ファンタジー(6)
「あ!起きた!」
視界には自身を覗き込む2人。ナナと、ヴァンだ。
「1日半だ。良く寝たなリーフ。」
うろたえるリーフが質問するより先にヴァンが答えた。
「心配したんだよリーフくん!」
「ごめんな。でも、もう大丈夫だ。」
「ヴァンさんは昔から顔が怖かったけど、私ちゃんと我慢したよ!今は怖くもないよ!」
「お、おう。偉いぞ。」
リーフは体を起こしてナナの頭を撫でた。彼女は幼馴染みだが1つ年下だ。
「まあ、俺の顔が怖いのは仕方ない。狼だしな。生まれつきだから仕方ないんだが…。」
ため息をつくように喋るヴァンの頭は、まさしく狼だった。彼は狼頭の一族なのだ。
「僕はもう慣れましたよ。それより状況は?」
「………この町に残った町民は少数だ。そして焼けずに残った家はほとんど無いと言っていい。
オークどもの死体は昨夜に俺が片付けておいた。後は……。」
「えっと……僕やナナの両親は…?」
「すまない。」
ヴァンは床に手をつこうとするも、リーフがそれを制する。
「いえ、仕方ありませんでしたよ。」
ヴァンは何も言えない。
「ナナもしっかりするって決めたの!もう泣かないって!」
「ナナ……。」
年端もいかぬ少年少女たちには過酷な試練であった。ナナは年の割にしっかりと自分を保っている。リーフは元の人生も含めると、その2倍以上も生きているというのに、目の前の少女より明らかに消沈していた。彼は目の前の健気な少女の姿を見、決意する。
「どうする?親父さんを探しに行くのか?」
焼き討ちにあった町や村の人間はどこかに連れ去られるという。これはこの世界での常識めいた噂であった。何も両親や町の人々は殺されたと決まったわけではないのだ。
「いえ、父さんが僕に手紙を置いていきました。図書館を頼まれたのでここを動くことはできません。」
「よし。その年にしちゃ随分と良い判断だ。死に急ぐことはない。」
「いつか、必ず探しに行きます。でもそれより前に、誰もが安心して帰ってこられるような町をここに作りたいんです!」
ナナは無言でうなずいた。
その後、理想郷とまで言われるようになる自治区:ユグルの町は、こうして誕生した。
こんな感じでサブ主人公みたいなのがいっぱい居ます。色んな具合に書いていきたいですね。




