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同族嫌悪

バム「これって、私とゲレインって毎回セットなの?」


レゲイン「それだけは勘弁してくれ。そういやあ、お前の口癖どうなったんだ?」


バム「それって、かぁ〜さぁ〜とか伸ばすやつのこと? 直した」


レゲイン「ウザかったからその方がいーな」


バム「……私、美来ちゃんじゃないから、ウザイとか言われて黙ってないよ?」


レゲイン「ここで喧嘩はマズイ。ほ、本編をよろしく!」

美来は飛び出すように町の方に出て転んだ。

「いっ……!?」

顔を上げた瞬間に青い光に包まれた町の風景が見えた。困惑する中、頭に強い痛みを感じ頭を抱え込み苦しむ。

「ううっ……痛い」

痛みの中目を開けると自分自身も光に包まれるのが見えた。全身に激しい痛みを感じ意識が飛んだ。

「美来ちゃん!!」

「バム、手伝え!」

バムとレゲインが美来を見つけ光の外に避難させた。美来は気を失い転んだ時に出来たのか膝などを擦りむいるが、吐血は別のようだった。

バムとレゲインは身体が何故か痺れて感覚が鈍く、力が入らず座り込んでいた。

「バム、身体動くか?」

「無理みたい……ねぇ、この光って人間には効かないんじゃなかったの?」

美来は人間でティーアンなどの血は混じっていなかったはずだった。

「俺が知るかよ」

二人とも一ミリも動くことができず、レゲインの家の使用人に見つかり捕まってしまった。

その様子を陰で爪を噛み見ている者がいた。

美来はレゲインの家の客室で目を覚まし服を縫い直していた。

「なぁ、何でお前、俺らを親父から隠してんだ?」

「何故って? 別に良いでしょう? 旦那様はそちらの方と話した後、遠出をしましたので」

執事は何事もないようにしている。椅子に座っていたレゲインは不審そうに執事を見る。

「後で金要求とかしねぇよな?」

執事はレゲインを一度見て目を逸らした。

「レゲイン、出来たよ?」

「あ? 何が?」

レゲインが美来を振り向いた瞬間、美来に身ぐるみを全てはがされかけた。上着だけひっぺがえされ、シャツ一枚になってしまった。

「何すんだよ!? 俺これしか着てねぇって!」

見ると美来の手には一回りサイズの小さい服が握られていた。ずっと縫っていたのはレゲインの服だったらしい。

「レゲインから預かってた上着切っちゃったけどよかった?」

「切る前に聞けよ」

レゲインは服を受け取り着替えに行った。戻ったくると不満そうにして前と同じデザインの服を着たレゲインらしき子供が戻って着た。

「あのよ、美来。ズボンまでは分かるけど下着までやるのやめろよ」

美来は何のことかと首をかしげた。バムはレゲインをまじまじと見る。

「ゲレインじゃなくてお揃いの服着た弟みたい」

「弟って事にしてもらっていーよ。はやく戻りたい」

執事はそんなやりとりの中、壁の方を向き一人歯を食いしばり怒りを抑え込んでいた。

脳裏に蘇る電話ごしの余裕の声。



「そっちで何があろうと構わないけど、一人でも帰って来なかったらどうなるか、分かるよね?」

カクランは校長室の固定電話の受話器を置き深呼吸をした。

とりあえずこれで美来達は大丈夫なはずだ。

「脅しだなみたいだけど、いいか」

移動塔を経由し、ブラザードラゴンの拠点に行く。しばらく外にいると洞窟の奥の部屋からルナールが外に出て来た。

「君、わざわざ見に来たの?」

「何か悪い? 僕はルウブが気になるだけだよ、迷惑にならないようにするからさ」

ルナールはそばにある岩に腰掛ける。岩の上を指でコツコツと叩いていた。

「迷惑か、今更だって気がつかないのは凄いな」

洞窟の入り口の横で岩肌にもたれかかり腕を組んだカクランは目線だけをルナールに向ける。敵意が困った目でルナールはカクランを見る。

「間接的になら僕は結構迷惑かけてるのかもな、それが気に入らないのか?」

一歩前に出るとルナールに向き直る。

「僕に喧嘩売ってる? ……あ。成る程、嫉妬だ」

「嫉妬? 俺が? 誰に?」

その言葉にカチンと来た事によりルナール自身、図星を突かれたのだと認めざるを得なかった。カクランは呆れたようにため息をつく。

「長い付き合いなのに今まで気がつかないのは凄いな。君は不安なわけだ、ようやく心を開いてくれたって実感して、それを直ぐに失うって事が」

ルナールは立ち上がりカクランを睨み付ける。カクランは目の色一つ変えずにルナールの目を見た。

「大変だね、その様子だと恋人の事でルウブに嫉妬して軽く疎んでたのに今度はルウブの事で僕に嫉妬?」

「だから何? まるで自分はそういう事と無関係みたいな言い方して」

「別に僕は君を挑発してるつもりは無いんだけど、僕と君はウマが合わないみたいだよ」

カクランは無意識に挑発をしていた事を否めない気がした。ルナールはイラついた様子で服のポケットを弄っていた。

「ごめんね、歳下をいたぶる趣味なんてないんだけど、気が静まるまで散歩してるよ」

歳下と聞きルナールは少し驚いた様子でカクランを見た。カクランは敵意が無い事を相手に示すため両手を挙げながら後退していた。

「あ、あと、喫煙は控えた方がいいんじゃないの? 誤魔化してるみたいだけど、臭うよ?」

ルナールがずっと探していた煙草をカクランに投げ渡される。煙草を取った事を指摘しようと顔を上げるがカクランはもうその場には居なかった。

「同族嫌悪ってやつかな、あの狐は俺とは違いすぎる気もするけど認めたくないんだな同じだって」

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