嫌っている理由
美来は恐る恐るバムの病室に入る。
「美来ちゃん……」
「えっと……私、何かしちゃったかな?」
バムは申し訳なさそうに、頭を横に振る。
「ごめんね美来ちゃんいきなりいなくなったりして」
「え……うん、大丈夫だった? 帰ってきてくれてよかった……」
本当に安心したように涙ぐみだした美来を見てバムは嬉しくなった。
「んで、カクランと戦ったんだろ? 怪我とかしてねぇのかよ?」
「えっ!? バム、カクランと戦ったの!?」
バムが頷くので本当なのだろう。
「私、意識はあったから覚えてる殺しにかかったんだよ」
「怪我とかしてない?」
「うん、攻撃を受け流されただけだから」
俺より強いバムの攻撃をただ受け流すなんて良くやるな、カクランのやつ。
それにしてもカクラン誰もお見舞いに来てないけど先生達の仲殺伐とでもしてるのかな?
ーーガラッ!
「カク〜……あ、病室間違えたか」
テンスラがバムの病室に入ってきた。
「テンスラ……でしたよね?」
「あ? そうだけど? 何で?」
美来はテンスラを呼び止めカクランの家に届いていた手紙の件を持ち出す。
「手紙? あぁ、あの悪質なやつか……二年前の話をしきりにあげるね」
二年前? 何かあったのかな?
「二年前って何のことだよ?」
「コウモリ君も知ってるだろうけど、二年前カクランが一年の頃ずっと取り上げられてた事件があるんだよ」
バムが思い出したようにハッとした顔をする。
「魔女の襲撃と学級崩壊のこと?」
「あ、俺、学級崩壊の方なら知ってんぞ。確か一人だけ生き残ったって」
美来は話についていけない。
えっ? 死ぬ事件が起きたの!?
一年間、この世界では三百六十五日以上の長い間ずっとニュースに取り上げられていたぐらいだ何人か死んでいて当然なのかもしれない。
「そーだよ、教頭はその事件がまた再現されようとしていると警戒してんだ。それで人間の君をよく思ってねぇんだよ」