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脱獄

レゲインは耳をすますのをやめ立ち上がった。

「どうしたの?」

「脱走、するぞ」

「脱走? 何処から? 私達……!?」

レゲインが呆れたようにため息をついた瞬間、レゲインと美来の間とレゲインの牢の入り口あたりの鉄格子が大きく歪んだ。

「お前な、ここが何処だと思ってんだよ? ムショだぞ? こっから脱走に決まってんだろうが」

「えっ、私達何したの……」

「他人ことみたいな目すんなよ!」

レゲインは美来の腕を掴み立ち上がらせて自分の方の牢に引き入れた。

「ほら、行くぞ。まずはお前の武器回収からな」

「え、武器より自分の身でしょ?」

「馬鹿か!? あんなタケー武器みすみすとこんな国にほっぽって勿体無いだろーが!」

「そんなに高いの?」

「だ……二百万はしてたはずだけどよ」

すぐ忘れる事を思い出してレゲインが申し訳なさそうに言うと美来が澄んだ目で不思議そうに顔を覗き込んでいた。

「そういうのやめろよ!」

「何のこと? あ、待ってよ」

スタスタと牢を出て行くレゲインを美来はちょこちょこと置いて行かれないようついて行く。牢の鉄格子に囲まれた二人がやっと並べるほどの廊下を息を切らしながら美来はついて行っていた。

「ねぇ、何で突然脱獄するの? ずっとうなされて起きてを繰り返してたじゃん?」

「おまっ……」

こいつ、寝てるように見せて見てたのかよ。

「さっき、カクランの怒鳴り声が上から聞こえたんだよ。だから何となく、脱獄すれば助けが来るんじゃねーかって」

「でも……」

「でもじゃねーよ、この国はカトゥルス王国との同盟国でも何でもない追ってこねぇよ。それとも、脱獄っていうズルみてぇな事したくねーってんなら一人で戻れよ、先にやったのはあいつらだからな?」

美来はブンブンと首を左右に振った。

「レゲインについてく」

「たく、お前は犬か」

「ぅわんっ!?」

美来が犬の鳴き声のような驚きの声をあげてレゲインの後ろを指差した。

「はっ!?」

レゲインは後ろを振り向いてあまりの気迫に青ざめた。がたいが良くいかにも力任せの筋肉馬鹿のような大男が腕を組み睨み下ろしていたからだ。

「れ、レゲイン、その人脱走……」

「は? ……っ!?」

美来が怯え後ずさりながら指を指した先には腕力でネジ開けられたであろう曲がった鉄格子があった。

「あ? 何だチビっ子……見回りじゃあなさそうだなぁ、その細い腕でどう脱走したんだ?」

嘘だろ……こいつ!

気がつくと男がレゲインに手を伸ばしてくるところだった。美来は危険を感じて先にレゲインを掴み引っ張ろうとするが指先が届きかけたところでレゲインが引き上げられてしまった。

「っ!? 何を」

「嬢ちゃんみたいな見た目してんな、簡単にぶっ潰せそう」

やべぇこいつ! このままだと俺は殺される。

目の端に慌てて武器を探しキョロキョロしている美来が映った。レゲインの後ろで鉄格子が軋み二、三本大きな音とともにへし折れ男にぶつかる。

「ぐっ、あ? 何だイテェな……」

男は全く動じずレゲインは捕まったままだ。美来は自分の手元の鉄の棒を見て驚いている。

「えっ……」

その瞬間レゲインと目が合い両手で棒を握り構えて走っていく。

「ぐはっ……」

鉄の棒は男の手に突き刺さりレゲインが落ちた。

「レゲイン!」

レゲインは立ち上がり美来の後をついて男から走って逃げる。男は手から棒を引き抜き投げ捨てた。

「痛いな、情けねぇ男の子だこと」

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