プロローグ
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剣と魔法の世界ファーランド。人族と悪魔族が覇を競い合っていた世界。
人類は強大な悪魔族に対抗するため、三つの剣技を編み出した。
一つは雷光剣、剣に雷を纏う剣技。
一つは風光剣、真空の刃を操る剣技。
最後に光王剣、闇を打ち払う光を持つ王者の剣。
三つの剣技を操る三人の剣士が悪魔族の王を打ち倒し、邪悪な者共を暗黒の大地へと追い返した。
それから二百余年、共通の敵が居なくなった人類は互いに争いを続けていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ショーコちゃん、大丈夫か?」
十歳を少し超えたくらいの少年が、輝く剣を片手に油断なく周囲を見渡しながら誰かに尋ねた。
だが少年の周りに、ショーコちゃん、と呼べるような人影は見当たらない。
ただし、少年の周囲には累々たる屍が転がっていた。もしこの屍のいずれかが、ショーコちゃん、と言う名であれば納得できるだろうが。
「ああ、任せておけって。大切なショーコちゃんには指一本触れさせないからさ」
少年ははにかみながら頬を掻く。
しかし重ねて言うが、ショーコちゃん、と呼べる人影は見当たらない。
だが少年には見えているように、後ろへと手を差し出した。
「んじゃあ、あとは敵の親玉をやっつけて囚われた姫様を助け出せば、卒業だな。え? 大丈夫だって、俺はショーコちゃん一筋だよ。それにいくら姫様と呼ばれるような人でも、ショーコちゃんには勝てないさ」
少年は、あたかも誰かの手を握ったかのように優しく手を握る。
そして少年は、前にある大きな城へと走り出した。