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一つ目の被害国

無人になった町の中を紺色の髪をし王冠をかぶり杖をついた若い男と顔を覆う布の付いた帽子をかぶった家来三人が歩いていた。

「国内でまでこんな現象が起きるとはな……人口減らすにはもってこいって事か?」

「デセレス王、少しはお控えください」

「ああ、今のは悪い冗談だよ。それに今は俺とお前らしかこの場にいないしな」

デセレスと呼ばれた若い男は辺りを見渡したのち真剣な顔つきで家来の方を向く。

「それで、魔女などの目撃とかはあったのか?」

「はい、ここの住人数名から報告を受けておりました。魔女と他国、ケイヴ帝国の奴隷であろう人物を見かけたと」

「魔女か……」

ケイヴ帝国の奴隷まで来てるならドラゴンだけに相談ってわけにもいかないか。取り敢えずホワンにも伝達した方がいいか?

通りかかった家の中から啜り泣く声が響いてきた。デセレスはドアノブに手をかけ回す。鍵はかかっていないようだった。

「王、少しは用心してください」

「してるよ」

中に入り先に進むと壁にへばりつくように座り込んだ少女と赤い塊が見えた。

「ぁぁっ……ひっくっ」

怯えきった目をした少女は家族であったであろう物を見て涙を流している。デセレスはドロッとした赤い塊に触れる。

「生き残った奴らは人間だけか?」

「町の中央では純血の人間だけです。ティーアンが混じっている者はその様に溶けて……ティーアンとしての成分だけ抜けています。町の端近くでは数人のティーアンも助かっています」

デセレスは家来に血の付いた手を無理やり拭き取られながら少女の前に行き膝をつく。少女の視点は全く合わない。

「そっちの手を出せ」

言われるまま差し出された少女の手の先を見る。

指先が綺麗に切れてるな……。

「お前はティーアンか?」

少女は小さく頷く。

「名前は? そうか、まぁ仕方ない」

答えられない事を察したデセレスは指先が切れて血が滴る手に包帯を巻く。

「大きく息を吸え」

言われた通りにしようとした少女はそのまま気を失い倒れてしまった。デセレスは少女を抱え上げ外に出る。

「王……」

「この子はいい、俺が連れて行く」

「ですが」

「いいと言っているだろう」

少女を無理にでも引き受けようとする家来を睨みつける。家来はそれに押され引き下がらず負えなかった。

「この事をカトゥルス王国とその同盟国に伝えてくれ、それとまだ他に人が居ないか徹底して見回るんだな」

家来の内二人はその場から消える様に命令を受諾し去った。



「自分で解決する方法を考えて欲しいな」

「じゃあ君は逃げればいい、私は君を言葉で誘って連れてきたんだからね。君の手足は自由だ」

ディネはエリオスに連れられてカクランを尾行していた。こそこそ教師を狙って動いている生徒にボールを当てながら。

「尾行なんかして、あの教師に何があるの?」

「あるから尾行してるんじゃないか」

「はぁ……美来から聞いたけど君さ、自分が入る隙ない関係って諦め半分なのにわざわざ戻す必要あるの?」

「んっ……ディネは痛いところつくな」

エリオスが引きつった顔でディネを見るとディネは呆れた目でエリオスを見ていた。

大会には出ずに家でインコと一緒に窓の外を見上げている中突然エリオスに連れられて外に出ることになったからかディネは少し不機嫌だった。

「あっ」

「ん? どうかしたかい?」

「なんでもない」

今、あの担任こっち向かなかった? エリオスとぼくに気が付いてるかも。



店町を歩いてる時、突然美来は頭を抱え込みうずくまってしまった。

「美来ちゃん!」

「うぅっ……」

痛い……頭が、耳が。

まるで頭の中で大勢が叫んでいる様な感覚に襲われていた。

レゲインはその光景を遠く離れた木の上から見ていた。

「あいつ、一体……づっ!」

耳と頭に甲高い音が響く感覚に襲われ頭を押さえる。

「何だよこれ……悲鳴?」

周りを見渡すが誰一人叫ぶ者も人すらいない。だが、ちらほら同じような感覚に襲われたのかその場で意識を失い倒れる者が見えた。

まずい、こんな所で気ぃ失ったら……。

「ーー!」

レゲインはあまりの痛みに足を踏み外してしまった。落下する中、体の向きを立て直そうとした時気がついた、想像石のペンダントが青く輝いていることに。とっさにポケットから取り出し下に投げた。

「っ……」

痛みが引き、地面に着地することができた。

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