初対面
「え、えぇと、よろしく」
「よ、よろしく……?」
エリオスのオドオドとした挨拶にディネも戸惑いながら答える。
美来の提案でエリオスとディネと美来達三人で救助の依頼に来ていた。エリオスを連れて行く事を校長に相談した所、美来だった事もあって簡単に了承された。
エリオスとディネの間には微妙な空気が流れている。
「これが提案? なんで?」
「何が? 提案って?」
内容を知らないバムが美来に確認するも、既に忘れてしまっていた。不安になったバムはレゲインの方を見るが、無表情で親指を立てるだけで大丈夫なのかは分からない。
レゲインは大丈夫だという事が伝わったものだと思っていた。
「移動塔って霊も通れるんだ」
横にいるエリオスを気にしながらディネはぼそりと呟いた。
「本当だ……魂だけでも転送できるって事か」
「ねぇねぇ、救助って誰か遭難してるの?」
忘れて状況を把握できていない美来はバムに聞いた。
「そうだよ、森に迷い込んだ木こりかな? 死体でいいから連れてきてだって」
「死体すら見つからないと思うのだけれど? あの森は人肉を好む魔物も多いし」
「エリオスって意外と博学なんだね〜」
「カクランに教えてもらった事だよ、私は対してそういう事は知らないしね」
エリオスはカクランの話を持ち出すたびに肩を落としている。
「ね、ねぇ、わ、私達が襲われることないよね?」
バムは美来の質問を受け流してレゲインに振る様にレゲインの方を向いた。
「避けられねぇだろ、誰がこの依頼選んだかも忘れやがって主犯者が。まぁ、敵わないって思ったら俺は逃げるからな」
「ゲレイン酷い、私達見捨てるの?」
「ぼくも置いてくよ、美来は大丈夫だろうし」
「美来ちゃんは平気でも私が死ぬの!」
「私が言うのもなんだけど、逃げるのが普通だよ。三年になるまでにクラスの一人以上は死ぬんだから、今の三年は一年の頃の半分らしいよ」
「死んだ後の人に言われたくない」
レゲイン、ディネ、エリオスの意見とバムの意見は毎回一致しない。美来はこういう時何も意見を出さない。
「カクランだったらバムと同じ意見なのにね」
「美来ちゃんは何で何も言わないの?」
「バム達が敵わないのに私が敵う?」
最もな事を言われバムは不満そうに口を紡ぐ。
森の入り口あたりに着くと警告を促す看板や木の柵が立っていて不気味感が漂ってくる。
そこで突然レゲインにエリオスとディネの方を向かせられた美来が口を開く。
「え、えと」
二人より遠くを見ている様な感じで美来は頷き続ける。
「ディネとエリオスは二人で行動してねっ? 私達は森の東側、二人は西側ね。行こ」
その提案に頷いたディネとエリオスは先に森へ入っていった。違和感なく話した美来はホッと胸をなでおろす。
「美来ちゃん、迫真の演技」
「れ、レゲインがいきなりそう指示するからびっくりしたんだよ?」
レゲインは美来に読ませたカンペをその辺にポイ捨てした。
「指示って、美来の提案には違いねぇし。エリオスをディネの班に入れるんだろ?」
「ふぇっ? そうなの?」
美来はバムの方を向くとバムは頷いた。
「保持主義って美来ちゃん言ってた、今の班を変えたくないって」
「うん、変えたくない。せっかく三人で行動する事に記憶が慣れたのに何か変わったら困るから」
「それで、エリオスを七班に入れたくないんでしょ、ディネを入れるのも嫌だって。レゲインもそれに賛成したから二人の仲を良くするためにこの依頼受けたんだよ」
「んう? 何となく理解したと思う。すぐ忘れるけど」
レゲインはフードを外し二人の横に行く。
「まぁ、美来がエリオスを見捨てれなかっただけだけどな。俺らも行くぞ」
「うんうん、何処かで借りを作っておけば助けてもらえるしね」
バムは借りを作る為に行動していた様だった。美来は少し難しい顔を浮かべレゲインの後を追って森に入る。




