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森の先にて(3)
どれくらい時間がたったかは分からない。息がかなり苦しい。鎖を掴む腕も痺れるほどに疲れた。だが、もうこれで終わりだ。
「おら!プレゼントだ!」
周一の頭で構えるオリオンの目と1対の珠は今や青とも緑ともつかないすさまじい輝きを放っている!オリオンの鼻先から『とっておき』の魔法が発射される!
今まさに飛びかかろうとしていたサル型モンスターは周一の一寸手前で小さな氷の礫を受ける!そして……!モンスターは着弾点から瞬く間に凍りついていく!空中で制御を失ったサルは凍りつき、白い煙を上げながら明後日の方向にすっ飛んでいった。
周一はしばらくの残心を決め、警戒を解く。
「はあ…なんとか生き残れた……。また死ぬかと思った…疲れた……。」
実際、オリオンの存在が無ければ周一の頭は冗談のような腕力でトマトのように潰されていたことだろう。強くならねば。彼は鎖を縮めて木に上りながら思った。
その夜はオリオンに見張りを頼み、木の幹に鎖を巻き付けて体を固定した後、死んだように眠った。




