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王都へと(4)
「本当に行ってしまわれるのですか?」
「なに、それほど長いこと空けるわけではないさ。少し行って、用を済ませてから帰る。
僕にはやるべきことがあるからね。」
「はい…。」
「僕が居ない間はよろしく頼むよ。」
「は、はい!」
背の低い草が1面に生えた広野を独り颯爽と行く青年は、確かな足取りで前へと進む。
翡翠色を白で思いきり薄めた、透き通るような色のローブを身にまとい、背には大きな円盾が背負われている。
サンゴ礁の浅海を思わせるような爽やかな髪が風を受けてそよぐ。
彼は南に向かう。 目指すは王都オースガードである。
「何としても果たさねば。少しでも遅れることはできまい…!
『諌めの盾』を持つ勇者として…!」
柔和な顔つきを決意で強ばらせ、彼は進む。
それぞれの思いを抱えた人々が王都へと集まる。この先彼らは、数奇な運命により巡り会うだろう。3人の勇者が同じ場所を目指し、進む。彼らの紡ぐ物語は一体どのようなものになるであろうか。




