バムの行方の理由
「ねぇ、レゲインってば……本読んでる場合じゃないよ! バムが心配じゃないの?」
レゲインと美来は宮殿のような大きな図書館に来ていた。
「全く心配じゃねーな、あいつが勝手にいなくなっただけじゃねえか、俺のせいじゃなけりゃどーでもいい」
そんな……レゲイン他人事なの?
後ろから誰かに肩に手を置かれる。
「へぇ、カクランは仲間を思いやる事を教えないんだねクフフッ」
美来の後ろの人物を見たレゲインは跳びのき間合いを取る。
その人物はアンバランスな長さの黒髪に爬虫類のように細い縦線の入った黒目、茶色のどこかの学校の制服を着ている。
「初めましてシュヴァル・メランですメランでいいよ」
「はぁ? 誰がドラゴンなんかに話しかけるかよ、しかもその服……この学校と相性の悪い奴だな」
不気味な笑みを浮かべてレゲインを見る。
「あの、メランはカクランと知り合いなんですか?」
「そうだねクフフッ、あまり良い仲とは言えないけれど知り合いだよ、美来ちゃん聞いていいかな? あいつは君にとっていい先生?」
「あはははっ! あなたに何ができるの? 一人でその子を助けることすらできないじゃないの」
ある魔女の目の前でバムとカクランは戦っていた。
「ぐっ! バム……」
放課後、教頭に呼び出されたカクランは美来とレゲインを連れて行けという命令を無視して一人でバムの元へと移動塔という場所からシシア帝国の領土へ来ていた。
だが、森の中にある村はある魔女により悪魔憑きに占拠されていた。もちろん、悪魔に憑かれた者を殺すことはできていない。
くそっ……バム……何でこんなマネを
「バム、早くとどめを刺してしまいなさい? あれだけの悪魔憑きを護符で抑えているのだもの体力が持つはずないわ」
「それで? バムは?」
「見ただろ別の部屋で……」
カクランが何故かボロボロの状態で敷地内に転がっていた。そして今、保健室の一室に入院中だ。
「カクラン? あっ……」
「これでバムと話せるよね? 何であの時何処かに行ったのか聞いてあげなよ生きてるんだから」
虚しい表情を浮かべてカクランは美来の頭に手を置いていた。
「何があったか言えねえんだ? バムと仲良くしてた俺らにも言えねぇのか?」
レゲイン……バムと仲良くしてたんだ陰で。
「おい、美来……今なんか誤解招く理解の仕方しなかったか?」
「なんのこと?」
こいつ! 都合よく忘れてるか理解力全くねぇ!
カクランは二人の会話を全く聞こえてないのか反対側を向いて不機嫌そうな表情していた。
「バムから聞きけばいいだろ、僕が話していいことじゃない」
ーードンッ!
レゲインはカクランの負傷している場所を叩いてた。
「この見た目だけ単純な奴が!」
そして病室から出ていった。カクランは一瞬痛そうに顔をしかめただけで全くこたえていない。
「痛くないの?」
「痛いに決まってるだろ、神経は通ってるんだから、小さい頃から痛いのには慣れてるだけだよ」
この狐の身に何があったんだろ……?
レゲインはバムの病室にきていた。
「魔女と契約しただろてめー」
「だって……未来ちゃんが私を見捨てるんじゃないかって」
「バカじゃねーの? あいつにそんな脳があるとは思えねぇけど、すぐ忘れるし人間のあいつがお前以外のアテがどこにある?」
本気で小馬鹿にしているレゲインをバムは頭がおかしいと本気で思った。
「ゲレインの方がバカじゃん!」
「何処がだよ!? 精神的に弱い奴に言われたかねーよ!」
美来がバムの病室に行こうと外に出るとメランが待ち構えていた。
「どう? いい先生だと思う?」
「えっ?……カクランは」
答えに戸惑っていると、カクランの病室から教頭の怒鳴り声が聞こえてきた。
「カクラン!! 何をしているだ!! 私の命令を無視してレゲインと美来を連れて行かなかったんだ!」
「いや、だってですね、そんな事したら悪魔憑きに二人とも殺されてましたよ? 死んでいたら校長にばれてたでしょうね」
カクランがいつもとは違うからかうような声色で答えているのが聞こえた。
「私、カクランの事は正直先生だとは思っていませんが優しい人だと思いますよ? 狐だけど」
「クッハハハッよく言えるよあいつの過去も何も知らないくせにこいつ笑えるよ」
美来はメランが笑ったことに何故かイラッとした。それが美来のふくれっ面に繋がったのだろう頬を膨らませてメランを見ている。
「あれ? 怒っているの?」
「怒ってません、すぐに忘れる人なので何にも怒ってません」