私だって
私だって、一人で人を助け出すぐらい出来る……と、思う。
美来は球体の方へ走っていく。バムは美来に襲いかかりに来た蔓をカメラで撮り一本丸々消してしまった。写真はカメラから出て地面に舞い落ちた。
「私が相手らしいよ」
カメラをしまい魔女の方へ走りかかっていく。丈夫な蔓を拳などで弾くバムを見て魔女は一本下がった。
「デタラメ、力任せ」
そうは言ったものの魔女は防御をするだけで精一杯だった。
美来は球体を切り裂く。何度も剣を振りようやく中身が見えた。
「ディネ!」
中には壁から伸びる蔓に巻かれて意識が朦朧としているディネがいた。下には二丁の焦げた銃が落ちていた。
「み、美来……?」
うっすらと目を開け顔をこちらに向けた。美来は身を乗り出しディネに巻きつく細い蔓を手で千切り、手を掴む。
「ディネ、しっかりして!」
「ディネ、ディネ」
美来の肩の上でインコが騒いだ。
「……! 美来!」
「えっ……!」
美来り後ろから蔓に絡められ引きずり出された。
「うぐっば、バムっ」
それを見たバムは慌てる。
で、でも、長期戦で魔女もかなり疲労して魔力が尽きかけてるはず、美来ちゃん……。
「実験体なのに殺していいの?」
「私、殺すなとは言われてない」
美来を締め付ける力は更に増していく。
「うっ……」
血管を押さえられ体に力が入らなくなる。
美来に気を取られたバムは隣から来た蔓に反応が遅れ叩き飛ばされた。木にぶつかり地面に落ちたところを見た魔女は美来の方を向いた。
「美来ちゃん……」
頭の上から草を踏みつける音がし見上げるとレゲインがバムを見下ろしていた。
美来が諦めかけた時冷んやりとした感覚が全身を伝わった。突然蔓が凍った様に割れ、美来は下に落ちる。
「きゃっ!?」
地面に叩きつけられることはなくルウブに抱えられていた。
地面から高っ!
ゆっくり地面に降ろされた。
「あ、ありがとう」
ドラゴンが来たことに魔女は青ざめていた。ディネを入れた球体は地面に沈み始める。
「な……」
ディネは蔓に押さえられながらも外に手を伸ばそうとするが唯一開けられた穴も塞がれてしまった。
ルウブが助けに行こうとするが、何本もの蔓に邪魔をされた。
完全に球体が地面に飲み込まれると魔女はその場で力尽きた。
ルウブはその魔女に近寄ろうとしたが、何処からかやってきたケイヴ帝国の軍服を着た者に魔女が連れて行かれてしまった。
「チッ……」
美来はバムとレゲインの所へ駆け寄った。
「あれ? レゲイン何処行ってたの?」
「何処っ……!? お前らが置いてったのに」
美来は完全に忘れている様で何のことだか分からないという顔をしている。レゲインは落ち込んでいる中、ルウブに想像石を催促され当たり前の様にペンダントを貸す。
「ゲレイン、置いてかれたって被害妄想ってやつだよ?」
「もういーだろ! ピンチの時にルウブ連れてきてやったんだからよ」
「ゲレイン、狙って来てる?」
「あ?」
バムは得意げに話し始める。
「教室でも浮いてる島でもピンチの時に駆け付けて、狙ってるよねぇ〜そういうキャラ目指してる?」
「偶然だ、行こうと思ったところがピンチだったってだけだっつーの」
バムはニヤニヤしてレゲインを見上げていた。
美来は眠っているディールスにルウブが何をやっているのかと興味津々で覗き込む。
「ルウブ、何してるの?」
ルウブはペンダントを握った手でディールスの手を握る。二人の手の中で想像石の青い光が透けて見えた。
「想像源の受け渡しってやつだ、あんまやった事ねぇけどな」
「ルウブも想像源結構あるの?」
「まーな、それなりには。魔力より少ねぇけど」
少しするとディールスの弱々しかった呼吸が戻ってきた。ルウブらそれを確認するとレゲインにペンダント投げ返し、ハンカ国の方へ走って行った。
ペンダントを受け取ったレゲインはディネが消えた地面を見る。
「結局、ディネ連れてかれたのかよ。まぁいいや」
飛んでいるインコに指を差し出すとインコはレゲインの手に止まった。




