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数日前

「っ……何だと! てめぇらのアタマはどうなってんだよ!!」

「せ、先生っ! 落ち着いてよ」

バムはいつも明るいカクランが目を血走らせ警官の胸倉を掴み怒鳴りつけるのを何とかなだめようとする。それなりに力のあるバムはカクランを何とか警官から引き離した。

「っ……」

「って言われてもですね、世間の風当たりは冷たいわけでしてね。優しいお兄さん」

「てめぇっ……!」

バムは殴りかかりかけたカクランを止めるため後ろから抱きとめる。

「オレがいつもヘラヘラしてると思うなよ……」

カクランは警官を鋭い目つきで睨みつけると必死で止めようとしがみ付いているバムの頭に軽く手を置いた。

「先生……」

バムが顔を上げるとカクランがいつもの様に優しく微笑みかけて言った。

「バム、もういいよ。馬鹿なことはしないから離れて」

バムは少し安心してカクランを放した。深呼吸をしながら外に出て行くカクランの後をちょこちょことついて行く。

「何かおごるよ、バム」

「えっ?」


カクランは自分の食べたいものを一通り注文すると力を抜いて椅子にもたれる。

「ふぅっ……」

「先生、何でケーキ屋なんかに」

「頭に来た時は甘いものとカルシウムを取れってよく言われたから何となく」

「先生……糖尿病になりますよ、その量」

机の上にはメニューの端から端までのケーキが並んでいる。

「あはは……あの、バム、この世界での糖尿病って何」

「……そうだよね、全部体内に取り込まれてエネルギーとして消えるんだから。吐くんじゃない?」

「それ、栄養失調になるんじゃ? それに、普通の人が食べたら別の意味で吐くと思うよ」

バムは苦笑いをし自分の注文したケーキを食べる。

先生、食い過ぎてる自覚はあるんだ。

「あ、それで、二人に何があったのかな?」

「えっ……」

笑顔で聞くカクランにバムはケーキを丸ごと皿に乗せたまま口にぶち込んでやった。

「ぐふっ!?」

カクランは皿を押さえながら床などに落ちないよう顔から離し空いている手で顔についたケーキを取って口に運ぶ。

「えへへ……ば、バム。先生に酷いね、せめて水にしてよ」

「顔白いよ?」

「クリームがついてるからね!?」

店員が哀れんだ目で申し訳なさそうに濡らしたタオルをカクランに渡した。

「ありがとう、僕、フラれたわけじゃないからね?」

全く信じない様子で奥に戻っていった。カクランは困った様子でクリームを拭き取る。

「三日ほど前のことなんだけど」

「え、何、僕のこれスルーして話に移るのね」

バムは真剣に頷いて話を続けた。


三日ほど前の事。

美来達三人はいつものように見回りをしていた。

「ねぇねぇ、バム」

「なに?」

「いつもは人多くなかった?」

美来の言う通り、昨日までに比べて街を歩く人の数は格段と少なかった。

「確かに……」

レゲインも二人の会話を聞きまわりを見渡し今朝の事を思い出した。

「あぁ、ケイヴ帝国の奴隷の目撃情報があったからだろ?」

「えっあったら何かあるの?」

「はぁ? 市民が丸々消滅する事件忘れたか? 消えた所では魔女とケイヴ帝国の奴隷と付き添いの奴が目撃されてんだ」

「おー、チャラいくせに情報持ってるね。チャラいからかな?」

バムの褒めたような褒めてないような言い方にレゲインは言う。

「バムてめぇ、金髪だからってチャラい言うなよ! 俺はチャラくねー寧ろ根暗側だ!」

「え……そんな事を得意げに言われても」

バムは本気で引いていた。レゲインは引いているバムに引く。

「えっ……何で」

「あ、こないだの人たち」

美来が突然三人組を指差して口を挟むのでバムとレゲインは三人組の方を見た。

この国に来た時突っかかってきた三人だった。

「あら、見てよ警備学校の捨て犬達がまだいるわよ?」

黒うさぎ耳の女の言葉は聞こえていなかったがバムが犬のように三人を威嚇する。

「グルルルッ」

「お前……字的に猫だろ」

「シャーッ!」

「恥ずい、やめろバム」

煽ったくせに他人事のように言うレゲインに美来は頷く。

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