勿体無い食べ方
「それで、ボロボロスに何言ったの?」
「ルウブの知り合いっつっただけ」
レゲインはフォークで肉を潰しながら食べる。肉からは肉汁が染みだし皿の上に溜まる。
バムはそれを見て勿体なさそうな目で見ていた。
「ありぇ? ボルボロスだよね?」
「ほっとけ、いつもの事だろ?」
「レゲイン……肉汁勿体ないよ」
その一言にレゲインは手を止め顔を上げた。フォークからは肉が皿の上に落ちた。バムは箸を置いて笑っている。
「んな爆笑することねぇだろ」
「さすが美来ちゃん、最近ノってくれるよね」
「ハム、一昨日のアレは美来は関与してねぇぞ」
「へっ!?」
「ティーパックの方はツノメが持ってきたものだよ」
美来は話についていけないので無言で食べ続ける。
「気がつかねぇのか? ツノメが三つも四つもケーキ買ってくるわけねぇだろ」
「あ、それで美来ちゃんにお礼言ったのね」
そこは聞こえてたのかよ……なんだよこいつ。
美来達は出入り口の前に立つ。
「ボールは?」
「これだろ」
入り口の横に置かれたカゴに何個ものボールがあり上に貼られた紙には一人二つまでと書かれている。
レゲインは一つを手に取り指の先で回す。
「俺は一個でいいけど、持ち運べねぇし」
「確かに、じゃあ美来ちゃん一つね、私も一つ」
「うん」
バムは美来にボールを渡す。
「人から奪うのもアリだからね」
「単独でもいーんだろ? じゃーな」
レゲインは先に手を振って出て行ってしまった。
バムは少し不安になりながらも美来を見る。美来はバムの心配など一切感じていないようでにっこりしていた。
「美来ちゃん行こうか……」
「うん?」
返事が疑問系になっていた気もしたが気にすることなく外に出た。
外に出た途端ボールが飛んできた。美来は思わず持っているボールを離しそれを受け止めた。
「おー、美来ちゃん凄い」
「…………」
「ごめん」
美来は馬鹿にされた気しかしなかった。
「あらあら、ごめんなさいね。間違えて投げちゃった」
さらに馬鹿にした聴き慣れた声が聞こえた。気の陰から人が出てくる。背の低い猫耳の少女も一緒に。
「ソテさん、美来に当てたらクラスの人に叩かれますよ?」
「本当だよ、美来ちゃんがキャッチできなかったらマイナス1だよ?」
二人から叱られたソテは顔が引きつっていた。それを見た美来はパスのつもりで思いっきりソテにボールを投げつけた。
「!? あっ……」
ソテはいきなりの事でキャッチし損ねてしまった。
「あ〜、ソテさん、クラスの人に馬鹿にされますよ」
「な、何でよ!?」
「人間のパスすら受け取れないなんて」
「んぐ……い、いいわよ、他の人が一点ぐらい補ってくれるわよ」
バムと美来は生徒手帳の端末を見る。
確かに二十秒毎に三点ずつ上がっている。
「誰が入れてるのかな?」
バムが美来に聞くとソテが胸を張って得意げに答えた。
「それは、勿論、一班の人に決まってるじゃないの」
「凄いな……三年本当に使える……」
レゲインは気の幹に座りボールを投げつけ地面にバウンドしてきたボールをキャッチしそれを繰り返している。
「ちょっ! レゲイン?? 本当にデートしてくれるんだよね?」
「あ? お前そんなの信じたのか?」
向かいの幹にロープで縛りつけたツノメを上から見下すように見た。
「ああ! 今のこれがデートね? レゲインってば恥ずかしがり屋ねぇ、こういうプレッグフッ!?」
レゲインはツノメが言い終える前に頭にさっきまで以上の威力でボールを投げつけ気を失わせた。
「気持ち悪……」
本を読みながらボールを当て続ける。
バムと美来は顔を合わせて目配せをした後ソテを見た。
「な、なによ?」
「多分、違う気がするのは私たちだけなのかな?」
「知らないわよ、行きましょうクロ」
ソテはボールを拾い上げクロを引き連れて行ってしまった。美来はボールをバウンドさせドリブルをしている。
そういう所は器用なんだなぁ〜。
バムには分からなかったが、美来は少しつまらなさそうにしていたのだ。
いつも一緒に行動してたけど、レゲイン本当は嫌だったのかな……いつも仕方なくか。無理強いしてたのかな?
不意にボールが美来のてから溢れて転がって行ってしまった。
「はい、美来ちゃん。どうしたの?」
「へ? ちょっと考え事」
「ふふっ美来ちゃんが考え事なんて珍しい。すぐ忘れちゃうのに」
「ん? 本当だ。へへっ忘れてた」
「素で忘れてたのね……頭の問題じゃなくて普通に」
美来ちゃんが自分の物忘れの事忘れるなんて珍しいよね。そういえば、レゲインも自分から単独行動言い出すのも……ん?




