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学校への帰還

「美来、他に持ってくものある? 下着以外なら僕のカバンに入れてもいいよ」

「間違えても衣服は入れないよ。私、そこまで天然じゃない」

何故か高校の制服を着たカクランは美来の分の荷物も持ちどこかにメールを送る。

「ねぇ、どうやって……」

目の前に光で包まれた空間の入り口が現れた。

「この先、異空間だよ、まぁトンネルってところかな? 向こうから来るときより安定感悪いし暗くなってるから」

「授業サボりまくってた人とは思えない」

「覚えてるの!? そりゃあそうか……ほら、行くよ」

カクランは美来の腕を引いて入り口の中に入っていった。



学校に戻ると校長が前に立っていた。

「カクラン、お疲れ様。おやおや? 向こうで二、三ヶ月過ごす間に何かあったのか?」

校長はカクランと美来の繋がれた手を指差した。驚いて二人とも慌てて手を離した。

「校長、からかうのやめてくださいよ。僕が女の子の手を握るのなんてよくあるこ……」

校長が無言で前に差し出した手を見てカクランは固まる。

「な、何ですか?」

「私も女性なのだが?」

「……これって、握手だと思うんですけど。あいにく僕は人を選ぶのですみません」

その瞬間カクランは美来の横から一瞬で消えた。校長が着地したような素振りをして手を払うのを見ると美来は後ろを振り向いた。

カクランは少し飛ばされたところで蹴られた腹部を押さえて咳き込んでいた。

「あの、レゲインとバムは?」

「あぁ、レゲインなら一度家に帰ると言っていたな。バムは……ナーゲルの班と共にアマルフィ王国へ船で向かった」

「船? 移動塔は?」

「依頼や授業以外での使用は禁止だからな」

カクランは土を払い戻ってきた。

「何でアマルフィ王国に? 分かりますか?」

「分かるはずないだろ、何をしに出て行くか、何処に行くかなど強制的に聴き出してるわけではないんだ」

「え、でも、聞いてきたじゃないですか」

「皆んなが勝手に答えているだけだ。気になるなら教師の特権でも使って行くことができるだろう?」

バム達の行った国へ行くことを決め美来の方を見る。美来は行くかどうかを確認されているのだと思い頷いた。



バムが開けた棺桶の中には疲れ切った顔をしたディネが入っていた。

「ディネ、何してるのこんなところで」

「何って……ぼくが喜んでこんなところに入るわけないよ」

殴られたのか口元に痣ができていた。うっすら目を開け笑う。

「大丈夫なの?」

「これぐらい昔からよくある事……なんだけどっ縛られるのは初めてで」

ディネが身を起こそうとするが背中で縛られた手から伸びる紐が棺桶の底に繋がれており起き上がれない。

「殴られて抵抗できなかったからあまり覚えてないんだけど」

ディールスは黙ってポケットから取り出した折りたたみ式ナイフで紐を切った。ディネは起き上がり棺桶から抜け出す。

「何でわざわざぼくを助けに……君らに渡す見返りなんて一切ないからな?」

「そんな気ないよ」

ポケットなど自分の持ち物を確認して歯を噛み締めた。

突然地響きを感じその場が静まり返る。さっきまで伸びていたエリスンは目をパチクリさせ自分達が来た方の通路を見る。

「君達、この地響きが地震でないとすると可能性は三つ。爆発、玉が転がってくるトラップ」

「はぁ? 君って馬鹿なの? 玉が転がってくるなんて発想ないだろ……?」

「鉄の玉に追いかけられるのは宝探しの楽しみの一つだろう!?」

熱く語るエリスンを呆れた目でディネは見た。

「もう一つは、水流! あるんじゃないか!?」

「何で君は楽しそうに語るの。ぼくには理解できないよ、頭のネジ確認した方がいいんじゃない?」

「私に殺されたいのかい?」

二人の睨み合いが始まった途端バムのディールスは何かを見て後ろに下がり始めた。

「やばいやばいやばい……」

「どうしたの」

ディネはバムが指差した方を見る。来た道から薄い水の膜が小刻みに揺れながらこちらに向かってくるのが見えた。

「水流正解だったろ!?」

指を鳴らし喜ぶエリスンを無視しバム達は慌てて奥へ向かった。通路の奥から水飛沫を立てながら向かってくる水流が見えたとき、戻ってきたディールスがエリスンの腕を引いて走り出す。

「馬鹿。エリスン死ぬ」

「馬鹿って言わないで……見たくて動けなかったんだからな!」

「馬鹿」

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