予想通りの行動
カクラン「何で、異世界で獣人じゃなく動物のアクセ付けた人間なんだろ……」
レゲイン「散々獣人馬鹿にしたやつがよく言うな」
カクラン「僕がいつ馬鹿にしたのかな? 女の子もいるだろうし、他世界から来た獣人に失礼だろ?」
レゲイン「初めて狐らしく嘘ついたな。授業で散々言ってたじゃねーか」
カクラン「何で余計なところでレゲイン起きてんだよ」
レゲイン「眠りにつく寸前だったんだ」
カクラン「レゲインって確か、オオコウモリだったよな?」
レゲイン「インドオオコウモリな。それが何だよ?」
カクラン「空飛ぶ狐って言われてるんだよ? ある意味、僕と同じだね」
レゲイン「……ぅゎ」
カクラン「聞こえてるけど? 本編よろしくね」
ルウブとメランは互いに傷を負いながら対峙していた。
ルウブは膝に手をつきメランを見ながら息を整える。
「変な話だ、魂なのに息切れなんてな。あぁ、君は現実の肉体が限界なのか」
メランが瞬きをした一瞬のうちにルウブは目の前に来て下から槍を振り上げるところだった。
「そうみてぇだなっ!」
ルウブは返り血を浴びるが、メランが後退し斬られた傷を気にする間に見る見るうちに治っていく。
ルウブは槍の穂先を地面におろす。今まで以上に息が上がっていた。
「限界ってのを初めて知るいい機会だと思うけど? 諦めてくれないかい?」
「限界? ……何を今更、限界なんて何度も味わった知ったような口を聞くな」
ここでの限界ってんのは死んだときだろーが。
「ーーっぐ!? ケホッ」
気がつくとルウブは何かに吹き飛ばされていた。体勢を立て直し地面に手をつき足をつきブレーキをかける。
「っ……!」
顔を上げた瞬間に顔面に向かって来た蹴りを間一髪で避けるが、腹部に二度目の衝撃が加わった。
地面に倒れ、動く気力すら無くなりかけている。
「眠気で頭まともに動かないんじゃないのかい? 俺の勝ちって認めろよ」
メランが倒れているルウブに手を伸ばした瞬間、動かないと思っていたそれが手をつき体を起こし腕を噛みちぎった。
「ーー!? ぐゎっ!? づ……」
メランは驚きのあまり自分の腕が消えたことにしばらく気がつかなかった。ルウブが口に咥えたそれを見て強烈な痛みが走った。
「てめぇ……!」
ルウブの咥えたモノを見て違和感を感じた。メラン自身の腕は再生を始めず、肘から下がないはずだというのにルウブの口元には掌から指先までしかない。
「お前っ俺の腕を……」
ルウブ はメランを睨みながら立ち上がろうとするが、噎せかえり飲み込み損ねた手を口からこぼす。四つん這いになり咳き込む。
「っ……ゲホッ! 何だこれ……ケホッケホッ!」
吐血をしたはずだったが、その血はメランの手から流れる血でも自分がさっきまで流していた血の色とも違い、黒かった。
メランは痛む腕を押さえ後ずさる。
「ハハハハッ、馬鹿だな、俺は魔女の力を借りて魂を喰って取り込んだんだ。普通に取り込もうなんて自殺行為……」
ルウブはその場に力なく倒れこむ。
くそっ……戻らねぇと、何してでも。今更プライドなんて……。
もう一度近寄って来たメランに最後の力を振り絞り喰らいつこうとした。しまったという驚きの顔をしたメランが認識できた、だが次の瞬間二人の意識は暗転した。
カクランはルウブの容態を見に部屋に忍び込んだ。ルナールに見つかればまた口論になるのが目に見えていたからだ。
ベッドに寝かされたルウブは数日前より苦しそうに息をしていた。それを見ているうちにカクランは幼い頃の出来事を思い出していた。
「まぁ、もう泣かないけど」
そう呟き急いでシュウィの元へ戻る。
「あのさ、契約って君は何を要求するのかな? 僕が決めてもいいの?」
「そうですね、私が納得できる内容なら。き、キスとかなしですよ?」
カクランは少し考え込むと顔を上げる。
「じゃあ、一度だけ君が死にかけた時助けて上げるってんのならいいかな?」
シュウィは驚き顔を上げる。殺すなどという単語が出てくるとばかり思っていたのだ。
「あの、わ、私はいいですけど。何故、魔女を信じられるのですか?」
その問いにカクランは訳がわからないという反応を見せた。
「だ、だって、貴方がクラスメイトを殺害したのも魔女のせいで、それでも何故?」
「何故って、みんな考え方は違うでしょ? 魔女の活動に反対して追放された子だったいるのに。僕は君を人間として見て考えただけだよ。あ、契約印って見えないように頭とかでも平気?」
シュウィは頷きカクランと契約を結ぶ。終わるとカクランは契約印が付いているであろうあたりを摩る。
「口が裂けてもルウブにバレるような事言わないでね?」
「は、はい、口封じされるのはごめんなので。あの、もしあの方が私を殺す時に貴方が呼ばれたらどうするんですか?」
「えっ……うわっ、考えてなかったな。その辺りの対策は練っておくよ。周りに見つからないようにルウブのところ連れてくから来て」




