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地下牢

美来とバムは少女に教えられた森の道を歩いていた。


美来から逃げる様に周りの人が少なくなったところで少女は話し出した。

「それで一本道だから迷わないはずよ。実物ね、皆んな本当は魔女が怖くて仕方ないの小学生の頃、その子が転入してきてから何人も死んだからね」

「魔女に殺されたの?」

「ええ、人間と魔女だなんて最悪なコンビね。人間からも逃げるって神経は分からないけれど」

そう言い質問をしてきた美来を見上げた。

「お姉さん達……でいいのかしら? あの魔女もどきは何故不登校なのか知ってるの?」

「警備学校に来たからなんじゃないかな?」

「ふーん。泣き虫がねぇ。早く行ってちょうだい」


辺りに夜の帳が下り、道に点々とある灯りが頼りになった。

「真っ暗だね」

「森だから。大丈夫、多分熊はいないよ、グールはいるけど」

「熊って……私の目の前に熊いるけど」

「ぬいぐるみ大の熊なんてグールには勝てないよ。逃げる事なら簡単になるけど」

美来はクスリと笑い前を向きなおす。暗い足元に注意を払いながら。

「グールって何だっけ?」

「骨と皮の腐った死体、ゾンビだよ。噛まれると壊死するだけだから大丈夫」

「壊死って大丈夫じゃないよ」

バムは舌を鳴らし前を指差した。前を向くと大きな館が建っていた。窓からは灯りが漏れている。

「レゲインってお金持ちのお坊ちゃんだったんだね」

「みたい。美来ちゃんその辺に隠れてて?」

美来は仕方なさそうにすると壁の影に隠れた。

「森には気をつけて」

無言でバムを見て頷いた。

バムは頷き返すとドアをノックし出て来たメイドと中へ入って行った。

美来はじっとその場に置いてあった木の板に腰掛けて待っていた。しばらくいると夕食を食べていない事もありお腹が鳴る。

「お腹空いたなぁ……?」

空腹のせいか湿った土の香りに混じって美味しそうな香りが鼻に着いた。耳をすませると食器がぶつかる音が聞こえる。気になり建物を回ると建物の横の下の方に光が漏れる窓があった。屈み込みのぞいて見る。

窓のすぐ下に人が居るのか床に映る影しか見えない。だが、牢だということは分かった。

地下牢に人? 一般の家庭なのに?

美来は扉を開けようと試みるが開かない。見ると四方をマイナスネジで留められていた。ナイフを取り出しネジを回し窓を外す。

頭を入れ中をのぞいたが、机に向かって居るはずの人は見当たらない。

「誰かいるの?」

返事がないので頭を出し壁に捕まると足から中に降りた。

「美来?」

背後から呼ばれ振り向くと黒髪の少年が机の下から這い出して来た。その少年の前に屈むとほっぺを突っつく。

「な、何してんだよ」

「何で私の名前知ってるの?」

「は? だから……!?」

少年は突然持ち上げられたことに驚く。

「あれ? ズボンとかは? その服って……」

「下ろせって! 俺だって言ってんだろ! レゲインだって」

美来は黙ってレゲインを下ろし何かを考え込む。屈み込み、レゲインの小さな手を取ると満面の笑みを浮かべた。

「やめろよ俺がおかしい奴みたいにみるのは」

レゲインは必死に自分が本人だと説明した。

「そんで、ズボンも下着もサイズが合わないんだよ」

「でも、目つき良くなったね。誰か分からないけど」

「服装で気がつけ。俺だって元の姿に戻りてぇよ、何の薬飲まされたかさえ分からねぇけど……って、何勝手に俺の夕食、食ってんだよ!?」

目の前にいた美来はいつの間にか机の方へ行き摘み食いを始めていた。

レゲインが椅子に這い上がり美来の腕を掴み止めに入った時、牢獄の扉が開いた。

「レゲイン坊っちゃま!? 何をなさっているのですか? その方は……」

執事が驚いた目で二人を見ている。

「美来! 早く上から逃げろ!」

美来は慌ててレゲインに促され、レゲインを足の踏み場にし窓から這い出して行った。

執事が手を伸ばすが一歩遅く逃してしまった。レゲインは美来が上に上がる時の反動でその場に尻餅をつき窓を見上げていた。

「屋敷に侵入者です!!」

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