ファンタジー(4)
「ヴァンさん!」
リーフは即座に杖を構え、3体のオークを1人で相手するヴァンに加勢した。辺りにはオークの死体が転がっている。それらもヴァンがやったものだ。
地面から細い木が生え、3体のオークの足を拘束する。うちの1体を狙ってヴァンが槍を突き刺し、仕留める。そのまま槍を引き抜くと同時に今しがた殺したオークを踏み台にし、別のオークに飛びかかる!鮮やかな攻撃にリーフは一瞬目を奪われた。
ここで、力任せに拘束を脱したオークが、ヴァンに背後から襲いかかる!
「はああ!」
リーフは訳も分からないままに力を込める!杖の先端が輝き、すかさずヴァンの背後の地面から角材のような木が飛び出した!それがオークの顎にクリーンヒットし、オークは泡を噴いて倒れた。
「ハァ…ハァ…すまない……危険な目にあわせてしまった。」
ヴァンが辺りを見回し、直近の危険が去ったことを確認してから口を開いた。彼は所々に傷を負っている上、絞り出すように肩で息をしている。
「どうして門番のヴァンさんがここに!家は!家族はどうなったんですか!?」
「ご両親や…領主の方に…自分達のことは良いから…広場に行って皆を守れと……言われ…断れなかった……。すまない……。」
「と、とにかく家に戻りましょう!ナナの両親や父さんと母さんが心配だ!」
「そうだな…。」
ヴァンは歩き出す代わりと言わんばかりに片膝をついた。1人でオークの集団を相手にしたのだ。いかに歴戦の戦士と言えど、無傷というわけにはいかない。
「くっ…!俺は…誇り高き森の民!オオオッ!」
ヴァンは首から下げた魔除けのお守りを握りしめ、立ち上がろうとする。そこでリーフはふと何かに気づき、魔力を練りはじめた。
「待ってください!今ならできるかもしれない…。」
『混沌を秩序へと導く光よ 生命の象徴たる熱よ かの者へ生きる力を与えよ』
リーフが口ずさむと、その手に握られた杖が光り、続いてヴァンは杖と同様の光で包まれた。ヴァンの生傷がみるまに回復していく。
「いつのまに聖魔法なんて…!」
ヴァンが驚きながら立ち上がる。集中が切れると同時にリーフの額には玉のような汗が浮かび上がった。
「話は後です。向かいましょう。」




