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レゲインの勘違い

竹で組まれた神殿から出ると竹やぶに囲まれた涼しげな街に出た。

「ヒックシュンッ! 冷えるんだけどよ」

「ほら、涼しいでしょ?」

レゲインは嫌そうな目でバムを見る。

歩き始めた時、バムと同じコールを被りはせずに着けている少女がバムに飛びついてきた。

「何そいつ……」

バムは嬉しそうにその少女を抱き上げてレゲインの問いに答えた。

「私の妹」

「あ? 妹……お前の故郷かよ!?」

妹はレゲインを見ると疑ったかのような目をし、バムとレゲインを交互に見る。その後美来を見ると二人の髪の色を見てほっと一息ついた。

レゲインと美来は目を合わせる。

何で俺ら見られたんだ?

レゲインと私がどうかしたのかな?

「お姉ちゃんに友達できててよかったぁ〜一人が男だってところを抜いてね」

「友達じゃねーし」

「えっ!? お姉ちゃん!?王に使えてるあの人はどうしちゃったの!?」

その話の成り行きを聞いた美来は驚いた顔でレゲインを見た。レゲインはそこでようやく何を言われているのか気がつきバムの妹を見る。

「ただのクラスメイトで班員ってだけだ」

「そうだよ」

バムとレゲインはムスッとした目で目配せをする。

少しは否定しろよ、友達ってぐれぇは言ってくれたっていーだろうが。違えのかよ。

そんな真顔で本当のこと言わなくても良いじゃん、少しぐらい照れるとかしてもさ。

意味がわからないと言う顔をしている妹を見た美来は一人で小さく微笑んだ。

「それより、その人この国に来た人と出てっちゃった。あと、最近魔女とケイヴ帝国の人が歩いてるって事でデセレス王が見にきてる」

「ケイヴ帝国と魔女が? 何でデセレス王……」

レゲインはバムの横に一歩出る。

「デセレス王って?」

「カトゥルス王国の同盟国の王だよ、ここの国の人じゃない」

「ふ〜ん、そろそろ行くぞ、時間ねぇし」

レゲインは一人で歩き出す。

バムは妹に別れを告げると美来と一緒にレゲインの後を行く。


集合場所に着くと丁度他の最後の班と同時に着き迷惑をかけて白い目で見られることはなかった。

「先生〜全員揃いましたよ?」

生徒の一人が揃ったことに気がつかず突っ立っていたカクランに言った。

「えっ、あ、あぁ」

いつもとは違い周りの状況も見えていないようだった。声を掛けられるまで地面に視線を落とし安心を得る為の無意識的な行動なのか服の裾を強く握っていた。

カクランは片手だけ服から手を離すと困り笑をする。

「えっと何だっけ? あ、えっと……実習だったね、今日から三日間そこの森でそれぞれ分かれてサバイバル的なことしてもらうわけだけど、まぁ。班で別れてもらっても良いよ、何かあったら僕が出て行くけど基本は見てるだけ、森から出たらすぐ分かるからね、はい、解散」

皆んながそれぞれ森の中へと散っていった。

カクランはそこで一息重たいため息をついた。

まずいな、これじゃあ仕事すら身に入らない。かと言って証拠はないし。

「はぁ……」

っ! 駄目だ。この事はこの実習が終わった後。今考えても……いや、時間経ったら証明できない。って、オレがそんな事するはずないだろ!

自分の中で押し切ると木の枝に飛び乗り森の中に入って行く。



レゲインと美来はレゲインが切り倒した木に座り火の番をしていた。バムは食料調達という事で今はいない。

「別に火ぃ消えてもまた付ければいーだけなのにな」

「簡単に言うよね。私の世界じゃ魔法ないから無理なのに」

特に話すことも見つからず静かな間が続く。美来は森の中から現れた人懐っこい狐を撫でていた。

「ねぇ、カクランなんかあったのかな?」

「さぁ? 確かにいつもと調子が違う気はしたけどよ」

「うん……ねぇ、レゲインは私のこと好き?」

唐突な質問に息が詰まったような沈黙ができた。

「はぁ!?」

ようやく反応したレゲインに美来は驚き少し跳ねた。

「な、何聞いてんだよ、馬鹿じゃねーの?」

確実に動揺している。よく見ると顔が赤い。

「レゲ……」

「んな訳ねぇし、あるはずねぇだろ」

レゲインは立ち上がり森の奥に歩き出す。

「俺が人を好きになる訳ね……えっ!?」

目の前から素っ頓狂な声を出してレゲインが姿を消した。

「レゲイン!?」

美来は慌ててレゲインが消えた場所へ行く。そこは崖になっていて、落ちたレゲインは途中で蝙蝠になったようで助かっていた。

二人は落ち着くと木に座る。レゲインは勘違いしていた事を知らされ頭を抱えた。

「言葉がすくねぇんだよ、友達としてってんなら初めからそう言えよな……」

動揺の仕方はバムの時以上だった。

「テンパるなんて思わなかったから」

「別に嫌いではねぇな。その先はどう思ってても言わねぇけど」

「何で?」

純粋な目で聞いてきた美来を見てレゲインは目をそらす。

「そりゃあな。常に“友達だから” “仲間だから”とか言ってたら馬鹿らしいし、有り難味なくなるだろ」

すぐに忘れてしまう美来でもそれは何となくわかった。

「名言だって何回も言ってたら名言じゃなく恒例のお約束になっちまうだろ? 一回だけだからこそ名言で、心に響くんじゃねぇのか?」

「ブフッ! ふふっレゲインらしくないよ、心に響くとか絶対言わないのに」

珍しく爆笑する美来を見てレゲインは自分のらしくない言葉に今更恥ずかしくなる。

「うるせぇ、いーだろうが時々ぐらい、お前は忘れるだろうし」

そっぽを向いてしまった。

すると突然、茂みからバムが走って飛び出してくると思いっきり美来が撫でていた狐を蹴り飛ばした。

「エキノコーックス!!」

レゲインと美来は唖然として狐が飛んで行った方角を向いていた。

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