美来の考え
レゲインは美来の前に出て魔女から視覚を作る。
「決まったのかしら?」
「ああ、一応な。渡さないって事で」
「あら? さっきまでの焦った顔と裏腹に強気ねぇ」
レゲインは深呼吸をする。そして後ろで銃の引き金を引き顔を上げた美来とアイコンタクトを取る。アイレが行動をしようとした瞬間周りが黒い壁で覆われた。
「これは砂鉄!? 何処から……ぁ〜想像石ね、フフッ」
壁の向こう側からは走り去る足音が聞こえる。アイレの能力により一瞬で壁はチリへと化し床に落ちた。
背後から追いかけてくるアイレの足止めをしながら美来とレゲインは早歩きで出口を探す。
「美来! もう少し量増やせねーのかよ」
「えっ!? 足りないの? さっきの所にあるやつかき集めたりとか」
「早く言えよ! 距離が離れ過ぎだ」
「何で私!? レゲイン混乱しすぎだよ!」
後ろに作った壁が砕かれる音が聞こえた。美来はレゲインに言われるように引き金を何度か引き砂鉄を作り出す。
「お前、忘れなければまともで突拍子もない案出せるんじゃねーか」
「せめてずる賢いって言って欲しい」
何でだよ、賢いよりずる賢いの方がいいのかよ。
美来は後ろを気にする。
このままじゃ逃げ切れない……。
最悪、自分も戦闘に参加する事になるとも考えた。
「美来、予知夢って見ててどんなんだ?」
こんな状況で何を言い出すのかと思いながらも答える。
「あんまりいい気分じゃない。いつも忘れるのに覚えてるし、バムとレゲイン達が死ぬ所も合わせてね、リアルだし見たくない」
「そのおかげで俺生きてんだけど」
レゲインにそう言われ道具の気分になった。だが、一人にならずに済んだのは確かだとホッとする。
「戦わないの?」
「お前をまっ……!」
さっきの場所よりもひとまわり小さい空間に出ると壁の方へ避けた。来た道からは黒い砂埃が吹き出くる。
その道から出てきたアイレと目が合った瞬間、レゲインは美来を離し術式の刻まれた短剣を握った。その場から横に飛び退くと立っていた場所が削られくぼみができる。そのままアイレの方へ踏み込み短剣を横から振る。アイレは後ろに重心をよせ短剣が髪にかするだけで済んだ。
レゲインは咄嗟に斜め後ろへ飛び退いた。床に赤い血がポタポタと落ちる。
くそっ避けたと思ったけどな、こいつの攻撃は一瞬遅れると致命傷……チッ。
横腹部分の服が破れ血が滲んでいる。自分の周りの空気が閉鎖的になった感覚がし横に転がり避ける。
「あら、次は避けられちゃった。でもコールは傷ついてるわよ」
言われた通り耳の部分が破れてしまっている。
「レゲイン!」
「あっ!?」
美来に呼ばれ振り向くと鉄の玉が飛んでくるのが見え激突寸前で止める。磁力を消すと落ち床にめり込んだ。
こ、こいつ……俺にトドメ刺しかけたぞ!
「っ!?」
容赦なく来るアイレの攻撃を避けながら懐まで潜り込み下から短剣を振り上げ素早く横に飛び退き間髪を入れず更に切り掛かる。
アイレはそれを避けているが突然レゲインが後方へ飛びのいたので攻撃を仕掛けようとした。だか片足を上から落ちてきた鉄球に潰され後ろから飛んできた鉄球に押し倒された。
「ぐふっ!? な、何で……」
後ろを見ると美来が息を荒くしながら震える手で銃を持って立っていた。
「実験体の分際でよくも……フフッいいわっ!?」
削り殺そうとした瞬間にレゲインと美来の前に壁ができ、穴が空いただけで終わった。レゲインは壁を崩し美来の前に行く。
「美来?」
「れ、レゲイン……」
震えている美来に何か声をかけようかと頭をひねるが到底美来の気持ちなんて分かりようがない。そうこう考えを巡らせているとアイレが動くのが見えた。
「フフッこれで終わったとでも?」
アイレは片足だけで立ち上がるとプレディから受け取ったナイフを取り出す。レゲインは見覚えのあるナイフを直視する。
「お前、とうとうイカれたのか? そのナイフ」
「少なくとも今の魔力を使い切った私よりは手強いでしょうねぇ」
アイレはナイフを自分に構え腹部に突き刺した。
「お前っ!?」




