合流
カクランと美来は階段を下り、呻き声の響いてくる方へと向かっていた。幸い割れて消えてしまった明かりは数台だけでライトは必要なくなっていた。
「バムの悲鳴はそんなに聞いたこと無いから覚えてないかもしれないけど、本当にバムじゃないよね?」
カクランは腹部らへんの服を片手で握りしめ美来の声など耳に届いていなかった。さっき、確かに自分だけでなく美来の足元まで青い光に包まれていたのを見てしまったのだ。
あれって、ティーアンの血が流れてない人間でも反応まではするのか?
ハンカ国でルウブには反応していなかったことを思い出した。
って事は、美来の親は。
「カクラン! 聞いてるの? 質問したこと忘れちゃったじゃんか」
「えっ? ああ、ごめんごめん。考え事してて、何聞いたの?」
カクランは考えていた事を誤魔化すように苦笑いをした。
「わざと言ってる?」
「忘れたんだったな。えっと確か、バムの話じゃなかった?」
カクランは微かに聞こえていた言葉を思い出しそう聞くが、美来は綺麗に忘れてしまっていたので首を傾げてしまった。
「カクラン……あれって」
美来は足を止め声のする方を見た。カクランは少し震えている美来を見て同じ方向に視線を向けた。
その先には砕けた赤い氷の破片とその上に腕が無く凍りついた肩を押さえて苦しんでいるシュウィがいた。カクランと美来が近くに立ち見下ろすと痛みに苦しみながらも二人を睨みつける。
「カクラン、どうしたの?」
「この氷って、ルウブがやったんじゃないかなって考えてただけ」
それだけ答えて先に行くものだと美来は思い一歩進むがカクランはその場にしゃがみ、魔女の怪我の手当てを始めた。危害を加えられるのだと思ったシュウィは抵抗したが押さえつけられ無意味だった。
「カクラン?」
「僕は甚振る趣味なんてないからね」
「魔女、嫌ってるのかと思ってた」
シュウィは抵抗を止め黙って腕の手当てをするのを見ていた。
「とりあえずこれでいいかな。まだ腕も戻せるよ」
カクランはシュウィを起こし壁にもたれさせる。すると通路の先からバムとディネが走って来た。
「美来ちゃん!!」
美来を見つけたバムは全力で走って来て美来に飛びついた。勢いあまり美来は後ろに倒れた。
「!? 痛……バム、痛いよ」
「ごめん、何で美来ちゃんここに居るの? 先生まで」
バムは押し倒してしまった美来の上から退き、美来の腕を引いて起き上がらせた。カクランはバムと一緒に来たディネを見て驚いていた。
「バム達を追いかけてきたんだけど、まさかディネを見つけてたなんてな」
「えへへ、本当は美来ちゃんが戻ってくる前に連れて帰ろうとしてたんだけど、この国に来るまでに何日かかかっちゃったから」
「いや、バムの美来への執着心は異じょ……ってそれより、ルウブと会ったりしなかったかな?」
バムは異常だと聞こえたことは気のせいという事にし、入り口近くで拾ったピアスを渡した。
「ルウブのじゃん。こんな大事なもの落としてくなんてな……」
カクランはそのピアスをポケットの中へ押しやった。するとバムとディネはシュウィに気がつきジッと見下ろし、何故魔女が手当てをされ生きているのかと思っていた。
「あぁ、この子の事は気にしなくていいよ。魔力も使える程残ってないみたいだしね」
「……後で後悔するんじゃないんですか?」
「別に構わないよ。ディネ、殴られでもしたのか?」
ディネはカクランに聞かれ口元にできた痣に触れた。




