森の先にて(7)
「洗いざらい喋ってもらうぞ。」
周一は鎖を締め上げる。
「はん!森流しになるようなやつに話すことはねえ!」
((ほう…。さっき、"お前の首はいくらになるんだ"と言っていたな……分かってきたぞ。あの森は険しいし、罪人を放り出すのに格好の地だ。今の発言と合わせて考えると、流刑に使われていると見て間違いないだろう。))
「お前、賞金稼ぎの類いだな。」
「なっ!何故分かったー!!」
((あっこいつ馬鹿だ。手前で喋っておいて気づかないとは。))
「お前がヒントを出しまくるからすぐに分かったよ。さて、どうしてくれようかな?」
オリオンはニックの死角である周一の背中で次なる魔法を準備している。
そもそも、周一が真正面の爆発から助かったのは、オリオンの水魔法によって全身を大量の水で包んだからに他ならない。彼は先程の攻防で、オリオンとその魔法に賭けたのだ。そして見事賭けに勝った。オリオンが少しでもタイミングを誤れば、体が消し飛んでいただろう。
頭から水でも被せ続けるか。などと周一が思っていた矢先、爆発で更にボンバーヘッドになったニックがニヤリと笑った。
「何だ?」
次の瞬間、ニックを縛る鎖が内側から爆発する!鎖の拘束が一瞬緩む!その隙をついたニックは爆発と共に鎖から抜け出した。
「ヒャハハハハ!俺が最も得意なのは爆レよぉーー!!」
ニックは次々と爆発を起こし、高笑いを響かせながらものすごい速さで遠ざかっていった。逃げたのだ。
「なんか……腹の立つ奴だったな…。」
オリオンは頷いた。
爆発で明るかった辺りは、元凶が居なくなったことで暗くなった。夜営する場所を変えながら周一は思った。考えるべきことが山ほどある。
こうして周一が森から出た1日目は波乱の内に終わった。




