救出失敗
「い、いいです! あなたごと消してあげます!!」
捕まっていた魔女は何かの合図として水を打ち上げた。
「何の……!」
突然周りが青く光り出す。遠くにあった青いカーテンは壁に変わっていた。町の奥から数人の叫び声が聞こえる。
それに気を取られた瞬間、足元が強く光った。
「ーーッ!!」
息を呑んだ瞬間足元が揺らぐ感覚に襲われたかと思うとすぐ横にルウブが来たのが見えた。
「ルッ……っ!?」
声を発した瞬間何かに吹き飛ばされた事だけ分かった。飛ばされる中ルウブ遠ざかる姿を見てダメージを与えないように殴ってきた事が想像できた。
壁の外で地面に落ちて止まると、殴られた事とは関係なく体に力が入らない事に気がつく。
何だこれ……何で僕。体が動かない。
「っ……ルウブ」
バムはハンカ国の方を呆然と見ていた。
「チュウ……」
「それって、妹の名前か?」
バムは頷く。レゲインは突然痛みを感じペンダントを落とした。
これって……!
直ぐ後ろから倒れる音が聞こえ振り向くと、美来が倒れていた。
「美来!」
「えっ、美来ちゃん!?」
そんな中、途中でやってきたシャンは眠っているデールスに容赦なく飛びかかっていた。
「シャン、デールスにとどめをさすなって」
そこへ、エリオスが俯きながら戻ってきた。
「あ、ディネは……?」
バムはエリオスから目を逸らした。エリオスの後ろからはルウブがカクランを肩に担いで出てくる。
「美来は?」
「無石じゃなく元々武器として使ってた想像石持ってまして……」
アウラーは石畳の道を走って医療館に向かっていた。
「ハァッハァッハァッ……ま、また太ったかな?」
視線を感じ周りを見ると数名目を逸らしたのが見えた。
み、みんな見てた!? 恥ずかしい。は、早くカクちゃんの所行かないと。
誰も腹の肉を見ていたわけではない。
『町から市民が突然消える事件は他の国でも多発しているようです。ドラゴンの仕業という噂もたちましたがホワン女王によればケイヴ帝国の実験である可能性が高いとの事です』
ルウブはテレビの電源を消す。
まぁ、カトゥルス王国ならそう言うだろ。
「この世界にもテレビってあるんだね」
美来はルウブの横から普通のテレビを覗き込む。
「カトゥルス王国の同盟国と信用できる国のチャンネルならどこでも見れる」
ベッドのそばでは壁に背を向けて置かれた椅子にバムが座っていた。携帯を両手で握り画面を見つめている。そのベットの反対側にはエリオスがカクランが目を覚ますのを待っていた。レゲインは空気を気にしないように窓枠に肘をつき外を見ていた。
ルウブがバムの前に立つと、バムは顔を上げる。
「あの国で消えたのは二、三人だ」
「えっ?」
「その中にパンダは含まれてない」
「えっ!?」
バムは思わず勢いよく立ち上がった。
「デセレス王が光の壁の外に避難させた」
「な、何で黙ってたの!?」
ルウブはバムと目を合わせたまま何も言わない。バムは大声を出していけないことを思い出し口に手を当てた。
アウラーはルウブとすれ違いに病室に入る。
「カクちゃん」
すれ違ったルウブが怒っているように見え、カクランが怒らせたものだと思っていたのだが、まだ目が覚めていないようだった。
アウラーに気を利かせてバムは椅子を開ける。
「何があったの?」
美来達は黙ったままだ。向かいにいるエリオスが答えた。
「ティーアンが消える事件が起きてるだろう? 巻き込まれたんだ」
「えっ? じゃあ生還したの?」
「したから此処にいるんだ。ラヴランの話だと、負傷した部分の自己再生中だからしばらく起きないだろうって。外傷は無いけど」
アウラーはホッと胸を撫で下ろし椅子に座る。それを見ていたレゲインは病院から出て行った。美来とバムもレゲインのあとを追う。
「レゲインどこ行くの?」
「グループルーム」
「何で?」
レゲインはそれ以上答えずグループルームに着くとエアコンの電源をつけ、パソコンの前に座る。
「ゲレイン?」
「地獄の授業受けさせられる前に、長期の依頼受けるぞ。あいつ復帰できるまでの」
「実戦積む気?……美来ちゃんとか困るでしょ」
レゲインは手を止め美来に目で同意を促す。
「ん? 私は別にいいよ?」




