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鎖の勇者は旅をする  作者: ふらいD
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王都オースガード(1)

目の前に広がるは、城壁である。そして如何にも"ここを通す気は無い"といった形で槍を構える門番が2人。城壁は円を描くようにして左右にずっと延びている。高さは5メートル弱といったところか。そんな壁門に3人の旅人が現れた。


「何者であるか!現在本国は緊張状態にある!書状、若しくはそれと同等の権限を証明するものが無ければここを通すことはできない!」


「身辺検査の措置も受けてもらう!仮に北の魔王の手先と疑われた場合は即刻投獄も已む無し!己の潔白を証明できなければ立ち去るがよい!」


2人の門番は交互にハキハキと喋った。


「まあ待ちなされ。ワシら2人はこれで通してもらえると思うんじゃが……」


カーリス、冒険者の内の1人が取り出したのは冒険者ギルドのIDカードと何らかの羊皮紙だ。左手のIDカードに刻まれた『A』の文字を見て左側の門番が驚いた。同時に、右手の書状に押印された国王勅令の印を見て右側の門番が驚いた。逞しい体つきの男も同じものを取り出している。そのIDカードにはマルクという名前と『A』の文字。



「しっ失礼しました!」


2人の門番はたまらず同時に謝罪した。Aランク冒険者とはそれほどまでに強く、国王直々の命を受けることはそれほどまでに重要なのだ。


そして2人の門番の視線は、細長いシルエットの眼鏡をかけた若者に注がれる。


「こやつはワシらの弟子じゃ。見込みがあるから近頃は連れて旅をしておる。これで構わんかの?」


「は、はい!身辺検査だけは受けていただくことになりますが、お2人のお墨付きならば入国可能であります!」


「ふぅ…ありがとうございまーす。」


やっと口を開いた眼鏡の青年は、真面目そうな見た目とは裏腹にその声色が軽く、加えて含みのある笑顔をしていた。2人の門番は本当に通してしまって良いのか少しだけ疑問に思ったのであった。



ほどなくして身辺検査も終わり、3人は門の内側へと入る。眼鏡の青年、周一の目に飛び込んできたのは、まさしく"都会"であった。


巨大な円を描くような城壁に囲まれた街は、中心に向かうごとに建物の密度が濃くなっていく。その中心には存在感に圧倒されるほどの王城がどっしりと構えている。門から入ったばかりの場所は小さな農地と木造の家が並び建つ。それに対して中心付近には石造の家々がところせましと詰まっている。


この世界に来てから今の今まで、周一はド田舎しか見ていなかった。ようやくたどり着いた王都は、コンクリートやアスファルトや高層ビルが無くても、立派な"都会"なのだ。


「さてシューイチよ。このまま冒険者ギルド本部に向かうぞ。」


「はい、行きましょう!」


文明の発展ぶりがマシな都に来たことで周一はわずかに浮き足立っている。3人は都の中心やや南西の冒険者ギルドを目指し歩き始めた。

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