兄弟喧嘩の制止
「ケホッ、ま、まだ、だ」
「さ、再起不能にしてやる……」
氷の破片や水浸しになった土などが散乱する中、槍を持ってボロボロになりカクランとルウブは立っていた。
「き、キツネがまだ立ってる……」
レゲインのルウブに対する信頼度はとても高かった様で中々倒れないカクランを見て驚いていた。
ーーカシャッ!
「バム、見世物じゃないよ?」
「へ? 写真撮ったの私じゃないよ」
シャッターを切ったのはバムだと思った美来は不思議そうにディネの方を見た。
ディネは真横の影の中で携帯をカクランとルウブに向けている。
「ねぇ、早く止めないと二人共再起不能になるよ?」
「そんなわけないじゃん」
「過信しすぎだな、バムは。見てて分からないの? 能力は互角、お互い魔力も霊力も高い。身体能力的にはルウブの方が上、けどカクランは戦術的に上だよ、痛みに強いし」
「何? 互角って言いたいの?」
バムは拳を握りしめてディネを睨みつける。
「そこは分かるんだ? と言うかこのまま放って置くと建物壊れるんだけど」
美来とバム、レゲインは呆れた様に全力戦闘で喧嘩をする二人を見た。強い奴らが全力で戦えば壊れない物など無い。
「お互いの戦力に応じてリミッターでもあれば良いのにな」
「レゲイン、機械じゃないから無理だよ?」
えぇ……っ例えが通じねぇのか?
レゲインは呆れ切った目で美来を見た。
ルウブとカクランが動き出そうとした時。
「ダメッ!!」
二人は間に突然入ってきたアウラーを見て振り下ろした武器をギリギリで止めアウラーから離した。
「カクちゃん!」
「は、はい……」
カクランはアウラーが近づいてくるので少し仰け反る。
「兄弟喧嘩で殺し合い寸前までやっちゃダメだよ! ボロボロになって、明日の実技イロカに任せたいの?」
「ご、ごめん」
ルウブは武器を下ろしてただ見てるだけかと思うとアウラーを横に退けさせカクランの肩に手を置いた。
「あっ!」
「オレの勝ちな」
ルウブがカクランの横を通って行くとカクランは氷の中で固まっている。
「あわっ!? か、カクちゃん!?」
ディネはその光景を見てシャッターを切りまくっていた。レゲインは呆れ切った目でディネを見る。
「お前、何したいの……」
「ちょっとディネ! 見世物じゃないんだから助けないと!」
バムはディネを殴ってカクランの所に駆け寄った。美来も後についていった。
「痛いな……」
「いや、お前が悪りぃよ」
「ちゅめたっ!」
「氷だから当たり前だよ」
「バムのカメラじゃ無理なの?」
「カクランまで凍ってたら無理、氷が層に分かれてたら無理」
カクランを氷の中からどう取り出そうか考えているとアウラーが大きなベルを氷に振り下ろした。美来もバムも氷と一緒に砕かれそうになった。
カクランは無事氷から出ることができた。
「寒っ……」
「ねぇ、美来ちゃん。何でここの男子って女の子座りするんだろうね」
「いいだろ! クシュンッ……寒い」
「バムの気にしすぎだよ、カクランだけじゃないの?」
震えているカクランを放って話しているとディネが来て何枚も写真を撮る。カクランは何故かそれにのりピースをしたりしている。
「お前ってドラゴンと対等に戦えんだな」
「ルウブだからだよ、昔は良く戦ってたんだよ? 喧嘩だけど」
「仲良し兄弟め」
「な、何で結構まともな事でレゲインに呆れて見られてるのかな?」
レゲインはそれ以上何も言わず腕を組んで顔をそらした。




