かける言葉
一つ飛ばして載せてしまったので、143話は前に載せたものと同じ内容です。142話は飛ばしたものに変えました。すみません……。
アイレは腹部にナイフを刺した瞬間黒い魔法陣に囲まれた。
カクランはすぐ隣で足を滑らせたバムの腕を掴み止めた。
「大丈夫?」
「うん。あっこれって……」
足元を見ると大量の砂鉄が積もっていた。
「なんとも分かりやすい道標だね」
「……って事は脱獄したのかな?」
顔を見合わせた時、砂鉄が積もっている道の方から壁などに硬いものがぶつかる音が響いてきた。カクランとバムは音が聞こえた道へ走り込んで行った。
アイレが血塗れで動けなくなったレゲインを嘲笑うように見下ろしていた。レゲインは腕や足、腹部の痛みを堪え動かない体を動かそうとする。
動かねぇ、口の中が気持ち悪い。
何処から来たか分からない血で噎せる。ふと目線を変えると美来が銃を持ち怯え立ち尽くしたままこちらを見ていた。
「レゲイン……」
「逃げろ……みらい」
美来は躊躇いながら一歩下がった。それを見たアイレはゆっくり近づいてくる。怯えながらも銃を持つ手を動かしアイレに向ける。
「っ……ゲホッ、美来! やめとけ!!」
美来が何をしようとしているか察したレゲインは思わず動かないはずの体を動かし止めに行こうとしたが、うつ伏せに倒れてしまった。その途端大きな音と共にアイレの腹部が弾け飛んだ。レゲインは返り血を浴び唖然と見ている。
「ゲホッよくも……殺してやるっ道連れで殺してやる!」
美来はそれでも動いて一歩ずつ前に出てくるアイレに驚き怯え、銃を落としあとずさる。足元が縺れ尻餅をついた瞬間、アイレは口元に笑みを浮かべ頭が消えた。
「えっ……」
無くなった首の後ろから見覚えのある槍の穂先が見えた。アイレの体は膝から崩れ落ちる。
「美来! 大丈夫か? 美来?」
呆然とする美来をアイレの後ろから現れたカクランが揺する。
「カクラン……? わ、私」
カクランは怯えた美来を見て突然抱きしめた。美来は驚きながらカクランで隠れていたレゲインの様子を見る。痛々しい姿だが何かを話してバムに叩かれていた。安心をした瞬間意識が遠のいていった。
暗闇の中で怒鳴り声などが遠く聞こえた。次に目を開けると学校の医療館の一室だった。身を起こし周りを見ると何故か隣にベットがもう一つあり、腕などに包帯が巻かれたレゲインが本を読んでいた。机には耳が破れたコールが置いてある。
「レゲイン?」
「うぉっ!? お、起きたのかよ? びっくりさせんな」
「何でここにいるの? レゲインが」
「見ての通り、バムとキツネに見舞いが面倒だからって無理矢理二人部屋にされたんだ。あっ」
何かを思い出したようにレゲインはベットから降り怪我が治りきっていないのを忘れ入り口の方へ走り出し盛大に転んだ。
「レゲイン大丈夫!?」
「凄く痛い……」
「スリッパちゃんと履かずに走り出すからだよ、怪我も」
レゲインは起き上がり四つん這いの状態でしまったという顔をして美来の方を見た。すると噎せて吐血する。
「うわっ!? れ、レゲインが!! ヤギ!」
美来の方が慌ててヤギを呼びに飛び出して行ってしまった。
レゲインは美来が呼んできたヤギにブツブツと叱られながら治療をされる。
「レゲインちゃん、脇腹特に治ってないから気をつけてって言ったのに何してるのかなぁ?」
「ケホッ……起きたら知らせろって言われたの思い出したんだよ」
「慌てることないでしょ? 逆井さんにトラウマ増えるでしょ? 何してるの〜はい、服着ていいよ」
レゲインはズラした入院着を戻し紐を結びなおした。ヤギが出て行くのを確認すると美来の方を向く。
「お前、俺の上着ちゃんと洗って返せよ?」
「あ、うん。貸してくれてありがとう」
「えっ……覚えてんのかよ?」
美来は首を振り横にあったメモ用紙に上着の事を書き留めた。そしてペン回しをしながら答える。
「気を失ったのついさっきみたいな感覚だから、あったことは覚えて……る。カクランが駆けつけたことも、私が何したかも」
レゲインは苦しそうにする美来に掛ける言葉も思い浮かばず手遊びをしている自分の手を見つめて黙り込んだ。




