ルウブとの遭遇
バムとディネは水流から逃げている間にディールスとエリスンとはぐれてしまっていた。
「出口は何処に?」
「水が向かってきてる方だよ!」
「……この辺に水脈なんてあったの? アマルフィ王国なんだよね?」
「じゃあ……あの水って誰かが操ってやってるって事だよね? やばいじゃん!」
下に通じる階段を通り過ぎた後すぐにその場に戻ってきた。階段を通り過ぎた先からも水が流れ込んでくるのが見えたからだった。
「向こうからも来てるよ、ど、どうしよう!?」
「どうしようも何も、下に行くしかない」
「……格好の獲物じゃんか、水没したりしないよね?」
バムが不安そうに聞くもディネは何食わぬ顔で階段を駆け下りていく。バムは戸惑いながらもディネの後を追った。
ルウブは地下墓地の中を片耳を抑え歩いていた。
くそっ……痛えの苦手だってんのに、あのドラゴンが。
分かれ道に差し掛かった瞬間目の前を水が勢いよく流れていった。
「っ……!? 何だ、今の」
出て行こうとした瞬間に目の前を通り過ぎた魔女と目があった。ルウブは一瞬驚くが直ぐに魔女の後を追いかけた。
走っている魔女は突然つまづいて転んだ。
「っ!? な、何するんですか!? ぇ……ど、ドラゴン!?」
凍った足元の先にはルウブが立って睨みつけていた。
「お前、あのときの魔女か? こんなところで何を追いかけてやがる?」
水の魔女は足元を固めている氷を水で砕き後ずさる。
「こ、今回は一人なんですから、私にはかなわないですよ!」
「は? てめぇ、カクが居たから負けたって思い違いしてんのか?」
「か、勘違いじゃないです!」
水流が向かった方へ魔女は走り出した。ルウブは耳から手を離し魔女を追いかける。
水の魔女、シュウィはルウブに追いつかれないように必死だった。
大変です大変です! 私、あんな酷い殺され方したくありませんっ!
ルウブに殺された魔女の死体を思い出し自分もああなるのではと半泣き状態で逃げる。せっかく逃げ切れたというのにもうルウブの様なドラゴンに遭遇するのはごめんだと心の底から思った。
「仕事中なんです! つ、ついてこないでください!!」
一定の距離で無言で追ってくるルウブを見て、あれが限界速度なのだと一瞬安心してしまった。その次の瞬間、真横にルウブが現れた時目を見張る事しかできなかった。
「キャッ!? ぐふっ」
反対方向へと殴り飛ばされてしまった。
「ケホッ、い、嫌ですよ、こないでください!!」
ルウブはシュウィの前で足を止め冷めた目で見下ろした。
教会までたどり着いたカクランと美来は祭壇の前の椅子で眠っているナーゲルを覗き込んでいた。
「カクラン……どうするの?」
「ナーゲルには悪いけど、起きてもらうしかないでしょ。子供っぽい寝顔してるな」
「当たり前だよね、対して年取らないんだから」
ナーゲルはコールであるアイマスクを首にかけていて使ってはいなかった。カクランはナーゲルの額をペチペチと叩く。
「ナーゲル起きろ」
ナーゲルはうっすらと目を開けカクランが覗き込んでいる事に驚き身を起こした。カクランと頭がぶつかり美来にまでぶつかりかけた瞬間はたき飛ばされた。
「あ……」
「いっっ……起こした腹いせに頭突きとは酷い。美来、ナーゲルに何したんだ」
「ワザとじゃないよ? つい」
美来は真顔でナーゲルを叩いてしまった手を挙げた。
飛ばされた先でナーゲルは頬を押さえて起き上がった。
「ついで人を殺したみたいに言わないでくれ。こっちは頭と頬がやられたんだからな」
「そんな事はいいから、バム達はどこ行ったか教えてくれるか?」
「先生ですよね!? こっちの事は心配してくれないんですか!?」




