嘘の吹き込み
バムはまだ覚えている美来からレゲインの反応を聞いて笑っていた。
「み、美来ちゃんが恋愛的な事で聞くわけ無いのに、ゲレインでも動揺するんだね」
「うるせぇ」
美来は二人の会話を聞いて首を傾げていた。
「何で? レゲイン……先輩が彼女なんじゃ?」
しばらくバムとレゲインが手を止めて頭の中を整理すると、二人して美来の前に出てきた。
「美来ちゃん!? あの人に何吹き込まれたの!?」
「誰とも付き合ってねぇぞ!? 何で俺があんな奴と!」
「ふぇえ? あっ」
二人に怒鳴りつけられ目をまわしかけた美来は空に見えた光を見て正気に戻った。バムとレゲインは美来の様子を不思議に思い後ろを向く。
青オーロラのようなものが上空に漂っている。晴れていれば不思議に思うだけで終わっただろう、だが光のカーテンは空を覆う雲を突き抜けてゆらゆらとしていた。
「何だあれ」
「青い光って言ったら想像源関係でしょ?」
「あそこだけ想像源が溜まってるとでもいいてぇのか?」
「あの方角って……」
バムは腕を組み考え込むような素振りで記憶を辿る。途中から聞こえてきた大きな翼を羽ばたかせる音と風を気にすることなく。
「あ! ねぇ、上見て! 青いドラゴンが飛んでるよ」
レゲインは美来に反応して上を見上げる。確かに少し小ぶりなな青色のドラゴンが見えた。
「あ!? ルウブだろあれ!」
ーードサッ!
レゲインがそう声を上げた瞬間すぐ後ろの木から人が落下した。美来とバム、レゲインが振り向くとカクランが頭を押さえながら立ち上がる所だった。
「先生、何してるの?」
「いてて……ちょっと戸惑って」
「ハンカ国の方だ!」
カクランは思わず動こうとしたバムの腕を掴んで止めた。
「駄目だよ、ルウブが行ったんなら大丈夫なんじゃないかな?」
「先生が信用できる相手を私も信用できるわけじゃないんだよ?」
「返す言葉もないな。僕見てくるから、此処にいて」
バムが頷いたのを見たカクランは青い光の方へ行こうとする。そこにレゲインが水を差した。
「お前の事信用できるとも言ってねーけどな」
「このKY!!」
前に迫ったカクランからレゲインは顔を逸らした。
カクランが様子を見に来ると、不穏な空気が立ち込めていた。
「まだガキのブリザードラゴンがどうしたんだ?」
「三、四年長く生きてるからってその言い用はねぇだろ」
様子を見に来ていたデセレス王とルウブが睨み合って言い合いを始めていたのだ。
「貴様……覚えておけ、俺だから良かったものの他国の王に会えば、この一件の容疑者として幽閉だぞ」
「あ?」
「モーレン国で、ある町の者達が消えた時、ドラゴンの目撃情報があったから仕方のないことだ」
ルウブは舌打ちをし、後ろを向く。
隠れていたカクランは危険を感じその場を去ろうとしたが遅かった。すぐ横をルウブの槍が擦り地面に突き刺さる。
「げっ」
耳かすった! あいつ槍投げなんてした事ないくせに! もう少しずれてたら僕、串刺しだぞ。
「何、仕事中に抜け出して盗み聞きしてんだ?」
「い、いや、何があったのかな? って」
ルウブはカクランの横で元の持ち手だけに戻った槍を拾い上げる。
「女とは話着いたのか?」
「は!? ま、全く……僕、駄目かもな」
あからさまに落ち込んで肩を落とすカクランをルウブは見降ろしていた。
分かりやすい奴。
ディネとエリオスは森の端まで来てカクランが向かった先を木の上から見ていた。
「君の鳥、向こうに行く間に撃ち落とされたりしないのかい?」
「彼奴を甘く見過ぎだよ、何度食べようとしてもぼくの銃弾を悉く避けて生きてるんだから」
ディネは自分の銃の腕に自信があるんだね。まぁ、コールが耳当てって所から天性の才能なのかもしれない。
「君、唯一の親友を食べようとしたのかい?」
「……飢えてたから。大丈夫、エリオスは食えないからね」
生きてたら私も食べる気だったのか!?
「ディネ……」
「分かってる」
エリオスとディネは背後から感じた気配に警戒する。




