駆けっこ
カクラン「知ってた?」
美来「まめし○?」
カクラン「違う違う、僕だよ」
美来「オレオレ詐欺ならぬ僕僕詐欺?」
カクラン「顔合わせて話してるじゃん! 電話越しじゃないでしょ!?」
美来「カクランって撹乱みたいだよね、名前の由来ってあるの?」
カクラン「もういいよ。また今度話す。本編どうぞ」
執事はレゲインを立ち上がらせる。
「何をしていらっしゃるのですか!?」
「別に」
「先程の方は? 追わせてしまいましたが」
レゲインは無視して椅子に腰掛ける。
美来なら大丈夫だろ……。
怒鳴られ外に追い出されたバムは溜息をつき美来が居たはずの方を向く。
「美来……ちゃん? あれ? 何処?」
家の周囲を回り外れている窓を見つけ中を覗く。
「バム!? てめぇ何してんだよ?」
声がしたかと思うと見える位置にレゲインの服装をした黒髪の少年を見つけた。
「美来ならさっき出てったぞ。早く探さねぇとこの家の奴らに捕まんぞ」
「え? 何でこんな所に入って……」
「それはこっちが聞きてぇよ、何でわざわざ来たんた?」
「ゲレイン連れ戻しにに決まってんじゃん。私はどうでもいーけど、美来ちゃんが」
レゲインは腕を組み目線を落とす。目を瞑り夢のことを思い浮かべると腕を下ろし息をついた。
「まぁ、俺もこんな所にずっと居たかねぇし」
そう言うと履けなくなったズボンと下着をまとめ机を窓の下に押した。その上に上がりバムに手を伸ばす。
「引き上げてくれねぇか?」
バムは頷きその手を取り上に引き上げる。
「誰?」
「……は? お前、今まで誰か分からず俺と話してたのか? 服装で気がつけつってんだろ」
「……!?」
レゲインだと気がつくや否や窓の方へ押し込もうとする。
「や、やめろって! 今の身体じゃお前に敵わねぇって!」
そこまで言うとバムは手を離し押し込むのをやめた。
「ガキがガキになったね」
「うるせーよ、おばさん。いででで」
レゲインのプニプニしたほっぺを左右に引っ張った。
「三、四年しか変わらないじゃん!」
「わひひゅかっはへ。やふぇほ!」
突然背後で人が走って行く気配を感じ二人はその場に這いつくばった。
「静かにしろ……俺を逃してんの見つかって捕まったらお前ら危ないぞ」
頭を上げようとするバムの頭を小さなか弱い手が押さえるのでバムは頭をひねりレゲインを見る。
「何だよ?」
「別に」
正直バムは、今のレゲインがただの強がりの生意気なガキにしか思えなかった。
美来は森の中逃げ回っていた。
「ケホッ……ハァッハァッハァッ」
追いかけて来ているモノが使用人ならばもう少し慌てずにすんだであろう。だが、追ってきているモノは使用人とは少し違う。
「あうっ!?」
根っこに足を取られずっこけた。顔を上げ手元を見ると小さな害虫とカマキリの子が手のそばを駆け抜けていった。すぐ手前に人の足が見え上を見上げた。
「ぐぁああ……」
ボロボロの服を着た異臭のする人が突っ立ってこちらを見下ろしている。
「ひっ……!?」
ゾンビ!? やばいっ!
手を伸ばしてくるのをギリギリで避け横を走り抜けた。
「バムっレゲインっ」
やっぱり、ダメだよ。私は何もできない……。
背後で木が倒れる音が響いた。その音は家の広い敷地内の茂みに身を潜めていたバムとレゲインにも聞こえた。
「ゲレイン、今の音」
「……痛っあ? 何て?」
枝が当たって痛かったのか太もも辺りを気にするレゲインを呆れた目でバムは見た。
「ズボンとか履いた方がいいよ?」
「サイズ合うやつ無えって。で、何つった?」
「音だって、森の方で木が倒れる……」
さらに数本の木が倒れる音が森全体に響く。
その音に耳をすませていたレゲインはバムの方を向き顔を見合わせると立ち上がり音の方へかけて行った。
「早く美来探すぞっ」
バムは慌ててレゲインの後を追った。




