抜いた。そして見つけたというようにレゲインに渡した。

「お前な……」

レゲインはムッとしながらもその紐で紙を束ねた。バムはそれに標準を合わせシャッターを切った。カメラから出てきた写真をレゲインに渡した。

すると美来の携帯が鳴り響き美来だけでなくバムとレゲインも驚き跳ねた。

「美来、音小さくしとけよ。でけぇぞ」

「忘れてたんだと思う。あ、カクランからだ」

通話を繋ぐと携帯の向こう側から陽気な声が聞こえる。

『あ、美来、レゲイン見つかった?』

美来が返事をしようとすると遮るように続ける。

『なぁ、聞いてよ。ルウブの奴無理に意外とうまい愛想笑いして倒れてるんだよ、しかも愛想笑いやめた途端に予想どおり女の子取られてさぁ〜僕、飲む事以外する事なくなっちゃったよ〜あれ? 止めるようにアドバイスしたの僕だっけ?』

美来は顔をしかめる。カクランが酔っているのだと察したからだ。

『でもね、あいつ一口飲んだだけで酔うのに間違えて酒飲んじゃって、毒舌がひどくなってねお開きだよ。しかも倒れちゃったんふふっぐっ!?』

息がつまるような呻き声と携帯が落ちる音が聞こえた。

『蝙蝠の奴見つかってよかったな。湖にぶち込まれたおかげで目覚めてるってんのにカクの野郎……ぶち込んでやる』

ルウブの声の後にカクランの断末魔らしき声が聞こえたが通話を切られてしまった。

携帯に耳を寄せ無理やり聴いていたレゲインが呆れた顔をする。バムが通話を終えた美来を見て内容を聞いた。

「カクランが酔ってた。ルウブに湖に投げ込まれた」

「多分、凍った湖じゃね? 狐のやつ生きてんのか?」

レゲインが湖にぶち込まれたカクランを想像してクスクスと腹を抱え笑いだす。美来は普段の顔で言った。

「レゲイン、度を超えた弄りはいじめだよ?」

「美来ちゃんの顔、心配そうじゃないっていうね。先生なら大丈夫でしょ、学校に戻ろ?」

美来はレゲインの方を見て頷いた。

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